マーケティング担当者のみなさまは、日々顧客獲得のための施策を考え、実施していることでしょう。しかし、既存の施策では限界を感じているというケースも多いのではないでしょうか。
「新規の顧客獲得を行いたいけど、どうしたらよい?」
「既存の施策だけではもの足りないけど、どんなことをしたらよいのか分からない」
そこで今回は、そんな場合におすすめしたい「ナーチャリング」という手法を紹介します。ナーチャリングとは何か、どんなことをどんな手段で行うのか、メリット・デメリットなどを紹介します。この記事を読めば、ナーチャリングに関する基礎的な知識が得られます。
ナーチャリングとは
まずは、ナーチャリングとは何かを確認しておきましょう。ナーチャリング(nurturing)は「育成」「養成」という意味の単語です。ビジネスでは「顧客育成」の意味あいで使われます。
見込み顧客が購入に至るまで育成する、一度商品を購入してくれた顧客をリピーターとして育成する、などのケースをナーチャリングと呼びます。
ナーチャリングとよく似た意味の言葉に「リードジェネレーション」があります。これはリード(lead)を生成する(generatioin)こと、つまりマーケティング活動によって見込み顧客情報を獲得する活動全般を指します。例えば、SEO対策や広告出稿、資料請求・問い合わせの獲得、イベントの出展などはリードジェネレーションといえます。
新規顧客へのナーチャリング
特に新規顧客を獲得するためのナーチャリングは、「リードナーチャリング」と呼ばれます。見込み客の購買意欲を高め、最終的に購入へとつなげるためのマーケティング活動です。
既存顧客へのナーチャリング
既存顧客を育成することも、マーケティングや営業活動では重要です。既存顧客へナーチャンリングを実施することで、購入額が増えたり利用期間が継続・延長したりといったことにつながります。
優良顧客へのナーチャリング
一般的に、優良顧客とは購入額が大きい、購入頻度が高い、自社の媒体などへのエンゲージメント率が高いなどの特徴があります。優良顧客はすでに自社に対して好意的な感情を持っていますが、他によりよい商品やサービスを見つけた場合、そちらへ移行する可能性もあります。
これを防ぐために、ナーチャリングを行い長期間にわたって友好な関係を築く必要があります。
ナーチャリングの意味や種類、またさまざまな段階の顧客に対して施策を行う必要があることを押さえておきましょう!
ナーチャリングが重要な理由
次に、ナーチャリングを行うことの重要性を理解しましょう。
ナーチャリングを行う最大の理由は、インターネットが普及したことにより、ユーザーが以前にも増して手軽に情報を手に入れられるようになったことにあります。ユーザーは購入・利用前に必ず比較・検討します。そのため、ユーザー一人一人に適したアプローチが必要となるのです。
また、商品やサービスを含めたさまざまな選択肢がある現在は、これまでのように大衆に向けたアプローチが通用しにくい時代です。代わりに、一人一人のニーズに最適化されたマーケティングが求められています。この手法の一つがナーチャリングです。
ナーチャリングのメリット
それでは、ナーチャリングを行うメリットを紹介します。
業務を効率化できる
ナーチャリングを行ううえでは、顧客の行動や関心を把握することが欠かせません。これらを収集し、効果的に活用することで営業活動の効率化を図ることができます。
他社への流入防止になる
顧客の育成をすることは、他社への流入防止につながります。特に、新規顧客に対するナーチャリング(リードナーチャリング)は有効であるといわれています。
なぜなら、新規顧客はなにかのきっかけがあって自社や商品に多少の興味をいだいている状態にすぎず、何も行わなければ購入に至る可能性はどんどん下がってしまうからです。
そこでナーチャリングを行い、顧客との長期的な関係を築くことによって見込み顧客の流出を防ぎます。
離脱した顧客にアプローチできる
ナーチャリングは離脱した顧客にも有効です。離脱顧客は自社と一度接点を持っているため、すでに顧客に関する情報を獲得しているというメリットがあります。
一度離脱した顧客に対して、サービスや商品に新機能の追加や価格の見直しなどがあった際に情報を提供すると、再購入につながる可能性があります。
ナーチャリングのデメリット
ここからは、ナーチャリングのデメリットを確認していきましょう。
時間がかかる
ナーチャリングは顧客の信頼を築くプロセスが絶対的に必要であるため、時間がかかります。よって、すぐに効果を得たい場合は不向きといえます。
ツールの導入が必要
ナーチャリングの実施にはリソースを要するので、効率化のためにツールの導入が必要です。また、ツールを導入し、自社の社員に使ってもらうためにはマニュアルの作成やトレーニングなどの準備も欠かせません。
ナーチャリングに必要なツールの例として、以下のものが挙げられます。
・CRMツール…CRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」の意味。顧客満足度や信頼度の向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指すために導入するツールを指す。顧客情報の一元管理や入力された情報の分析などを行える。
・MAツール…MAは「Marketing Automation」の略。新規顧客獲得のためのマーケティング施策を管理・自動化・効率化するツールの総称。
ナーチャリングにはメリット・デメリットがあることが分かりましたか?
