EC事業において重要ではあるものの、手間とコストがかかる物流業務。この負担を解消するために、多くの事業者が「EC物流代行サービス」を活用しています。
しかし、サービスを検討する際に、次のような疑問を持つ方もいるでしょう。
「適切な業者を見つけるための基準は何か」
「EC物流代行サービスの業務範囲はどこまでか」
本記事では、このような疑問を持つ事業者向けにEC物流代行の基本的な仕組みや選び方、コスト面について解説します。おすすめの業者も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
EC物流代行とは
EC物流代行とは、ECサイト運営者に代わり専門企業が物流業務を代行するサービスです。
具体的には入荷や出荷、配送といった作業を委託でき、物流業務にかかる時間やリソース、コストを削減できます。
事業の急成長に伴い物流業務の負担が増加している企業や、物流業務を行うリソースが不足している企業におすすめのサービスです。
EC物流代行の基本的な仕組みと導入の流れ
物流代行の基本的な仕組みは、以下のとおりです。
1.受注管理:顧客からの注文データを受け取り、システム上で管理する
2.在庫管理:リアルタイムで在庫状況を把握し、出荷可能な状態に保つ
3.ピッキング:注文内容に応じて商品を倉庫から取り出し
4.梱包:商品の保護やブランドイメージに合わせた梱包を実施
5.配送手配:梱包が完了した商品を配送業者に引き渡し、顧客へ届けるための手配を行う
6.返品対応:返品が発生した場合、その受け取りや在庫への再登録、処分などを実施
EC物流代行サービスでは、このような作業を業者が一貫して対応します。
EC物流代行の基本的な導入の流れ
EC物流代行サービスを導入する際のステップも見ていきましょう。
1. 業者選定
まず、自社に最適な物流代行業者を選定します。※選び方については後述します。
2. 契約
選定した業者と契約を結びます。料金体系や契約条件を確認し、双方の合意のもとで契約が締結されます。
3. システム連携
契約後、物流代行業者のシステムと自社のECシステムを連携させます。
4. テスト運用
システム連携が完了したら、テスト運用を行い、実際の物流プロセスが問題なく機能しているかを確認します。
5. 本稼働開始
テスト運用に問題がなければ、本稼働を開始します。代行業者が物流業務を引き継ぎ、商品が顧客へ届けられるようになります。
EC物流代行を活用するメリット
EC物流代行には、「業務効率化」「コスト削減」「セールの開催」という三つのメリットがあります。一つ一つ確認していきましょう。
- 業務効率化
- コスト削減
- セールの開催
業務効率化
物流業務を専門業者に委託すると、業務効率がアップします。商品の受注処理や出荷作業などの手間を省くことができ、より重要な業務(コア業務)に専念できるためです。
例えば商品開発やマーケティングなどに集中することで、事業の拡大やブランド価値の向上に注力できるでしょう。
コスト削減
次のメリットはコスト削減です。自社で物流を管理する場合、倉庫維持費や人件費などの固定費が発生し、負担となることが少なくありません。しかし、物流代行を活用すればこれらの固定費を変動費に転換でき、売上に応じてコストを調整できるようになります。
さらに、物流代行業者は効率的なプロセスを持っているため全体的なコスト削減が可能。他の重要な分野に資金を再投資することも容易になります!
