2022年11月に公開されて以降、注目を集めているAIチャットボットサービス「ChatGTP」。対話形式で会話だけるだけでなく、調査やドキュメント作成などにも活用でき、大幅な業務効率化が期待できます。

しかし、

「企業が導入するメリットは?」
「ChatGTPで実際に何ができるの?」
「ChatGTPをどうやって活用すればよいか分からない」

といった疑問や悩みをお持ちの方もいるでしょう。

そこでこの記事では、ChatGTPを活用したドキュメントやコンテンツの作り方、企業が導入するメリットと使用時の注意点について、実際のプロンプトと回答例をもとに詳しく解説

また、応用編として、ChatGTPのAPIを活用した業務効率化のアイデア例も紹介しています。ぜひ参考にしてください。

ChatGPTとは?

ChatGPTとは、人工知能を研究するアメリカのOpenAI社によって開発された「対話に特化した言語モデル」のひとつ。入力したテキストに対して、対話形式で自然な回答を生成するAIチャットボットサービスであり、質問応答、文章生成、学習サポートなど多岐にわたって活用されています。さらに、プログラミングコードの生成やデバッグのサポート、データ分析の初期処理など、技術的な分野でもその能力を発揮しています。

2022年11月30日に公開されてから、わずか2カ月で世界ユーザー数が1億人するという驚異的なスピードで普及しました。国内でも注目を集めており、すでに多くの企業でChatGPTの導入が始まっています。例えば、カスタマーサポートの自動化やマーケティング資料の作成支援などに活用されています。また、日本では政府や省庁での活用も検討されており、行政サービスの効率化や教育現場での学習支援など、幅広い分野での応用が期待されています。

ChatGPTの能力と特徴

ChatGPTは以下のような能力や特徴を持っています。

自然言語で指示できる

ChatGPTは、人間と会話するときと同じ自然言語での指示を理解できるため、複雑なコーディングやプログラムの知識を必要としません。そのため、専門的な知識を持っていなくても直観的にAIとコミュニケーションを取ることができます

例えば、「新商品の紹介文を書いてほしい」や「プレゼン資料のアウトラインを作成して」といった要望にも対応可能です。

対話形式で回答を引き出せる

ChatGPTでは、入力した質問に対して対話形式で回答を引き出せます。人間の会話と同様に、これまでの会話(質問)の流れを汲み取ったうえでChatGPTが回答を生成することも可能です。これにより、より自然なやり取りを通じて回答や情報を得ることができます。

例えば、「旅行プランを提案して」と依頼し、その後「予算は3万円以内で、温泉がある場所がいい」と追加情報を伝えると、それに合わせた提案をしてくれます。

文章のスタイルや言語を変えることができる

ChatGPTは、ユーザーの要求に応じて生成する文章のスタイルや言語を変えることができます。

ビジネス文書からカジュアルなメッセージ、小説風の文章まで様々なスタイルのテキスト作成が可能です。さらに、表やリスト形式で情報を整理することもできます。日本語や英語だけでなく、多言語でのコミュニケーションも可能であり、例えば英語のメールを日本語に翻訳したり、その逆も行えます。

クリエイティブなコンテンツの生成

詩や物語、キャッチコピーなど、クリエイティブなコンテンツの生成も得意としています。これにより、コンテンツ制作者がアイデア出しやブレインストーミングに活用することができます。例えば、「環境保護をテーマにしたスローガンを考えて」といった依頼にも応じます。

学習や調査のサポート

特定のトピックに関する情報提供や、概念の説明など、学習や調査のサポートも行えます。最新の業界トレンドや技術情報について概要を知りたいときに役立ちます。ただし、学習している情報が都度アップデートはしているもののある時期までであるため、それ以降の情報については注意が必要です。

ChatGPTを使ったコンテンツ制作

ChatGPTが公開されて以降、あらゆる分野で活用されはじめています。特にコンテンツ制作の分野では、アイデア出しから文章の執筆、編集作業まで幅広くサポートしてくれます。ここでは、ChatoGPTを使ったコンテンツ制作の作り方を紹介します。

調査資料の自動生成

コンテンツ制作において、調査資料の作成は重要な作業のひとつです。しかし、検索エンジンで情報を収集し、必要なものを絞り込んで整理や分析を行う従来の方法では、時間と労力がかかります。一方、ChatGPTを使えばこれらの作業を効率化することが可能です。