ナーチャリングの方法
ここからは、具体的なナーチャリングの方法を紹介します。
メールマガジン・ステップメール
メールマガジンは、顧客に対して定期的に配信するメールです。
ステップメールとは、あらかじめ準備しておいたシナリオに沿ってメールを送信し、顧客に対して段階的にアプローチする手法です。
SNS
近年、多くの企業がSNSを活用しています。SNSのメリットは企業側から情報を発信するだけでなく、ユーザーのコメントや投稿、ライブ配信などさまざまな方法で顧客との関係を構築できる点です。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、企業が取り組むべき課題を提示したうえで自社のソリューションを提案する報告書のことです。近年は、企業のコーポレートサイトにホワイトペーパーを掲載し、無料でダウンロードさせることでリードを獲得するケースが多く見られます。
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セミナー・ウェビナー
セミナーやウェビナー(オンラインで開催されるセミナー)は、その開催テーマに興味のある人が集まってきます。よいソリューションを提示できれば、その会社に対する興味も高まるでしょう。
オウンドメディア
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が自社で保有するメディアです。自社の商品やサービスにまつわる話題や、ユーザーが抱える問題の解決法など、オウンドメディアに載せるべき話題はたくさんあります。
オウンドメディアから問い合わせや集客につながるケースもよく見られます。
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Web行動の追跡
Web行動とは、自社のサイトを閲覧する前に何を見ていたのか、自社のサイトを見た後にどのサイトに移動したのかなど、インターネット上の行動の追跡です。
これらを把握し、分析することにより、顧客が何に興味を持っているのかを把握できます。分析して得られた情報を基にしてメールマガジンの内容を変えたり、オウンドメディアやSNSで発信する内容を変えたりするなど、顧客にとって有益な情報を提供するナーチャリングを実施できます。
ナーチャリングの方法にはさまざまなものがあります。顧客の育成段階に合わせて、適したものを取り入れていきましょう
ナーチャリングの成功ポイント
それでは、ナーチャリングの成功のポイントを確認しておきましょう。
目的の明確化
ナーチャリングの目的は以下の2つに大別できます。
・フォローの継続
・購買意欲の醸成
また、この2つに対してはそれぞれ異なるアプローチを行う必要があります。そのため、まずはナーチャリングの目的を明確にし、ぶれない施策を行う必要があります。
顧客分析
ナーチャリングの成果を出すには顧客の分析が必要です。顧客を分析する際に使う手法・考え方を見込み顧客・既存顧客に分けて解説します。
【見込み顧客向け】
・セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、特定の基準や属性に基づいて細分化する手法です。既存顧客の分析に使われやすい手法ですが、購買に至っていない見込み顧客も分析できます。
BtoCの場合は年代や性別、BtoBの場合は業界や従業員数、社風などで分け、セグメントに合わせてアプローチしていきます。
【既存顧客向け】
・RFM分析
RFM分析とは、「Recency(直近)」「Frequency(頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標を用いて顧客をグループ分けする分析手法です。購買行動によって顧客をグループ分けしたうえで、各グループの性質に合わせたマーケティング施策を実行します。
・CPM分析
CPMは「Customer Portfolio Management」の略称です。購入顧客を離脱期間や累計購入金額などを掛け合わせた10のセグメントに分けたうえで分析を行います。
適切なシナリオ設計
ナーチャリングにおけるシナリオとは、これから実施するナーチャリングの手順を具体的に決めたものです。見込み顧客にいつ、どのようなアプローチをするか細かく設定します。
(シナリオ設計例)
・問合せ・資料請求を行った顧客にWeb広告を表示する
