自社の商品を管理する物流倉庫を選ぶときには、ロケーションを重視することをおすすめします。

リードタイムを短縮できる首都圏の物流倉庫は魅力ですが、固定費がかさむ傾向にあります。

反対に、首都圏から離れれば離れるほど物流倉庫の固定費は節約できますが、その分リードタイムが長くなり、サービスの品質が低下したという事例もあるほどです。

自社に最適なロケーションに物流倉庫を構えるには、どのような観点で選ぶと良いのでしょうか。今回は、物流倉庫選びで失敗しないための選び方のポイントや、最適な場所について解説します。

物流倉庫とは

物流倉庫とは、製造された商品を預かり、仕分けや流通加工、配送までを管轄する場所です。

単に荷物を保管する「倉庫」とは異なり、消費者の手に渡るまでの多岐にわたるプロセスを担っています。

物流倉庫の主なサービス内容

物流倉庫の主なサービス内容は以下の6つです。詳しい役割を一つずつ見ていきましょう。

物流倉庫の主なサービス内容
  • 入庫
    • 仕入れ先や工場からの荷受けを行う作業
  • 検品
    • 届いた商品の数量や故障・破損・欠品などの有無を確認する作業
  • ピッキング
    • 出荷オーダーを受けて倉庫内から該当の商品を集める作業。受注先ごとに一つずつ集める摘み取り方式と、まとめて取り出して仕分けする種まき方式がある
  • 流通加工
    • 商品タグの取り付けや詰め合わせなど、販売するにあたって必要な加工作業
  • 梱包
    • 配送する商品が傷つかないように包装する作業
  • 出荷
    • 配送先に荷物を出す作業。中身や送り先の確認、積み荷が主な業務

物流倉庫を使うメリット

自社で倉庫を構えるのではなく、外部の物流倉庫を利用するメリットは、主に「コスト削減」と「業務効率化」の二つにあります。

具体的にどのようなメリットがあるのかについて説明していきます。

コスト削減

物流倉庫を利用する大きなメリットとして、コスト削減が挙げられます。

自社で倉庫を用意するとなると、土地代や倉庫本体の建築費など、さまざまなコストがかかります。倉庫をレンタルするにしても、それを管理する人員のコストが発生するものです。

もちろん外部の物流倉庫を利用する場合もコストは発生しますが、物流のプロに依頼すれば、繁忙期や閑散期に合わせて人員数を調整可能です。これによって余計なコストを最大限にカットできます。

コストダウンに成功すればキャッシュフローも改善され、新しい事業にチャレンジできるようになるかもしれません。

業務効率化

業務効率化も、物流倉庫を利用する大きなメリットの一つです。自社で倉庫を持つと管理に手間がかかり、肝心な本業に支障が出るおそれがあります。

それも専門家に依頼することによって、入庫から出荷までの一連の業務を一任できます。プロが管理業務に携わるため、スムーズな作業が期待できます。

また、倉庫の容量が限界に達したときにも物流倉庫は便利な存在です。自社倉庫の場合は新しい倉庫を探す作業や、その倉庫に荷物を運び入れる作業が発生します。

しかし、物流倉庫であれば容量の拡大にもスピーディーに対応してもらえますので、倉庫内業務が滞ることがありません。

物流倉庫の選び方

物流倉庫を選ぶうえで重要なポイントは、以下の4つです。

実際には、この4項目以外にも倉庫の坪単価や配送費用、依頼する企業のオフィスと倉庫の距離など、重要な項目が多数存在します。

全体のバランスを見て、総合的に最も自社にマッチする委託先を決めましょう。

保管条件

どんなに管理体制がしっかりしている物流倉庫でも、自社で取り扱っている商品とマッチしなければ意味がありません。

たとえば自社で食品を取り扱っている場合、常温だけではなく、冷蔵・冷凍設備を持つ倉庫が必須です。また、消費期限・賞味期限の管理を適切に行えるノウハウも求められます。

