顧客がECサイトで商品を注文してから、お届けするまでに必要な業務全てを担うフルフィルメント。業務内容が多岐にわたることから、専門の業者に委託しているEC企業も少なくありません。
しかし、フルフィルメントサービスには注意点やデメリットが存在することも事実です。
この記事では、フルフィルメントの概要やメリット・デメリット、サービスを導入する際のポイントをまとめて紹介します。ECサイトを運営されている方は、ぜひ参考にしてください。
フルフィルメントとは
フルフィルメントとは、顧客が商品を注文してから受け取るまでに発生する受付、対応、決済、物流、アフターサポートなどの一連業務です。
事業者が商品を開発し、顧客に届けるまでに上記の表のプロセスを踏みますが、フルフィルメント業務は顧客が何らかのアクションを起こした後に発生する業務といえるでしょう。
フルフィルメント業務は多岐にわたるため、アウトソーシングで外部業者に委託するEC事業者も少なくありません。この外部委託の仕組みをフルフィルメントサービスと呼びます。
フルフィルメントの内容
主なフルフィルメント業務は以下の6つです。1つずつ見ていきましょう。
1.問い合わせ・受注処理
CMや広告、ECサイトを見て問い合わせや注文をしてきた顧客への対応は、フルフィルメント業務の1つです。受注処理業務はコールセンターに集約されていることが多く、顧客からの電話を受けた担当者は要件を聞き出して、その内容をシステムに登録します。返品交換やクレーム対応もこの業務に含まれます。
2.仕入れ・発注業務
顧客から注文が入った商品を発注し、卸会社やメーカーから仕入れる業務です。ただ発注するだけでなく、物流倉庫に届いた商品の数量や種類に誤りがないかどうかも確認する必要があります。
3.商品保管・在庫管理
仕入れた商品の内容に間違いがなければ、商品保管所や物流倉庫内のしかるべきところに収納・保管していきます。この作業を「棚入れ」と呼ぶこともあります。
4.受注商品の出荷
商品の出荷指示が出てから発送するまでには、いくつかの作業が行われます。まずは、在庫から必要な数量の商品をピックアップするピッキング作業です。スムーズに行うためには、どこに何が保管されているのかを把握しておく必要があります。
ピッキングが終わったら、商品の状態を確認する検品作業、そして、検品済みの商品に傷が付かないように発送するための梱包作業へと進みます。配送業者に商品を受け渡し、発送完了メールを送ることも重要な出荷業務です。
5.集金
ECサイトでの決済方法はクレジットカードや電子決済、キャリア決済が主流です。しかし、今でも商品の受け渡し時に支払う代引き方法を設けている業者は存在します。宅配業者が回収した現金を受け取る業務もフルフィルメント業務に分類されます。
6.アフターフォロー
購入後の顧客サポートや返品受付、クレーム対応などのアフターフォローまでが、フルフィルメント業務となります。問い合わせや商品受付を担うコールセンターが、アフターフォローまでまとめて担っているケースも多いでしょう。
フルフィルメントサービスのメリット
フルフィルメント業務を外部委託する、フルフィルメントサービスのメリットは以下の3つです。
企業の高収益化
フルフィルメントサービスを利用すると、当然ながら委託費用が発生します。しかし、業務を担う人材のコストや物流倉庫などの固定費が発生しないため、かえって利益が出やすい状況をつくれます。
特に物流倉庫に関していえば、商品の出荷量や保管量に合わせてコストが変動するため、無駄なコストがかかりません。長い目で見れば、自社で人材を雇用したり、物流倉庫を借り上げたりするよりも、サービスを利用したほうが企業の高収益化につながるでしょう。
一連の業務がスムーズに
フルフィルメント業務は、コールセンターでの受付業務から物流倉庫での検品・出荷業務まで幅広く、求められるスキルがまったく異なります。フルフィルメントサービスを担う業者は各分野のプロフェッショナルを揃えているため、円滑な業務の進行を期待できます。
また、発注からアフターフォローまでのバックヤードが共通管理化されることで、顧客の細やかな要望に応えつつ、商品をスムーズに届けられるようになります。これにより顧客満足度が向上し、ひいては企業のブランディングにもつながっていくはずです。
人的負担が軽減できる
自社内でフルフィルメント業務を行うと、バックヤード業務に多くの人手や時間のリソースが割かれることになります。そんな状況も外部委託することで余裕が生まれ、商品開発やマーケティングなど、別の業務に人材を配置できるようになります。
本業とバックヤード業務を兼任していた従業員もコア業務に集中できるようになり、残業の短縮化や業務効率の改善につながっていくでしょう。
フルフィルメントサービスのデメリット
メリットが多いフルフィルメントサービスですが、デメリットも少なからず存在します。
フルフィルメントサービスのデメリットは以下の2つです。
顧客との接点が減少
フルフィルメント業務ではエンドユーザーと接する機会が多く、そこから商品やサービスの課題を見つけることができます。しかし、その業務を外部業者に委託すると顧客との接点が目に見えて減少し、リアルな声を聞く貴重な機会がなくなってしまいます。
常に顧客の声をキャッチアップし、商品やサービスの改善に活かしたいのであれば、SNSやアンケートなど、別の導線を設けてリアルな声を拾い上げるようにしてください。