セールの開催
三つ目のメリットは、セールやキャンペーンを定期的に開催しやすくなることです。
自社内で物流を行う場合、作業の限界からセールの実施を躊躇することがあるかもしれません。ですが、EC物流代行を活用すれば、急な発送量の増加にも円滑に対応できます。売上を伸ばす機会を逃さず、顧客との関係を深めて売上の向上につなげられるのです。
EC物流代行のデメリット
続いて、EC物流代行のデメリットもチェックしておきましょう。
- 自社ノウハウの蓄積が難しい
- 顧客対応の柔軟性が制限される
- 少量出荷に対応しない場合がある
自社ノウハウの蓄積が難しい
一つ目は、自社で物流に関するノウハウを蓄積しにくくなる点です。日々の運用や問題解決の経験を自社に残すことが難しいため、物流プロセスの細部を理解しないまま委託すると、問題が発生した際に迅速に対応できない可能性があります。
こうしたリスクを避けるには、社内に物流業務の責任者を置き、業者とのコミュニケーションや知識を共有したり、物流技術を学ぶ機会を設けたりすることが必要になります。
顧客対応の柔軟性が制限される
EC物流代行のデメリットとして、顧客対応の柔軟性が制限される点も挙げられます。自社で梱包作業を行う場合は、ラッピングやメッセージカード、おまけの追加など細かなカスタマイズが可能ですが、物流代行サービスでは対応が難しい場合があるでしょう。
そのため、事前にどの程度カスタマイズが可能かを確認し、トラブルやクレームを避ける必要があります。
少量出荷に対応しない場合がある
三つ目のデメリットは少量出荷に対応しない場合があることです。発送数が少ないと割高になったり、受け付けてもらえない可能性があります。
特に大手物流業者は効率性を重視するため、少量出荷は手間とコストがかかり、採算が合わないと判断されることも。 立ち上げたばかりの小規模EC事業者にとっては、利用しにくいかもしれません。
小規模EC事業者やスタートアップなどを対象にした物流サービスも存在します。問い合わせ時などに、最低出荷数を確認しておきましょう。
EC物流代行サービスの選び方
この章では、EC物流代行サービスの選び方を解説していきます。五つのポイントを紹介しますので、チェックしてみてください。
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サービスの対応範囲
物流代行業者を選ぶ際には、サービス内容や対応範囲をチェックしましょう。業者によって対応できる範囲は異なり、自社の物流ニーズに合わない業者を選んでしまうと、後々の業務に支障をきたす可能性があるためです。
具体的には、
・国内配送に加えて国際配送にも対応しているか
・冷蔵・冷凍品の取り扱い
・商品ごとのカスタマイズ対応を提供しているか
などをチェックするとよいでしょう。
実績の確認
実績の確認も、物流代行業者を選ぶ際の重要なポイントの一つです。 実績が豊富な業者ほど、さまざまな状況に対応できるノウハウを持っているので安心して任せることができます。
(実績を確認するために見るべき点)
・業者の経営規模
・設立年数
・過去の取引実績 など
例えば大手企業との長期的な取引がある場合、その業者が安定したサービスを提供している証拠となります。
自社商品と同じ商材を取り扱った経験があるかも重要です。チェックするようにしてください!
利用するECプラットフォームとの連携
次に、自社のECプラットフォームと業者のシステムをスムーズに連携できるかも確認しましょう。
業者の在庫管理システム(WMS)や配送管理システムが、自社のシステムと問題なく統合できれば、リアルタイムでの在庫状況の確認や自動化された注文処理が可能です。人的ミスのリスクが軽減されるため、物流管理が円滑に進み、事業全体の効率アップが期待できます。
臨機応変な対応ができるか
四つ目のポイントは、臨機応変な対応ができるかどうかです。物流業務には予期しないトラブルが付きものであり、配送会社の集荷に間に合わないがどうしても今日中に出荷しなければならない、といった状況が起こり得ます。
このようなときに、親身になって支援してくれる物流業者を選ぶと安心です。例えば、次のような方法で業者の臨機応変さをチェックしてみましょう。
・緊急対応時のサポートフローについて質問する
・初回の打ち合わせや問い合わせ時の対応スピード、親身さを確認する など
急な発送依頼やトラブル発生時に柔軟に対応できる業者を選ぶことで、ビジネスの安定性を高められます。
返品を受け付けているか
返品対応を行っているかどうかも重要な確認点です。
そもそも返品対応を受け付けているEC物流代行業者は多くありません。一般的なECサイトでは、倉庫で返品を処理せず、ECサイトを運営している会社が返品物を受け取って処理するケースが多いのです。しかし、運営会社では返送された商品を管理できず、返品置き場となってしまうことが問題になっています。
その点、返品に対応できる業者を選択すれば返品先が倉庫となり、業者が返品されたものを検品し、再度在庫に戻すか不良品として処理してくれます。返品時の負担を軽減できるのでおすすめです。
おすすめのEC物流代行会社
ここからは、おすすめのEC物流代行業者4社をご紹介します。
オーダー!
