「コールセンター業務の効率化が進まず困っている」
「コールセンター業務の効率化が進まず困っている」
「顧客対応の品質向上を図りたい」
など、コールセンターの運営について悩んでいませんか。
このような問題を解決するために、AIを導入する企業が増えています。すでに多くの大手コールセンターでAIが使用されており、業務効率化や品質改善に日々役立てられています。
本記事では、コールセンターにAIを導入することを検討している方向けにメリット・デメリットや活用例を解説。おすすめのAIサービスもご紹介しますので、ぜひご一読下さい。
コールセンターの抱える問題
最初に、コールセンターが抱える3つの問題を説明していきます。
- 人手不足
- 応対品質のばらつき
- 教育とトレーニング
人手不足
まず、人手不足は業界全体の大きな問題です。コールセンター業務は高ストレスで精神的な負担が大きく、離職率が高い傾向があります。
厚生労働省の「令和5年上半期雇用動向調査結果」によると、全ての業種の中でもっとも離職率が高いのは「生活関連サービス業・娯楽業」で15.0%、次に「宿泊業・飲食サービス業」で14.8%、コールセンターが含まれる「サービス業(他に分類されないもの)」は11.7%で3番目に多いことが判明しています。
この離職率の高さにより、コールセンターでは人材の入れ替わりが頻繁に発生し、新たなスタッフの確保が絶えず必要とされる状況となっているのです。
応対品質のばらつき
コールセンターでは、オペレーター間で応対品質に大きな差が生じることも問題となっています。前章で述べたように離職率が高く、品質が安定しないためです。
オペレーターによって品質のばらつきが出ることは、顧客満足度を低下させる原因となります。ブランドや製品イメージに悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
教育とトレーニング
三つ目の問題は、教育とトレーニングが常に必要となる点です。
近年、顧客からの問い合わせ内容が多様化しており、オペレーターが覚えなければならないことが増えています。きめ細やかな対応が求められるため、新人スタッフの教育や既存スタッフのスキルアップに多くの時間とコストを要するのです。
継続的な教育とトレーニングはオペレーターに負担がかかり、モチベーションが低下する恐れもあります。
コールセンターでAIを活用する
「人手不足」「応対品質のばらつき」「教育とトレーニング」、これらの問題を解決するためAIを導入するコールセンターが増えています。
日本経済新聞によると、大手コールセンター13社のうち12社で業務の一部または複数にAIを利用しているとのこと。AIの導入により、業務時間を平均50%削減する効果を見積もっています。
このようにAIによってオペレーターの負担を軽減し、より複雑な問題の解決や顧客対応にリソースを割くことが可能です。次章より、コールセンターにAIを導入するメリット、デメリットを詳しく述べていきます。
参考:日本経済新聞「コールセンターの顧客対応、生成AIで5割短く 13社調査」
コールセンターにAIを導入するメリット
コールセンターにAIを導入する、3つのメリットを解説していきます。
- 顧客満足度がアップする
- オペレーターのストレス軽減
- BCP対策になる
顧客満足度がアップする
まず、顧客満足度がアップする可能性が高まります。
AIの導入により年中無休・24時間体制を実現でき、顧客は自分の都合の良い時間にいつでも問い合わせが可能。必要な情報をスピーディに得られ、待ち時間が大幅に短縮されます。
顧客のストレスが減り、顧客満足度の向上につながります!