たとえば、自社サイト上に「リボよりも金利が低い返済方法」というテーマの記事を掲載することになったとしましょう。ChatGPTを活用して記事を書く場合、以下のようなプロンプト(コンピューターなどに対する指示や質問文のこと)を入力します。

リボ払いよりも金利が低くなる返済方法を一覧で出力してください。なお、他にもこの記事作りに役立ちそうな資料のアイデアがあれば出力してください。

すると、以下のような答えが返ってきます。

ChatGPTを活用すれば、情報の収集から文章の作成までを全て行ってくれるため作業効率が大幅にアップします。さらに、ChatGPTは多角的な視点から情報を提供してくれるため、新たな発見やアイデアの創出にもつながります。初心者でも専門的な情報を簡単に取得できるので、質の高いコンテンツ制作が可能になります。

文章の質の向上と時間の削減

人間が文章を書くと、どうしても誤字脱字や表現などのミスが発生します。そこで、人の書いた文章をChatGPTに添削してもらうという使い方が可能です。「以下の文章の添削をしてください。誤字脱字、不自然な言い回しなどを修正してください」といった簡単なプロンプトと一緒に添削してほしい文書を添えるだけで、修正を行ってくれます。

例えば、ビジネスメールやプレゼン資料、報告書などのチェックに活用できます。さらに、ChatGPTに文書の改善案やより魅力的な表現の提案を依頼することも可能です。これにより、文章の質を向上させつつ、校正・編集にかかる時間を削減できます。

多言語コンテンツの自動生成

本来、翻訳には専門家が必要です。しかし、ChatGPTはさまざまな言語に対応しているため、日本語のやり取りのあと、「この出力文を英語に訳してください」と簡単な指示を出すだけで、すぐに翻訳してくれます。

また、英語だけでなく他の言語にも対応しているため、多言語展開を考えている企業にとっては非常に有益です。異なる言語間でのニュアンスや文化的背景を考慮した翻訳も期待できます。

たとえば、先ほどChatGPTで生成した「リボよりも金利が低い返済方法」というテーマの文章を英語に翻訳してみましょう。

リボ払いよりも金利が低くなる返済方法を一覧で出力してください。リボ払いよりも金利が低くなる返済方法を一覧で出力してください。なお、他にもこの記事作りに役立ちそうな資料のアイデアがあれば出力してください。

という質問で出力された回答に対し、以下のプロンプトを入力します。

この出力文を英語に訳してください

すると、以下のように翻訳してくれます。

このように出力された情報を簡単に英訳することが可能です。もちろん、自分で文章を入力し「この文書を英訳してください」と指示すれば、英訳してもらうこともできます。

【ChatGPTで解決できる】調査やドキュメントの作成におけるよくある悩み

コンテンツ制作でよくある悩みは、ChatGPTを活用することで解決できる場合があります。ここでは、具体的な課題とその解決策を紹介します。

検索エンジンでの情報収集の手間と時間

調査やドキュメントの作成時に多い悩みのひとつが、情報収集に手間がかかること。しかし、前述したようにChatGPTでは情報収集から整理・分析までも行ってくれるため、手間と時間を削減することができます。

ChatGPTは2021年9月までの情報しか学習していないため、欠点がありました。しかし、2023年以降、ChatGPTは「Browsing」や「Plugins」といった機能を追加し、最新の情報にもアクセスできるようになりました。これらの機能を利用するには、有料プランのChatGPT Plusに加入する必要があります。

たとえば、「オーダー!」に掲載されているBtoBサイト制作のポイントや注意点を解説してくれる記事を要約してみましょう。プロンプトは、「以下の記事を要約してください。+URL」だけでOKです。実際に入力したプロンプトをは以下の通りです。

以下の記事を要約してください。https://order-us.jp/article-btob-web/

すると、以下の画像のように要約してくれます。

このように記事の要点を出力してくれるので、ChatGPTを使うと短時間で効率的な情報収集が可能です。

膨大な情報から必要なものを絞り込むスキルと労力

情報収集後は、集めた情報を精査し必要な情報だけを抜き取る作業が必要ですが、これもChatGPTで作業の短縮化が可能。ChatGPTでは出力された情報を表にまとめることができます。

