ウェブサイトを運営する上で、訪問者がどれだけ多くのページを閲覧し、最終的に購買やお問い合わせといったコンバージョン(以下 CV)に結びつくかは、非常に重要な指標です。
本記事では、コンバージョン率を高めるために欠かせない「サイト内回遊」を促す具体的なアプローチについて、分かりやすく解説していきます。
回遊施策の目的と役割

ウェブサイトにおける回遊施策の目的は、訪問者により多くのページを閲覧してもらい、その結果としてコンバージョン率を高めることにあります。訪問者が長くサイトに滞在することで、商品やサービスに関する理解が深まり、購買やお問い合わせといった行動へつながりやすくなります。
また、複数の商品やサービスを比較したり、関連記事を通じて知識を補ったりすることで、訪問者は自分に合う選択肢を見極めやすくなります。その過程で「このサイトは信頼できそうだ」と感じやすくなり、リピーターとなる可能性も高まります。
さらに、回遊性の向上はSEOにも好影響を及ぼします。検索エンジンは、訪問者がどれだけ多くのページを閲覧し、どのくらいの時間サイトに滞在するかを評価指標のひとつとしています。
そのため、訪問者が複数のページを閲覧し続けることで検索エンジンからの評価が上がり、検索順位の向上につながる可能性があります。
効果的な回遊ポイントの見つけ方

コンバージョンに結びつくページを特定する
コンバージョンに至ったユーザー(CVユーザー)が、どのページを経由しているかを分析することは非常に重要です。Google Analyticsなどの解析ツールを使うことで、CVユーザーがよく訪れるページを洗い出し、全体の訪問者に対してどの程度割合を占めているかを把握できます。この割合が高ければ、そのページはコンバージョンに強く貢献していると考えられます。
例えば、ECサイトで特定のカテゴリーページを閲覧したユーザーの多くが購入に至っている場合、そのページは「購買に直結する重要な経路」といえます。そのため、そのページにアクセスしやすい導線を設計したり、他のページから積極的にリンクしたりすることが有効です。
データを活かした改善
- 行動データの分析
- 単に訪問順序を見るだけでなく、CVユーザーの閲覧数に対して全体ユーザーの割合を比較することで、どのページが「効率的にコンバージョンへつながっているか」を判断できます。
- ヒートマップの活用
- ページ内でどこが注目され、どこが無視されているかを可視化できます。必ずしもすべてのケースで必要ではありませんが、特にCV貢献度が高いページをさらに磨き上げる際には有効なツールです。
- ページの改善
- 発見したCV貢献ページを強化しましょう。商品の魅力を伝える画像やレビューを増やす、CTA(Call To Action: お問い合わせや購入ボタンなど目的となる行動を促進するメッセージやボタン)の配置を工夫するといった改善が効果的です。
高アクセスなのに離脱されやすいページを特定する
アクセス数が多いにもかかわらず直帰率が高いページは、サイト改善の大きなヒントになります。直帰率が高いということは、訪問者がそのページだけを見て離脱してしまっている可能性が高く、内容や使いやすさに課題があると考えられます。
直帰率の水準は業界やサイトの種類によって異なりますが、一般的に平均は50%前後といわれています。したがって、明らかにそれを上回る数値のページがある場合は、改善を検討する必要があります。
改善の具体的なポイントは以下の通りです。
- コンテンツの見直し
- 内容がわかりにくかったり、ユーザーが求める情報が不足していると直帰率は高まりがちです。文章を整理し、必要な情報を簡潔に提示することが効果的です。
- デザインと表示速度の改善
- ページが見づらい、あるいは表示が遅いと、それだけで離脱の原因になります。UIを使いやすく整え、ページの読み込み速度も最適化しましょう。
- 内部リンクの強化
- ページを見終えた後の「次の行動先」を提示することも重要です。記事末尾に関連ページへのリンクを設けたり、商品紹介ページに「おすすめ商品」への導線を追加したりして、自然に回遊を促します。
具体的な回遊施策