するとフルフィルメントサービスを利用しながらも、顧客と接点を持てるようになります。
ノウハウが蓄積されない
外部業者にフルフィルメント業務を一任していると、ノウハウが自社に蓄積されません。万が一サービスが停止してしまったときに対応策がわからず、立ち往生してしまう可能性があります。また、スムーズな対応が取れないことで、顧客離れが起こってしまうかもしれません。
フルフィルメントサービスを依頼する際は、業者に業務を丸投げせず、フィードバックをもらったり、進行方法を常に確認したりすることを忘れないようにしてください。
フルフィルメント代行を導入するタイミング
フルフィルメントサービスにはメリット・デメリットともに存在するため、依頼するか否かで悩んでいる方も多いと推測します。
タイミングについては迷うところですが、以下の状態が見られるときはフルフィルメント代行の導入がおすすめです。
物流コストと利益が見合っていないとき
物流コストとは、物流倉庫の維持やそこで働く人材の雇用にかかる費用のことです。この物流コストのウエイトが大きく、会社の利益を圧迫していると感じるのであれば、フルフィルメント代行を検討してみましょう。
業務委託する際は費用こそかかりますが、業務を効率化できるうえに物流コストの削減も可能。結果的に利益を上げられるかもしれません。在庫量に合わせて倉庫の維持費用なども調整できます。
EC事業をスタートしたとき
オンラインショッピングが主流の現代にあって、EC事業の展開を検討している方は少なくありません。EC事業による販路拡大にともない、商品の発送や集金など、業務幅も拡大することになります。
これまでとは異なる業務を始める際は、なにかとトラブルが付きものです。発送ミスや発送の遅れがあった場合は、EC事業の評価に関わります。しかし、フルフィルメント業務のプロが在籍している代行会社を利用することで、円滑に進められるでしょう。
業務が拡大したとき
一般的には業務の拡大にともなって、仕事量が増加します。また、業務がカスタマイズされて複雑化したことによりミスが発生し、現場の混乱を招くおそれもあるでしょう。
現在有している人的リソースだけでは、とても手が回らないと感じたときは、フルフィルメント代行を考えるベストなタイミングです。
不足分だけのリソースを代行業者の手を借りて補えるため、コストを押さえつつ業務効率化を図れます。
フルフィルメントサービス導入の注意点
「導入すると決めたものの、どの業者を選べば良いのかわからない」という方に押さえていただきたいポイントは以下の5点です。
注意点を押さえておくことで、自社にベストマッチする業者を選べるようになるでしょう。
課題と目的の明確化
フルフィルメント代行業者と一口にいっても、請け負う範囲は千差万別です。まずは課題を洗い出し、サービス導入の目的を明確化しましょう。そのうえで、目的に合った業者を選びます。
EC事業やカスタマーサポートの担当者など、フルフィルメント業務に携わる従業員からヒアリングを行うと、課題と目的が明確になります。
サービスの柔軟性
サービスの提供範囲が幅広いフルフィルメントサービスは、請負業務をきっちりと決めているケースが多いものです。例えば同じ物流倉庫内での作業でも、在庫管理はするけれど加工業務や梱包などの細かい要望は対象外ということがあります。融通が利きにくい業者を選ぶと顧客のニーズに対応しきれず、競合他社との差別化も難しくなります。
そうならないためにも、自社の課題や目的をしっかりとヒアリングし、フレキシブルなプランを提案してくれる業者を選ぶとよいでしょう。
サービスの範囲や商品の量によって料金体系は異なりますので、複数の業者から相見積もりを取ることをおすすめします。委託する商品の量に合わせて見積もりを取ると、相場がわかってくるはずです。
また、料金以外に決済方法や配送方法なども比較してみましょう。
サポート体制
顧客と直接やりとりすることになる代行業者には、カスタマーサポートのクオリティも求められます。
クレームが寄せられた際や、商品の破損、発送遅延などのトラブルが起きたときにどう対応してくれるのか、事前に確認しておきましょう。トラブル発生時にも臨機応変に対応してくれる代行業者は心強い存在であり、価値を感じられるものです。
カスタマーサポートについては以下の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてみてください。
倉庫環境
フルフィルメント業務の大部分は、倉庫内で行われます。倉庫は自社の商品を適切な状態で管理する場所であり、良質な環境が必須です。
可能であれば業者を決定する前に直接倉庫を下見して、衛生状況やセキュリティ体制をチェックしましょう。食品など、管理がデリケートな商品を扱っているのであれば、空調の確認も重要です。
ロケーション(立地条件)
倉庫内の環境が良好であっても、立地が悪くて利便性が低ければ業務効率は改善されません。
高速道路の入口や港付近の倉庫はアクセスしやすく、配送時間も短縮できるため、出荷の締め時間に余裕が生まれます。倉庫の立地条件を必ず確認したうえで業者を選びましょう。
倉庫の立地について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
フルフィルメントサービス一覧
フルフィルメントサービスを提供している、代表的な業者は以下の5社です。
・オーダー!