オペレーターのストレス軽減
次に、オペレーターのストレス軽減もメリットとして挙げられます。
AI搭載のチャットボットやボイスボットを使用することで、オペレーターが対応しなければならない件数が減少し、作業の負担とストレスが減ります。特に作業に不慣れな新人オペレーターの離職率の低下が期待できるでしょう。
BCP対策になる
AIの導入はコールセンターのBCP(事業継続計画)対策にも役立ちます。BCPとは、災害などの緊急事態が発生した際に事業の中断を最小限に抑え、迅速な復旧を図る計画のことです。
AIを活用すると、災害やシステム障害が発生した際にも、自動で顧客の問い合わせに応答し続けることが可能になります。非常時には通話量が急増し、人手だけでは対応が追いつかなくなることが多いですが、AIを導入すれば大量の問い合わせによるコールセンターの機能障害を防げます。
コールセンターにAIを導入するデメリット
コールセンターにAIを導入するデメリットも把握しておきましょう。
- コストがかかる
- 定期的なメンテナンスが必要
コストがかかる
AIシステムをコールセンターに導入する際には、初期投資が必要です。具体的には、次のようなコストが発生します。
・システムの設計費用
・システムの月額料金
・保守管理費用 など
※運用に伴う月額料金と保守管理費用は継続的なコストとなる
また、コールセンターの具体的な状況やサービス内容に合わせたマニュアルの整備、初期設定、カスタマイズも行わなければなりません。AIの導入には、手間と時間がかかることを覚えておきましょう。
定期的なメンテナンスが必要
二つ目のデメリットは、定期的なメンテナンスが必要となる点です。
精度の低いAIは人の手による頻繁な調整が発生し、適切なデータで継続的にトレーニングしなければならない場合があります。情報を最新の状態に保つためにも、定期的なメンテナンスは欠かせません。
コールセンターでのAI活用例6選
ここからは、コールセンターにおける具体的なAI活用例を6つご紹介します。
- 電話応答サービス
- チャットボット・ボイスチャット
- 声紋認証
- 感情分析
- 自動要約
- 予測サポート
電話応答サービス
もっともベーシックな活用法は、電話応答サービスです。電話応答サービスは顧客からの電話問い合わせを自動で受け、適切な回答を提供します。
注文受付などの定型的な業務に活用でき、営業時間外でも顧客対応が可能。従来のガイダンス案内ではなく、自然な会話で応答できる点が特徴です。
具体的には、次のような業務に活用されています。
・レストランの予約受付(インバウンド業務)
・保険の契約更新案内やセミナーの集客など(アウトバウンド業務)
AIを活用することで飲食店では、アルバイトスタッフの平均的な対応水準を超える予約成約率を実現したり、人が行っていた保険契約更新の電話案内の件数を15%程度まで削減したりといった成果が出ていますよ
出典:ハウスガード、火災保険の契約更新案内にAI電話応答サービスを導入
チャットボット・ボイスチャット
チャットボット・ボイスボットは、インターネット回線による顧客からの一般的な問い合わせに自動で応答します。顧客は待ち時間なしで回答を得られ、オペレーターはより複雑な問題や緊急性の高い対応に集中することが可能です。
ChatGPTを活用したFAQと問合せ対応を効率化する方法については、以下も参考にしてください。
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声紋認証
声紋認証は話者の声の特性を分析し、個人を識別する生体認証技術です。この機能を使えば、オペレーターが行っている本人確認作業を自動化できます。
具体的には、認証の際に発した音声と事前登録しておいた音声をデータベース上で照合し、本人であるかを判断します。
生体情報は従来のパスワードやPINコードと比べ、盗難や忘れるリスクがほとんどありません。セキュリティが向上し、不正アクセスや詐欺の防止にもなります。
感情分析
AIは顧客の声やテキストから感情を読み取り、分析することも可能です。この感情分析を活用すれば、オペレーターは顧客がどの程度満足しているか、またはフラストレーションを感じているかを判断しやすくなり、顧客への対応を調整できます。
一人一人に合わせたパーソナライズサービスを提供できるので、顧客満足度が高まるでしょう。
自動要約
自動要約は対話をリアルタイムでテキスト化し、要約する機能です。オペレーターは話の内容を顧客に再確認したり、メモを取ったりする必要がなくなり、顧客対応に集中できるようになります。
要約されたテキストデータは、過去の問い合わせや対応履歴として参照可能。どのオペレーターであっても一貫性のある対応が実現します。
予測サポート
予測サポートとは顧客行動を予測し、それに基づいてサポートするシステムのことです。
サイト訪問者の行動パターンを分析し、類似の行動を示した過去の訪問者がどのような問題を抱えていたかに基づき、AIが問題を予測。自動で適切な回答を提供します。
顧客が問い合わせる前に問題を解決するので、コールセンターの負担が軽くなります。
商品やサービスに対する疑問や不満を持ちながらも、問い合わせせずに離れてしまうサイレントカスタマーの支援にもなるでしょう。
【比較】コールセンターに活用できるAIサービス
続いて、コールセンターに活用できるAIサービスを紹介します。比較表も掲載しているので、参考にしてください。