消防法における危険物を取り扱っている場合、危険品倉庫を選択する必要があります。

時期によって商品の在庫量・出庫量が激しく変動するのであれば、柔軟に調整してもらえる大容量の物流倉庫がおすすめです。

取り扱う商品によっては、許可証や報告書の保持・提出が求められることもあります。物流倉庫が自社の商品に対応できるかどうか、事前に必ず確認しましょう。

サービス内容

物流倉庫が提供する基本的なサービス内容としては、先述した入荷・検品・ピッキング・仕分け・梱包・出荷が挙げられます。

しかし、すべての物流倉庫がこれらのサービスを請け負っているわけではありません。依頼後に希望していたサービスの対応を断られたということがないように、あらかじめ候補の物流倉庫が扱っているサービス内容を把握しておきましょう。

また、基本的なサービス以外にも、ラッピングやパンフレット封入など、オプションサービスを提供している物流倉庫も少なくありません。

オプションサービスが充実していることで、より顧客満足度の高いサービスを提供できるため、物流倉庫がどのようなサービスを行っているかも確認してみてください。

コスト

物流倉庫を利用するメリットの一つである「コストの削減」を実現するために、自社にとってコストパフォーマンスの良い物流倉庫を選びましょう。

一般的に、物流倉庫の利用料金は

・基本料金(保管料・システム利用料など)
・従量課金(サービス料・配送料など)

の二つで構成されています。

保管する商品の量や依頼するサービスによって利用料金は変わります。複数社から見積もりを取ることで、具体的な料金をイメージできるでしょう。

ただし、物流倉庫を決めるうえでコストは非常に重要な要素ですが、決して安ければ良いというわけではありません。

安さを重視しすぎたためにサービスの内容や品質が十分でなかったり、ロケーションが悪くて配送に時間がかかったりするおそれがあるためです。

実際に、首都圏から坪単価の安い北関東の倉庫に移転した結果、当日出荷の締め時間が早くなり、サービス品質を落としてしまった企業も存在します。

この失敗事例を教訓に、物流倉庫を選ぶときはコストだけではなく、サービスや立地など、その他の面も考慮して総合的に費用対効果を検討しましょう。

場所(立地)

倉庫の立地や物流ルートとの位置関係など、物流倉庫の立地は非常に重要です。

前述した通り、どんなにリーズナブルでも立地が悪いと利便性が悪くなる可能性が高いため、立地も重視して選びましょう。

予算に余裕がある場合は、東京の平和島などがおすすめです。また、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県の倉庫であれば、おおむね午前11時までの注文で当日出荷に対応でき、翌日配送が可能です。

同じ関東圏でも栃木県など北関東の倉庫になると、当日出荷の締め時間が早まる可能性があります。このように、倉庫の場所によって当日出荷の締め時間に差が出るため、作業にも大きな影響を与えます。

幅広いエリアで効率的に対応できるようにするためには、関東に一箇所、関西に一箇所など複数箇所に倉庫を構えて当日出荷を可能にすると良いでしょう。

具体的な場所については、「物流倉庫に最適な場所とは」で後述します。

また、物流倉庫の立地を考えるうえでは、「生産立地型倉庫」と「消費立地型倉庫」のいずれかの視点で検討することも大切です。

生産立地型倉庫

生産立地型倉庫とは、商品の仕入れ先や生産地に近い場所に設けられた倉庫です。

仕入れ先や生産者が多い農協、またアパレル産業やメーカーは生産立地型倉庫を選び、配送コストを抑える傾向にあります。

生産地に近いことで良い商品を安価で仕入れやすくなり、商品力の強化にもつながるというメリットがあります。

消費立地型倉庫

消費立地型倉庫とは、販売先や消費地に近い場所に設けられた倉庫です。

このタイプの倉庫がおすすめなのは、販売先からのリードタイムの要望が厳しくなりやすい食品卸売販売業者や日配メーカーなどです。

販売先に近いため、受注が少々遅れてしまっても配送を間に合わせやすくなります。出荷のタイミングを販売店などに合わせて臨機応変に配送できる点は大きなメリットです。

倉庫の立地を決める際は、仕入れ先と販売先のバランスを考えて決めるといいでしょう。

物流倉庫に最適な場所とは

物流倉庫に最適な立地条件は以下の4つです。それぞれのポイントを見ていきましょう。

関東圏の物流倉庫

2022年現在、ECサイトにおける配送先の約半分を関東圏が占めています。製造地は他の場所でも問題ありませんが、物流倉庫や流通加工は関東圏の方が効率が良いと言えます。