オーダー!は、ITと物流の専門知識によってECサイト構築から在庫管理、発送までサポートするサービスです。多様なカスタマイズ性でギフト包装や検品、オプション品の組立・動作確認にも対応しています。
自社開発のWMS(倉庫管理システム)は、ECカート型システム、Shopify、BASE、STORESなどECサイト制作プラットフォーム、他にもアマゾン・楽天などのモール型システムとも柔軟な連携が可能で、入出荷管理の生産性と在庫精度を飛躍的に高め、EC事業におけるビジネス戦略の自由度を高めることが可能となります。
さらに宅配業者と特約賃金で契約しているため、自社から送るよりも一つあたりの宅配料が安くなる点がメリットです。少量出荷も受け付けていますので、小規模事業者様でも安心してご利用いただけます。
特徴 | ・ECサイトのITサポートから商品管理・発送までワンストップ対応 ・カスタマイズ性が高い ・横浜にある倉庫は国内外への輸送に理想的なアクセス |
サービス範囲 | 商品の在庫管理、発送、検品、カスタマイズ梱包、海外向け発送、物流コンサルティング、物流システム導入、ECサイトの構築・運用など |
カスタマイズ | 多様な組み合わせでの商品詰め合わせや、オプション品の組立・動作確認に対応可 |
特殊商品の取り扱い | 化粧品、精密機器など |
返品対応 | 相談のうえ対応可 |
サポート体制 | 要問合せ |
費用 | 要問合せ ※クライアントの要望に合わせて算定 |
実績 | 化粧品やアパレルなど多くのEC事業者との取引実績がある |
オーダー!のEC物流サポート事例
オーダー!のEC物流サポート事例をご紹介します。元々別事業を手がけていたところから、新たにファッションブランドを立ち上げたアパレル関連企業様のケースです。
立ち上げにあたって人手とリソースが不足しており、かつ既存事業とは求められる人材も異なるため、ECサイトの構築から運用代行(フルフィルメント)まで委託できる代行業者を探していたそうです。そこで、ECビジネスに必要な業務を一気通貫で支援できる、オーダー!が代行を請け負いました。
【具体的な代行内容】
・ECサイトの更新
※シーズンごとの商品リリース・差し替えなど
・梱包と配送
※ECサイトから受注が入ってから、オーダー!の倉庫に保管している商品を梱包・配送する
・展示会への製品配送・検品など
※オーダー!の倉庫から展示場へ直接アイテムを送付。出展後はアイテムに汚れなどがついていないか検品し、倉庫へ戻す作業を行う
お客様のリソースが限られているなか、ECサイトをスムーズに運営できています。
また、ECサイトの運用代行だけでなく、展示会への配送作業などクライアント事業に関わる個別の要望にも対応。総合的なサポートを評価いただいています。
【お客様のコメント】
「商品タグの差し替えが発生したときに、その取り付け作業などを自社の人間が倉庫へ駆けつけて行わなければいけないと思っていました。しかし、そういった細かい部分もオーダー!では全てやってくれるので本当に丸投げで助かりました!」
株式会社富士ロジテックホールディングス
出典:https://fujilogi.net/
富士ロジテックは、物流設計や構築、管理、改善を行う総合物流会社です。冷蔵・冷凍食品などの特殊商品の取り扱いが得意で、365日発送が可能。返品処理も行い、国内外の広範な配送サービスをサポートしています。
特徴 | ・冷蔵・冷凍食品の物流が得意 ・主要なECサービスとのシステム連携がスムーズ |
サービス範囲 | 入荷、保管、在庫管理、発送、返品対応など |
カスタマイズ | オリジナルの梱包や資材提案、ギフト用の包装、流通加工、同梱物の封入など |
特殊商品の取り扱い | 化粧品、精密機械、食品など |
