ビジネスを成長させるうえで、アップセルとクロスセルは欠かせない施策のひとつです。上手に取り入れることで、売上を伸ばすだけでなく、お客様の満足度向上にもつながります。
本記事では、アップセルとクロスセルの基本的な考え方から、実際の活用方法までをわかりやすく解説していきます。
アップセル、クロスセルとは

アップセルとは
アップセルは、顧客が購入を検討している商品やサービスに対して、より上位のプランや高価格帯のモデルを提案する手法です。たとえば、基本プランではなくプレミアムプランを紹介したり、機能が充実したモデルをおすすめしたりするケースが典型的です。
クロスセルとは
クロスセルは、顧客が購入する商品やサービスに加えて、関連する別の商品を提案する手法です。たとえば、プリンタ購入時にインクや用紙を勧めるのが典型例です。クロスセルは単に客単価を上げるだけでなく、顧客の利便性や満足度を高め、リピート購入にもつながります。
近年注目される理由
近年、アップセルやクロスセルはますます注目されています。背景には、新規顧客の獲得が難しくなっていることがあります。そのため、多くの企業が既存顧客との関係を深め、取引額を増やす戦略に力を入れています。
また、これらの施策は購入時だけでなく、契約中や利用中の顧客に対しても有効です。たとえば、利用状況に応じて上位プランへの切り替えを提案したり(アップセル)、導入済みサービスに関連するオプションを追加で勧めたり(クロスセル)といった形で、適切なタイミングを選ぶことが成果につながります。
アップセルを成功させるためのポイント

上位モデルの存在を知ってもらう
消費者が上位モデルの存在を知らなければ、そもそもアップセルは成立しません。製品ページや広告、店頭の案内などを通じて、「選択肢がある」ことをしっかり伝えることが大切です。これにより、消費者はより高価な商品を検討できるようになります。
上位モデルの魅力を理解してもらう
単に存在を知ってもらうだけでは不十分で、「なぜ上位モデルを選ぶべきなのか」を理解してもらうことが重要です。性能比較表や使用例を提示することで、具体的なメリットを伝えると効果的です。たとえば、上位モデルのスマートフォンであれば「高解像度カメラ」「バッテリーの持ちの良さ」といった機能を強調することで、消費者に価値を実感してもらえます。
信頼されるブランドであること
アップセルを受け入れてもらうためには、商品やサービスそのものだけでなく、提供する企業やブランドに対する信頼が不可欠です。顧客レビューやSNSでの評価、保証制度の充実などを通じて、「安心して上位モデルを選べる」という環境を整えることが成功の鍵となります。
アップセル施策の具体例

商品ページやサービス紹介で上位プランを提示する
商品ページやサービス紹介ページで、上位プランを具体的に紹介し、消費者の目に留まる工夫をします。基本モデルと上位モデルを並べて比較し、それぞれの違いやメリットを明確にすることで、より分かりやすい情報提供が可能です。さらに、特典やキャンペーン情報を加えると、購買意欲を後押しできます。
なお、状況によっては「上位プラン」ではなく「下位プラン」を案内するダウンセルが有効な場合もあります。予算や利用頻度が合わない顧客に無理な提案をするよりも、ニーズに合ったプランを紹介することで、長期的な関係を築きやすくなります。
セット商品にインセンティブを付ける
複数の商品を組み合わせたセットを作り、セット購入による特典を用意する施策です。たとえば、スマートフォンとアクセサリーをセット販売し、価格を割引するケースなどが典型例です。顧客にとって「お得感」を演出できるため、購買意欲を高めやすくなります。
サンプルから本商品・定期購入へつなげる
サンプル提供をきっかけに、本商品や定期購入へとつなげる施策です。たとえば、無料試供品を渡し、その後の申し込み時に特典を付与することで、顧客が本商品に移行しやすくなります。実際に試せる安心感があるため、購入への心理的ハードルを下げ、信頼性を高める効果があります。
クロスセルを成功させるためのポイント

関連商品やサービスの存在を知ってもらう
消費者が関連商品やサービスの存在を知らなければ、クロスセルは成立しません。製品ページや購入画面に「おすすめ商品」や「一緒によく買われている商品」といった形で提案することで、消費者に自然に認識してもらえます。たとえば、購入時の付属品やオプション品を一緒に提示するのが効果的です。
関連商品のメリットを理解してもらう
存在を知ってもらうだけではなく、「なぜ一緒に買うと便利なのか」を理解してもらうことが大切です。事例や使用シーンを提示することで、関連商品を買う理由を伝えやすくなります。たとえば、プリンタ購入時にインクや用紙を同時に用意しておけば、すぐに使い始められるという利便性を強調する方法です。
信頼される提供元であること
クロスセルを成功させるには、商品やサービスそのものだけでなく、提供元への信頼感が欠かせません。
顧客レビューやSNSでの評価、保証制度の充実などを通じて「安心して関連商品も選べる」という環境をつくることが大切です。

クロスセルを成功させるためには、企業や提供元への信頼感がとても大切なのです。
クロスセル施策の具体例

商品ページやサービス紹介で関連商品を提示する
商品ページやサービス紹介ページに、関連商品やサービスをわかりやすく表示する方法です。たとえば、基本商品ページの下部に「一緒におすすめの商品」をリストアップすると、自然に別の商品に興味を持ってもらえます。
また、「そのまままとめてカートに入れられる仕組み」を用意すると、購入のハードルが下がります。さらに、過去の購入履歴から「一緒に買われやすい組み合わせ」を分析して提示すれば、より効果的にクロスセルを実現できます。
レビューや使用事例を添えて安心感を高めることもポイントです。
セット購入にインセンティブを付ける
複数の商品をセット販売し、割引や特典を用意する方法です。たとえば、プリンターとインクカートリッジをセットで販売し、価格を割り引くといった形です。消費者にとっては「必要なものを一度に揃えられる」利便性があり、お得感も感じられるため、購買意欲を高めやすい施策です。
まとめ
アップセルとクロスセルは、売上を伸ばすだけでなく、顧客にとっても利便性や満足度を高められる有効な手法です。本記事で紹介したポイントや施策を実践することで、企業は収益を効率的に増加させ、顧客との関係性をより強固にすることができます。
ただし、注意すべき点もあります。
過度なおすすめや、顧客のニーズに合わない提案は逆効果となり、不信感を招きかねません。

何でもかんでも押し売りすればいいってものではないですからね~
あくまで「顧客にとって価値がある提案」であることを忘れずに取り組むことが大切です。
さらに、購入後のフォローやサポート体制を整えることで、アップセルやクロスセルの効果を長期的な顧客満足につなげられます。単発の売上増加だけでなく、顧客との信頼関係をベースにした持続的な成長を目指すことが、最終的な成功の鍵となるでしょう