関東圏に物流倉庫を設けることでリードタイムも短くなり、物流コストもカットできます。

「○円以上の購入で送料無料」というサービスを提供している企業も多いですが、配送先に近い関東圏に倉庫があれば、企業側が負担している配送料を安く抑えることが可能です。

このような理由から、関東圏の物流倉庫はおすすめの候補先の一つです。

周辺の道路状況が良い倉庫

「物流倉庫周辺の道路が一車線」「駐車場の入り口が狭い」など、周辺の道路状況が悪いと商品の搬入がしづらく、出入荷作業にも支障をきたす可能性があります。

そのため、物流倉庫を検討する際には、周辺の道路状況も合わせて確認しておきましょう。

幹線道路や高速道路の入口付近の立地であれば配送がスムーズになり、遅延を防ぐことができます。

空港や港へのアクセスが良い倉庫

海外の企業や顧客との取引が多い企業であれば、空港・港が近い物流倉庫がおすすめです。

例えば、神奈川県であれば羽田空港からのアクセスが良好なため、海外から届いた商品をスムーズに倉庫に運び入れることが可能です。

さらに、神奈川県横浜市は大黒ふ頭などの港も近く、コンテナを引っ張る料金を比較的安価に抑えられます。飛行機や船を使って出入荷することが多い企業にはぴったりです。

公共交通機関からのアクセスが良い倉庫

出入荷される荷物だけではなく、物流倉庫で働く人にも気を配って立地を決めましょう。

公共交通機関からのアクセスが悪い場所に倉庫を構えると働き手が集まりにくく、繁忙期などには人手不足になる可能性があります。

また、アクセスの良い場所に物流倉庫があれば、企業側の社員が立ち会う際にも便利です。

貨物列車で搬送された荷物も入荷しやすくなることから、公共交通機関からのアクセスが良い物流倉庫を選ぶに越したことはありません。

物流倉庫ならオーダー!

今回ご紹介した物流倉庫サービスを提供している「オーダー!」。どのようなサービスを提供しているのか、おすすめポイントと合わせて紹介します。

オーダー!の物流サービス

日々の業務、お客様の事業をサポートするビジネスコンシェルジュ「オーダー!」では、さまざまな業務代行サービスを提供しています。

オーダー!の物流サービスでは、物流のプロがコンサルティングから独自の物流システム導入支援、また在庫管理や検品、発送といった物流業務を包括的にサポートします。

【個別相談メニューの対応業務例】

・ECサイト在庫管理・発送
・個人事業主向け 在庫管理・発送
・カスタマイズサービス
・電子チケット・金券配送
・ふるさと納税 請負代行
・海外向け発送
・検品代行
・物流業務プロセス見直しコンサルティング
・物流システム導入
・内職代行

このように、専門性が求められる業務を幅広く請け負えるのがオーダー!の強みです。

そんなオーダー!では、横浜市金沢区のシーサイドエリアに約4,000坪の倉庫を構えています。羽田空港からは自動車で約25分、横浜港からは約15分の立地にあり、国内外への輸送に最適なロケーションです。

また、高速道路の幸浦インターにも近くアクセスが良好なため、当日出荷の締め時間にも余裕を生むことができます。

アクセスの良さは保ちつつ、都内と比較すると坪単価や作業単価を抑えることができ、低コストと業務効率化の両方が実現します。

アクセスの良い神奈川倉庫は、トラブル発生時や棚卸の際に企業の方が立ち寄りやすい点も魅力です。大型で重い機械のような商品から小さな商品まで対応しているため、物流倉庫をお探しの方はぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

今回は物流倉庫を選ぶポイントや理想のロケーションについてお伝えしました。

「自社で倉庫を管理するのはハードルが高い」

「自社にぴったりな物流倉庫がなかなか見つからない」

このようなお悩みを持つ方は、ぜひオーダー!の物流サービスをご検討ください。経験豊富なメンバーが、お客様のご要望に沿ったプランを多数ご提案させていただきます。

立地以外の2024年問題に対応できる物流倉庫の選び方については以下の記事に詳しくまとめていますので、参考にしてください。

物流代行全般について理解したい方は、以下の記事に詳しくまとめていますので参考にしてみてください。