返品対応 | 対応可能 |
サポート体制 | 2拠点でのサポートを提供し、迅速に対応 |
費用 | ・ポスト投函便340円~ ・宅急便コンパクト600円 ・宅急便60サイズ 640円~ ・商品ピッキング10円~ ・同梱物ピッキング3円~ ・シール貼り10円~ ・返品作業150円~ ・ギフト包装(袋タイプ)80円~ ・保管料(1パレット、月額)3,000円~ |
実績 | 食品や化粧品などの取り扱い実績がある |
株式会社トミーズコーポレーション
出典:https://www.tmys.co.jp/
トミーズコーポレーションは、アパレルやEC向けの総合物流サポート企業です。発送代行やシステム連携、撮影など多様なサービスをカバーしており、リピート通販(定期便)やカスタマイズ対応も可能です。
特徴 | ・特にアパレル物流が得意 ・商品撮影や加工など、多岐にわたる関連業務に対応 |
サービス範囲 | 入庫・保管、通販物流、発送代行、単品リピート通販、物流加工、撮影、プリントなど |
カスタマイズ | 商品撮影やアパレル商品の加工・補修に対応 |
特殊商品の取り扱い | 食品 |
返品対応 | 対応可能 |
サポート体制 | 要問い合わせ |
費用 | 要問い合わせ |
実績 | アパレルや食品などの取り扱い実績がある |
株式会社三協
出典:https://www.kk-sankyo.com/
株式会社三協は、ECやD2C物流のアウトソーシングを提供する物流会社です。誤出荷ゼロ を追求し、顧客の物流業務の効率化をサポート。同社にはストレージプランナー という物流管理の専門職がおり、物流業務をトータルプロデュースしています。
特徴 | ・誤出荷ゼロを目指し、仕組みを構築 ・物流の専門職が統括している |
サービス範囲 | 受注管理、発送代行、物流センター運営代行など |
カスタマイズ | 要問い合わせ |
特殊商品の取り扱い | 食品、化粧品、医療機器などに対応 |
返品対応 | 対応可能 |
サポート体制 | 要問合せ |
費用 | 要問合せ |
実績 | アパレルや化粧品など様々な実績がある |
EC物流代行に関するよくある質問(FAQ)
最後に、EC物流代行サービスを利用する際のよくある質問にお答えします。
Q1. 物流代行サービスの費用はどのくらいかかる?
全体のコストは出荷件数や商品の種類によって異なります。例えば、アパレル商品で月間出荷数が約1,000件の場合、月額60万程度かかることがあります。
(物流代行費用の内訳)
・基本料金
・倉庫保管料
・ピッキング料
・梱包料
・配送料
これらの費用は配送条件やその他の要因によっても変動するため、複数の業者から見積もりを取り、比較することが大切です。
Q2. 物流代行会社を変更する際の注意点は?
物流代行会社を変更する際は、次の点に注意しましょう。
・契約期間や解約条件
・新旧業者間の引継ぎ…在庫データ・顧客情報の共有、業務フローの伝達、システム連携など
・在庫移動のスケジュール管理
・業務フローの調整
これらに気を付けることで、サービスの品質を保ちながら物流代行会社を変更できます。
EC物流代行のまとめ
EC物流代行サービスの利用によって、業務効率化やコスト削減が期待でき、事業の成長につながります。物流業者を選ぶときは、以下の項目を確認しましょう。
・対応範囲
・実績
・システム連携の有無
・臨機応変さ
・返品対応
オーダー!のEC物流代行サービスでは、柔軟なカスタマイズ対応とECサイト運営から物流までの一気通貫支援が可能です。物流品質をアップしながら、コア業務に専念したい方はぜひ一度ご連絡下さい。
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