- Unirobot
- COTOHA Voice Insight
- AmiVoice
- Ivry
- Omnis
Unirobot
出典:https://www.unirobot.com/cloud/
Unirobot CloudはAIによる電話応答サービスです。
オペレーターのように自然な会話で顧客とコミュニケーションを取ることができ、従来の「~~の場合は番号1を押してください」といったガイダンスの待ち時間が発生しません。顧客のストレスを軽減し、成約率の向上につなげられます。
飲食店から保険会社まで幅広い導入実績があり、クライアント企業のニーズに合わせて機能のカスタマイズが可能です。
※UnirobotのAI電話は弊社サービス、オーダー!で導入支援いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。
特徴 | ・多言語対応 ・オリジナルカスタマイズが可能 ・自然な会話応答 |
主な機能 | 音声認識、対話エンジン、音声合成、チャットボット、シナリオエディター、多言語対応、会話ログ保存、外部データベースシステム連携、SNS通知 |
料金 | 要問い合わせ |
実績 | 飲食店から保険会社まで幅広い実績がある |
COTOHA Voice Insight
出典:https://www.ntt.com/business/services/application/ai/cotoha-vi.html
COTOHA Voice Insightは、NTTの音声認識技術を利用した音声テキスト化サービスです。
コールセンター向けのプランには、音声認識以外にも業務効率化に役立つさまざまな機能が備えられています。例えばオペレーターの話し方をチェックし、応対品質を向上できる応対分析や、 発話内容に応じて関連FAQを自動で表示し、迅速な対応を支援する機能などを利用できます。
特徴 | ・NTT独自の音声認識技術を使用 ・中、大規模コールセンター用 ・さまざまな機能を搭載 |
主な機能 | リアルタイム音声認識、注目ワードアラート、リアルタイムモニタリング、感情分析、AI通話要約、ナレッジ文書検索、オペレーター評価 |
料金 | 要問合せ |
実績 | 要問合せ |
AmiVoice
出典:https://www.scsk.jp/product/common/speech_recognition/
AmiVoiceは、SCSK株式会社が提供する音声認識サービスです。企業ごとに特有の用語を設定可能で、同社のその他のソリューションと連携させることでコールセンターの業務効率化を促進します。
HPには業務改善事例が掲載されており、多くのコンタクトセンターに導入されていることが分かります。
特徴 | ・国内シェア1位の音声認識システム ・企業ごとに特有の用語(辞書)を設定可能 |
主な機能 | 会話の自動テキスト化、辞書設定 など |
料金 | 要問合せ |
実績 | 多数の大手コンタクトセンターへの導入実績がある |
Ivry
出典:https://ivry.jp/
IVRyは、さまざまな電話業務を効率化する電話応答サービスです。月額3,000円から利用でき、コスト効率が良い点が特徴。 営業時間内外での応答ルールや、複数の言語に対応する音声ガイダンスなどを設定できます。
マスメディアや金融、医療など多岐にわたる業界で利用されています。
特徴 | ・月額3,000円から利用可能 ・着信フローが柔軟 ・英語や中国語など複数の言語で対応可能 |
主な機能 | AI電話、SMS自動返信、受信通知、リダイレクト、複数転送、音声録音、顧客管理、ブラウザ発信機能、AI要約など |
料金 | ・ベーシックプラン 月額3,000円~ ・プラスプラン 月額5,000円~ ・エンタープライズプラン 要相談 |
実績 | 累計アカウント数12,000件 |
Omnis
出典:https://www.marubeni-sys.com/msys_omnis/
Omnisは、丸紅情報システムズ株式会社が提供する音声テキスト化サービスです。Google Cloud™の機械学習エンジンを使用したクラウドサービスで、FAQや要約、感情分析が基本機能として搭載されています。低コストで運用できる点、拡張性が高い点が特徴です。
特徴 | ・従量課金モデルで低コスト運用が可能 ・精度を向上させるためのチューニングが不要 ・多様なアプリケーションと連携できる |
主な機能 | 音声認識、文章要約、感情分析、AI FAQ |
料金 | 要問い合わせ |
実績 | 全国展開する企業や保険会社などへの導入実績がある |
コールセンターのAI導入・まとめ
本記事では、コールセンターにAIを導入することについて解説しました。そのメリットは次のとおりです。
・24時間365日の顧客対応が可能になり、顧客満足度を高められる
・オペレーターの負担を減らし、ストレスの軽減と離職率の低下が見込める
・BCP対策になり、災害時にもサービスを継続できる
電話応答サービス、感情分析、自動要約など、コールセンターでのAI活用方法は多岐にわたります。本記事の活用例を参考に、業務効率とサービス品質を向上させ、よりスムーズな運営を目指しましょう。¥
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