施策1:関連商品・サービスを提案する(アップセル/クロスセル)
訪問者が閲覧しているページに関連する商品やサービスを表示するのは、回遊を促す王道の手法です。特にECサイトでは、アップセル(より上位の商品を提案)やクロスセル(関連する別の商品を提案)を通じて、購買意欲を高めながら回遊を広げられます。
- アップセルの例:同じ商品カテゴリーで、上位モデルやプレミアム版を提案する。
- クロスセルの例:ある商品の購入ページで、消耗品・関連グッズ・一緒に購入されることが多い商品を表示する。
- コンテンツからの提案:ブログ記事や特集ページでも関連する商品・サービスを紹介し、自然に商品ページに誘導する。
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施策2:使いやすいナビゲーション設計
訪問者が迷わず目的のページにたどり着けるよう、ナビゲーションはシンプルかつ直感的に設計する必要があります。
- メインナビゲーションの最適化:重要なカテゴリやページへのリンクをわかりやすく配置。
- フッターナビゲーションの補完:プライバシーポリシーや問い合わせフォームなど、基本情報も整理。
- 検索機能の整備:キーワード検索を充実させ、結果ページの精度も高める。
施策3:CVにつながるページへの導線を強化
ブログや情報ページから商品ページ、キャンペーンページへとスムーズに誘導することで、コンバージョンに近づけます。
- コンテキストリンク:文章中に自然に関連ページを差し込む。
- 関連コンテンツウィジェット:記事末尾やサイドバーで「関連情報」を提示。
- 視覚的な導線:ボタンやバナーを使い、「次に取るべき行動」を強調。 ※これは「CVに貢献するページの特定」とセットで取り組むと効果的です。
施策4:カテゴリ・情報設計の最適化
カテゴリ設計は、訪問者が欲しい情報にたどり着けるかどうかを左右します。
- ユーザー視点での分類:提供者側の都合ではなく、ユーザーが探す軸に合わせてカテゴリを設定する。
- カテゴリの整理とシンプル化:重複や細分化しすぎを避け、わかりやすい構造に。
- タグ付けの活用:横断的な情報整理を可能にし、複数カテゴリをまたぐ回遊を促す。
施策5:ページ内リンクを自然に活用する
ページ本文内のテキストリンクは、もっとも自然に回遊を生み出す仕組みです。
- インラインリンク:記事本文に関連ページを差し込む。
- リンクテキストの明確化:「こちら」ではなく「関連商品の詳細を見る」といった具体表現を使う。
- ページ内リンク(目次):長文コンテンツは目次を設け、必要な情報へジャンプできるようにする。
施策6:回遊バナーを魅力的に設計する
サイト内の特定ページやキャンペーンへ誘導するバナーは、視覚的に効果の高い回遊施策です。
- デザイン:シンプルかつ目を引く色使いで内容を一目で伝える。
- キャッチコピー:訪問者にとってのメリットを短く端的に提示。
- テストと改善:A/Bテストで反応を比べ、効果の高いものを残す。必ずしも毎回必要ではありませんが、重要なキャンペーンでは検証が有効です。
その他の重要ポイント
- コンテンツの質を高めること:どれだけ導線を工夫しても、中身が薄ければ回遊は続きません。価値ある情報提供が前提です。
- 効果測定と改善:施策を実施した後は、アクセス解析やヒートマップで効果を確認し、改善を繰り返すことが重要です。
まとめ
ウェブサイトの回遊を促すには、まず訪問者にとって価値あるコンテンツを用意し、分かりやすいナビゲーションと自然な内部リンクで次の行動を示すことが欠かせません。こうした工夫を積み重ねることで、コンバージョン率の向上や滞在時間の延長につながります。
大切なのは、単独の施策に頼るのではなく、複数の施策を組み合わせて「サイト内を気持ちよく回遊できる体験」を設計することです。訪問者がサイトを探検する過程そのものが心地よい体験となれば、結果的に成果も自然と高まっていきます。

CVを高めるためには価値あるコンテンツを提供することに加えて、回遊を促すためのサイト設計も大切ってことがわかりましたか?