たとえば、「以下のデータを表形式でまとめてください」と指示すれば、見やすい形で情報を整理してくれます。

さらに「Advanced Data Analysis」(以前はCode Interpreterとして知られていました)というプラグインを使えば、集めた情報をグラフやチャートにまとめることもできるため、視認性を高めた資料作成でも役立ちます。たとえば、売上データやアンケート結果をアップロードし、「このデータをもとにグラフを作成してください」と依頼するだけで、瞬時に可視化できます。

これにより、データ分析の専門知識がなくても、効果的なデータ可視化が可能となり、意思決定の迅速化につながります。

企業がChatGPTを活用するメリット

企業がChatGPTを活用するメリットは、以下の3つです。

コスト削減

ChatGPTを導入することで、先に述べたような多くの業務プロセスの自動化が可能となります。従来、人手が必要だった業務をChatGPTに任せることができるようになり、人件費や研修費用を削減することができます。

たとえば、カスタマーサポートの初期対応やFAQの自動応答、データ入力業務などでコスト削減が期待できます。

品質向上

ChatGPTには、高度な自然言語処理能力が備わっており、正確で一貫性のある情報提供が可能です。

そのため、活用するほどに精度が向上するのが特徴です。体力や感情に左右されることもないため、365日24時間の対応が求められるカスタマーサポートなどにおいても、一貫した品質の情報提供ができるようになります。その結果、顧客満足度向上への貢献が期待できます。

また、対応履歴を分析することで、サービス改善のヒントを得ることも可能です。

業務の効率化

ChatGPTは高速に情報を処理し、迅速にアウトプットしてくれるため、短時間でより多くのタスクを完了できます。業務の効率化はもちろん、時間の削減にもつながります。その結果、空いた時間や人員をコア業務に集中させることも可能です。

さらに、ChatGPTは多言語対応しているため、グローバル展開を行う企業にとっても大きなメリットとなります。

ChatGPTを使用する際の注意点

ここからは、ChatGPTを使用する際の注意点を紹介します。これらを理解しておくことで、より安全かつ効果的にChatGPTを活用できます。

情報の正確性

ChatGPTは大量のテキストデータから学習を行い、入力した質問やリクエストに対して回答を生成します。しかし、データに含まれていない最新の情報や知識については正確に答えられない場合もあり、求めている回答を得られないケースがあります。この場合は、質問の仕方を変えたり、新しい情報を与えたりするなどの工夫が必要です。

また、インターネット上に誤った情報があれば、それを学習して誤った情報を回答としてアウトプットするケースもありますそのため、ChatGPTの回答をそのまま信用するのではなく、2次チェックやファクトチェックなど人の手による確認が必要です。特に、医療や法律、金融など専門性が高く正確性が求められる分野では注意が必要です。

さらに、ChatGPTは時折「幻覚」(hallucination)と呼ばれる、存在しない情報をあたかも事実であるかのように生成することがあります。これを防ぐためにも、重要な情報については信頼できるソースで裏付けを取ることが重要です。

学習させた情報が流出するおそれがある

ChatGPTに入力した内容が、学習用として使用される可能性があります。開発会社のOpenAI社が目にする可能性があるだけでなく、ChatGPTが第三者に回答として提供するリスクを秘めています。そのため、機密情報や個人情報などの取り扱いには十分な注意が必要です。

アランくん

企業でChatGPTを導入する際は、機密情報の入力を禁じるなど対策を考えておきましょう。

具体的には、社員への利用ガイドラインの策定や、情報セキュリティ教育の実施が考えられます。また、OpenAIはユーザーが入力したデータを学習に使用しないオプトアウト機能を提供しています。この機能を活用することで、データ流出のリスクを軽減できます。

さらに、企業向けにセキュリティが強化されたバージョンのChatGPTや、オンプレミスで運用できるソリューションも登場しており、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが可能です。

著作権への配慮

近年、ChatGPTをはじめとした生成AIの普及に伴い、著作権に関する問題が浮上しています。特に、生成AIが生成するコンテンツについては著作権侵害の恐れがあると指摘されており、2023年6月、政府は「知的財産推進計画」の中で「生成AIによる著作物の学習が侵害にあたるケース」について具体的な方策を検討すると明記しました。

そのためChatGPTの利用においては、著作権について十分な理解と対応をしたうえで導入を検討しましょう。具体的には、AIが生成したコンテンツをそのまま公開・配布する際には、著作権法上の問題がないか確認する必要があります。また、第三者の著作物を無断で入力し、AIに学習させることも避けるべきです。

