小売やEC、マーケティングの分野で「オムニチャネル」という言葉を耳にしたことはありませんか?この概念は企業側にも消費者側にもさまざまなメリットをもたらすとして、近年多くの企業が戦略として取り入れ、急速に普及しています。
しかし、オムニチャネルとは何か、どんなメリットがあり、どんなことをすればよいのか分からないという方も多いでしょう。
今回は、小売・EC・マーケティングに携わる方に向けて、オムニチャネルについて解説します。この記事を読めば、オムニチャネルの概要やメリット・デメリット、成功のポイントや注意点などが分かります。
オムニチャネルとは
まずは、オムニチャネルの意味を押さえておきましょう。少々古い報告ですが、平成26年の経済産業省による調査報告書では、オムニチャネルはこのように説明されています。
オムニ(omni)”とは日本語で“すべて、あまねく”という意味を持つ。消費者が商品の購入に至る過程において、実店舗、PC サイト、モバイルサイト(スマートフォン)、ソーシャルメディア、従来型メディア(新聞・雑誌・TV)、カタログ、DM 等、あらゆる販売チャネル・情報流通チャネルを経由する時代となっている。オムニチャネルとは、消費者がこれらの複数のチャネルを縦横どのように経由してもスムーズに情報を入手でき購買へと至ることができるための、販売事業者によるチャネル横断型の戦略やその概念、および実現のための仕組みを指す。
出典:経済産業省「平成26年度 電子商取引に関する市場調査」
現代は消費者の周囲にはデジタルからアナログまでさまざまなチャネル(方法)が存在しています。これらを消費者を中心に連携させて、需要に応える戦略がオムニチャネルです。
オムニチャネルとOMOの違い
オムニチャネルと似た概念に、「OMO」があります。オムニチャネルとOMOの違いはどんなものでしょうか。
OMOはマーケティングなどの分野で使われる用語です。「Online Merges with Offline」の略で、日本語では「オンラインとオフラインの統合」を意味します。
OMOの特徴は、下図の通りオンラインとオフラインをはっきりと分けることなく、融合させることによって顧客の購買体験をより向上させる、という考え方です。
企業はオンライン・オフラインを区別することなく、購買はもちろんのこと商品やサービスの利用も含めた最適な顧客体験を提供します。OMOはどちらかというと、顧客視点の考え方です。
これに対してオムニチャネルは、オンラインとオフラインをそれぞれのチャネルではっきりと分けたうえで、あらゆるチャネルで顧客との接点を持つ戦略を指します。
企業は顧客に複数の購買チャネルを提供し、消費者がそれらの中から便利な方法を選ぶ、というイメージです。そのため、オムニチャネルは企業視点の考え方といえます。
オムニチャネル戦略のメリット
それでは、オムニチャネルのメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
顧客満足度の向上
オムニチャネルは販売チャネルをたくさん持つ戦略です。そのため、販売チャネルが一つしかない場合に比べ、消費者がシームレスに商品を購入できます。これにより顧客満足度が向上します。
また、販売チャネルを複数持つことで顧客の購買行動のパターンも増加します。購入機会の損失を防ぎ、ユーザーの囲い込みができます。
細かい顧客分析ができる
オムニチャネル戦略では、オンライン・オフラインの両方から顧客行動のデータを収集できます。これらを総合的に分析することにより、顧客への理解を深められ、より最適な施策を打ち出せるのです。
顧客対象が広がる
販売チャネルが多くなることで、顧客や見込み顧客と接する機会が増えます。顧客対象が広がり、顧客が増える可能性が高まるでしょう。
オムニチャネル戦略のデメリット
一方で、オムニチャネル戦略にはデメリットもあります。
認知度を高める必要がある
オムニチャネル戦略の効果はすぐに出るわけではありません。また、せっかく販売チャネルを増やしても、顧客に認知されなければ効果は得られません。
そのためWeb広告を出稿したり、店頭やSNSで顧客に周知したりするなどして、顧客にシームレスに商品を購入できることを知ってもらう必要があります。
初期コストが発生する
販売チャネルを一つしか持たない企業であれば、販売チャネルを増やすための資金を用意しなければなりません。また、チャネルごとの垣根を超えるシステム構築や組織作りにもコストがかかります。
ゼロからオムニチャネル戦略を始める際は、初期費用を回収できるか事前に試算し、計画を策定することが必要です。
オムニチャネルのメリット・デメリットが分かりましたか?メリットが多い反面、するべきことが多そう……と思うかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば問題ありません!