・FulfillmentbyAmazon(FBA)
・ヤマト運輸株式会社
・アートトレーディング株式会社
・鈴与株式会社
それぞれの特徴を比較して、自社に最適なサービスを見つけてください。
オーダー!
ビジネスコンシェルジュの「オーダー!」は、さまざまな物流サービスを提供しています。
- 個別相談も可能な体制構築や業務設計
- 商品の入庫管理、出荷管理、在庫管理と物流に関する全ての業務を支援
- 梱包や動作確認、通電確認などのカスタマイズサービスあり
- 検品代行や海外向け発送、物流システム導入などフレキシブルな業務に対応
オーダー!のフルフィルメント代行事例
過去の導入事例として、アパレル企業様のEC事業部におけるフルフィルメント業務代行実績を紹介します。クライアントが自社内で賄っていた在庫管理・ピッキング・検品・配送までを全て担当させていただきました。
導入前は、
・自社の作業スペースが狭く、作業しづらい
・パート雇用者の経験不足でミスが発生
・セール時の注文が多く、出荷が間に合わない
などの課題がありました。
導入後は商品ごとの細かいオペレーションもスムーズに進行。通常対応以外にもカスタマイズ対応が可能になりました。また、物流倉庫を提供したことで商品の置き場所に困ることもなくなり、ご満足いただいています。
FulfillmentbyAmazon(FBA)
FulfillmentbyAmazon(FBA)は、Amazonの配送ネットワークを駆使してフルフィルメント代行を行うサービスです。
【特徴】
・Amazonフルフィルメントセンターに納品した商品のフルフィルメント代行を依頼できる
・注文の受注、梱包、発送、カスタマーサービス、返品対応の全てをAmazonが対応
・手数料は代行した注文数に応じて加算されるシステム
ヤマト運輸株式会社
入庫以後のフルフィルメント業務をヤマト運輸が提供する「在庫型倉庫サービス」では、全国110ヵ所の営業倉庫のいずれかで商品を保管できます。
【特徴】
・複数のモールにおけるEC出荷業務を一任できる
・24時間365日稼働倉庫で、一部エリアは当日配送が可能
・海外輸入商品の国内向け流通加工など、さまざまな流通加工に対応可能
アートトレーディング株式会社
アートトレーディング株式会社は、フルフィルメント業務を代行するだけではありません。顧客満足度の向上を目指した、お問い合わせサービスにも力を入れています。
【特徴】
・電話やメールだけでなく公式LINEやチャットボットにも対応可能
・月次ミーティングにおける丁寧なフィードバック
・15年以上の実績でミスのない体制を実現
鈴与株式会社
鈴与株式会社が提供する通販・EC物流サービスでは、入荷から出荷までの作業をフルアウトソーシングできます。
【特徴】
・ラベル貼りやギフト包装などの細やかな流通加工も請負可能
・受注代行やコールセンター、決済代行などのバックヤード業務を一任できる
・越境EC出荷にも対応可能
フルフィルメントのまとめ
今回はフルフィルメントサービスの概要とメリット・デメリット、選ぶときの注意点やおすすめの業者についてお伝えしました。
「業務拡大にともない、フルフィルメント業務を外部業者に一任したい」
「物流倉庫を持つフルフィルメントサービスを利用したい」
このようなお悩みを持つ方は、ぜひオーダー!の「物流サービス」をご検討下さい。経験豊富なメンバーが、お客様のご要望に沿ったプランを多数ご提案させていただきます。
物流代行全般について理解したい方は、以下の記事に詳しくまとめていますので参考にしてみてください。