・セミナー参加者に後日、限定割引プランをメール送信する など
見込み顧客に合った情報を提供するには、適切なシナリオを設計することが重要です。
ナーチャリングの注意点
ここでは、ナーチャリングを行ううえでの注意点を紹介します。
過度に売り込まない
こちらがいくらナーチャリングを行いたいからといっても、メールやコンテンツを過度に送信すると、逆効果になることもあります。適切な頻度・タイミングでコミュニケーションを行いましょう。
ナーチャリングだけでは売上にならない
忘れてはいけないことは、ただナーチャリングを行っただけでは顧客の購入や受注は起こらないということです。営業活動を行わないと受注にはつながりません。
ここで重要なのは、営業担当者に案件を渡す基準を決めることです。
例えば、ツールを用いて顧客ごとにスコアリングを行い、一定のスコアを超えると営業担当者に渡す、などの仕組みを構築します。スコアリングと営業へのハンドオフにはMAツールを利用すると便利です。
このように、ナーチャリングとその先の営業活動に関しては、担当者だけでなく営業部門・担当者と連携して行うことが重要です。
ナーチャリングの成功事例
それでは、ナーチャリングを実践し、成功をおさめた事例を紹介します。
日本電気株式会社(NEC)
NECは以前よりMAツールを導入し、メールマーケティングなどを実施していました。しかし、新たなお客様と接触できない、モバイルユーザーやアノニマスユーザー(属性などが不明)へのアプローチができていないという問題がありました。
そこで、MAツールを刷新し、課題であったモバイルユーザーやアノニマスユーザーの可視化に成功。広告施策や商談化率の向上などの結果があらわれたそうです。それ以外にもオウンドメディアのリニューアルなども手掛け、包括的な施策を実施しています。
参考:Tealium JA「顧客事例:日本電気株式会社」
株式会社マックスプロデュース
株式会社マックスプロデュースは、社員総会や株主総会をはじめとするイベントの企画・実運用などを手がける制作会社です。イベント制作会社は営業姿勢がどうしても「待ち」の姿勢になってしまうため、新規顧客獲得が難しいという悩みを抱えていました。テレアポ営業代行業者や営業会社と契約しましたが、効果は表れなかったそうです。
そこで、MAツールを導入してWeb行動の追跡や顧客のニーズ測定を実施。社員総会に関する情報をホワイトペーパー化してサイトに掲載し、リード顧客の獲得に努めました。またメルマガ配信を行い、ナーチャリングに活用しています。結果、Webを通じての受注数が3倍になりました。
参考:クラウドサーカス株式会社「ホワイトペーパーとブログで Web経由の受注数が3倍にアップ!|株式会社マックスプロデュース様|」
ナーチャリング施策はオーダー!におまかせ
オーダー!は、企業が抱える悩みの解決をさまざまな方法でサポートしています。提供するサービスの一つにWebサイトの構築・運用があります。
オーダー!は単にWebサイトを制作するだけでなく、お客様の現状や課題をヒアリングしたうえで、最適なソリューションを提示します。
また、サイト作成のみでなくサイト・SNSの運用代行やバナー作成などを幅広く提供可能です。
※例えば、今ご覧いただいているようなオウンドメディアの構築、運営、コンテンツ作成ができます。
さらに、オーダーは「まるっとお任せ!定額運用メニュー」も用意しています。これは、必要な業務を契約期間、時間に合わせて対象業務から選択し、ご利用いただけるものです。
このメニューで提供している業務例を紹介します。
・ページ更新作業
・画像制作
・セキュリティ対応
・その他運用、保守業務 など
※他にもご相談に応じますのでお気軽にご相談下さい
【まるっとお任せ!定額運用メニューの詳細】
金額:12万円/月(税抜)
契約期間:3ヵ月毎
実働時間:30時間/月
※依頼内容や条件により、金額が変わる場合があります。
ナーチャリングのまとめ
今回はナーチャリングについて、基礎的な知識や成功事例を紹介しました。
ナーチャリングを実施するには専門的な知識や時間、人的なリソースの確保が必要です。そのため、ナーチャリングを行いたいけれども自社で対応することが不安だという人も多いのではないでしょうか。
そのようなご担当者様は、ぜひオーダー!にお問い合わせ下さい。ナーチャリングの成功に向けて、柔軟にサポートいたします。