オムニチャネルの成功ポイント
それでは、オムニチャネル戦略を成功に導くポイントを確認しましょう。
ロードマップの策定
オムニチャネルは複数のチャネルを導入するため、散発的に行ってしまうと場当たり的な施策となりかねません。
そのため、ロードマップを用いてオムニチャネルを導入・展開するためのプロジェクトを立案し、チームで共有する必要があります。これによりゴールや施策、スケジュールを決めます。
顧客理解
各チャネルの顧客の背景や消費行動を起こすきっかけを把握します。
顧客がその商品と出会い、興味を持ち、購入に至るまでのプロセスを表す「カスタマージャーニー」を作り、理解することも有効です。
システムの一元化
顧客がどのチャネルを利用しても同じ品質のサービスを提供できるように、リアル店舗やECなど各販売チャネルの商品情報、在庫管理を一元化します。
また、顧客情報もオフラインとオンラインで一元化すると効率的です。
適切なECサイト・物流システムの構築、運用
ECサイトは、各チャネルと連携するオンラインの核となるチャネルです。
そのため、適切なシステムを選定・構築、運用をすることで優良顧客の囲い込みが可能になります。また、購入のシームレス化のためには物流の質を高めることも重要です。
新規立ち上げでノウハウがない場合や、既存企業でオムニチャネル戦略を強化したい場合は、システム構築や運用と物流をセットでプロに任せる方法もあります。
ECサイトと物流をセットで外注するメリットは以下の通りです。
- 在庫管理、顧客情報を専用システムで管理できる
- 在庫管理ミスを削減できる
- ECサイト担当者・倉庫管理者間のコミュニケーションコストを削減できる
- 本来力をいれるべき業務や、新規の施策などに集中できる
オムニチャネル戦略は計画的に進める必要がありそうですね。すべきことが多いですが、外注も利用して効率的に遂行しましょう。
ECサイト構築、運用はオーダー!にお任せ
「オーダー!」は、お客様の事業や組織の成功を実現させるためのコンシェルジュとして、幅広い要望に応えるサービスです。
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※依頼内容や条件により、金額が変わる場合があります。
- 商品管理(マスター管理、在庫管理、仕入管理)
- サイト管理(在庫登録、在数更新、商品登録、更新)
- 特集ページやランディングページ作成
- ニュースリリースなどの追加・修正・変更
- レポート作成など
- ※ECサイトの運用・構築は個別相談メニューで対応可能です。
また、オーダー!の「物流サービス」とセットで依頼すると、EC+物流サービスを一気通貫で利用できます。
オーダー!のEC運用+物流代行事例
ここでは、オーダー!が実際に行ったECサイト運用+物流代行の事例を紹介します。
元々別の事業を手がけていたところから、新たにファッションブランドを立ち上げたアパレル関連企業様の事例です。
新ブランドの立ち上げにあたって人手とリソースが不足しており、なおかつ既存事業とは求められる人材も異なるという課題を抱えていました。
そのため、ECサイトの構築から運用代行(フルフィルメント)まで委託できる代行業者を探していたそうです。
そこで、ECビジネスに必要な業務を一気通貫で手掛けるオーダー!が代行を請け負いました。具体的な代行内容は以下の通りです。
・ECサイトの更新
※シーズンごとの商品リリース・差し替えなど
・梱包と配送
※ECサイトで受注が入るとオーダー!の倉庫に直接通知が届き、倉庫に保管している商品を梱包・配送する
・展示会への製品配送・検品など
※オーダー!の倉庫から展示場へ直接アイテムを送付。出展後はアイテムに汚れなどがついていないか検品し、倉庫へ戻す作業を行う
オーダー!が業務を代行した結果、クライアントのリソースが限られている中でもスムーズにECサイトを運営できています。
また、ECサイトの運用代行だけでなく、展示会への配送作業などクライアント事業に関わる個別の要望にも対応。総合的なサポートを評価いただいています。
クライアントのコメント
「商品タグの差し替えが発生したときに、その取り付け作業などを自社の人間が倉庫へ駆けつけて行わなければいけないと思っていました。
しかし、そういった細かい部分もオーダー!では全てやってくれるので、丸投げしても問題なく進められました。本当に助かりました!」
具体的な事例を見ることで、オーダー!に業務代行を依頼した際のイメージがつかめましたか?さまざまな業務を依頼できますので、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。
オムニチャネルの注意点
オムニチャネル戦略を実行する際の注意点を確認しましょう。
ブランドイメージを統一する
どのチャネルであっても顧客に同じブランドであると認知してもらえるよう、ブランドイメージを統一する必要があります。例えば、商品写真や商品説明、価格などを統一し、チャネルの違いを顧客に意識させないようにしてください。
統一されていないと、「実店舗で買ったのに、ECサイトのほうが格安で損した」など顧客の不満を生む可能性があります。
チャネルごとに顧客を囲い込まない
チャネルごとに顧客を囲い込んでしまうと、オムニチャネル戦略の意味がなくなってしまいます。企業全体の利益を考えて、「相互相客」を目指しましょう。
対応品質の維持
人員を揃えたとしても、各チャネルのスタッフ全てが同じレベルで対応できるわけではありません。
同品質の対応ができるよう、社内の教育体制や各チャネルの情報共有(例:おすすめ商品の共有など)を行うことが必要です。
オムニチャネルのまとめ
今回はオムニチャネルの概要やメリット・デメリット、成功のポイントや注意点などを紹介しました。
この記事を読んだことで、オムニチャネルに興味を持ち、自社で導入したいと考えた方もいるかもしれません。
また、すでにオムニチャネルを手掛けているが、ノウハウや人員の不足が課題となっている、オムニチャネル戦略を強化したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
そんな場合には、オーダー!のECサイトの構築・運用サービスや物流サービスの利用をぜひ検討してください。
オムニチャネルの事例については以下の記事まとめていますので、併せて参考にしてください。