企業では、法務部門と連携して利用ポリシーを策定し、社員に対して適切な教育を行うことが重要です。さらに、生成されたコンテンツに対しても、オリジナリティや法的リスクを検討し、必要に応じて専門家の意見を求めることが推奨されます。

【応用編】ChatGPTのAPI活用のアイデア

ChatGPTはAPIも提供しており、ChatGPTを応用した独自のツールを作ることも可能です。なお、APIとは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)のことで、簡単に言えば、外部アプリと連携できるようにするインターフェースのことです。

ChatGPTのAPIを活用すれば、自社の業務フローに組み込んだり、顧客向けのサービスとして提供したりと、これまでにない付加価値を提供することができます。

ここでは、ChatGPTのAPIを利用したツールのアイデアを紹介します。

ブログ自動制作ツール

GoogleDocsには拡張機能が備わっており、ChatGPTと連携させることで、ブログの自動生成ツールを作ることができます。たとえば、GoogleDocsの拡張機能から「Apps Script」を開き、ブログの自動生成ができるスクリプトコードを入力します。そこに、自分のOpen AIキー(シークレットキー)を貼り付けたあと、Googleで認証作業を行えばGoogleDocsのツールバーに「Chat GPT」というメニューを作成することが可能です。

必要なスクリプトを追加していけば、ブログのテーマを入力しただけで「ブログのアイデア生成」「記事の執筆」「競合記事の分析」など様々な応用に対応できるようになります。さらに、記事のキーワード選定やSEO対策のアドバイスなど、より高度な機能を持たせることも可能です。

添削ツール

「株式会社内定くん」は、「内定くんAI」というツールをLINE公式アカウントで提供しています。ES(エントリーシート)の添削や作成が可能なほか、自己分析や企業分析にも活用できるツールです。

誰でも無料で利用でき、チャットに「企業名」や「設問」、「ESの内容」を送ることで添削だけでなく面接で想定される質問と模範解答を出してくれる仕組みです。企業分析にも活用されています。たとえば、「〇〇社の企業理念を教えてください」と質問すれば、企業の基本情報や強みなどを教えてくれます。

このように、ChatGPTのAPIを活用した添削ツールは、人材育成や教育分野でも大いに役立ちます。また、社内の文書校正やメールのテンプレート作成など、ビジネスシーンでの活用も期待できます。

チャットボット生成

ChatGPTに自社情報を学習させたチャットボットを生成することも可能です。社内からの問い合わせ対応はもちろん、「よくある質問」などを学習させれば、Q&Aの自動生成や外部からの問い合わせに対応したお客様向けの自動チャットボットも作れます。

また、ChatGPTではAPIを利用して入力したデータに関しては、学習に使用しないと発表されていることから情報漏洩などのリスクを心配する必要もありません。

さらに、ChatGPTのAPIと他のシステムを連携させることで、予約システムや商品注文システムといった高度な機能を持つチャットボットを開発することも可能です。これにより、顧客体験の向上や業務効率化につなげることができます。

ChatGPTを活用した問い合わせ方法については、こちらで詳しく解説しています。

ChatGPT APIを活用したツール開発ならオーダー!

ChatGPTとAPIを活用すれば、独自のツールが開発可能です。しかし、APIの利用にはプログラミングなどの専門知識が必要なためハードルが高くなります。

お客様の日々の業務やビジネスをサポートしているビジネス・コンシェルジュの「オーダー!」では、ChatGPTのAPIを活用したツールの開発も承っています。

「自社にエンジニアがいない」「Chat GPTに詳しい人がおらずどうすればいいか分からない」「人手不足」といった場合は、ぜひオーダー!にご相談ください。ChatGPTと連動したチャットボットの開発も可能です。

まとめ

登場してまだ日が浅いChatGPTですが、すでにChatGPTと生成AIは様々な面で活用されています。大幅に業務を効率化できるとあって、すでに導入を始めている企業も多くあります。一方で、独自のツールを開発するには専門的な知識が必要という課題があります。

自社にエンジニアをもたない場合や、外注を頼みたいという場合はぜひオーダー!へご相談ください。ChatGPTの使い方から活用できる業務のご相談・開発まで、オーダー!が幅広くサポートいたします。

ご参考:AIやメタバースについては、こちらのサイトも是非参考にしてみてください
メタバース相談室