近年マーケティングにおいて、「OMO」が注目されています。

OMOは最適な顧客体験を提供する手法ですが、

  • オムニチャネルとの違いは何か
  • OMOを成功させるにはどうしたらいいのか

と、疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。

この記事では、オムニチャネルとの違いやOMOを成功させる3つのポイントなどを紹介します。OMOを導入し、質の高い顧客体験を提供することで売上アップが見込めます。ぜひ参考にしてください。

OMOとは

OMOとは

OMOとは、Online Merges with Offlineの略称で、「オンラインとオフラインを区別しない」顧客視点のマーケティング手法の1つです。

OMOの目的は商品やサービスを通じて得られる成功体験や満足感など、顧客体験を強化することです。例えばオンライン・オフラインそれぞれのデータを分析し、紐付けることで顧客にとってより最適な商品・サービスを提供できます。

オムニチャネルとの違い

OMOと似た戦略にオムニチャネルがありますが、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか。まずは下の図を見てください。

オムニチャネルとの違い

オムニチャネルは、企業が顧客に複数の購買チャネルを提供する手法です。図を見ても分かるように、オムニチャネルはオンラインとオフラインでチャネルを明確に区別します。

一方OMOはオンラインとオフラインを統合しています。オンオフ関係なく、購買はもちろん、商品やサービスの利用も視野に入れた最適な顧客体験を提供する手法です。

また、オムニチャネルは、顧客との接点を増やすことで購入を促す「企業視点の戦略」ですが、OMOは「顧客視点の戦略」でより良い体験をしてもらうことを目的としています。

オンラインとオフラインを統合した点において、OMOはオムニチャネルの発展したコンセプトといえるでしょう。

OMOオムニチャネル
オンライン/オフライン区別なし区別あり
視点顧客視点企業視点

なぜOMOが注目されるのか

OMOが注目される背景には、人々の消費行動がモノ消費からコト消費へ変化したことがあります。

欲しいものが手に入りやすくなった近年、入手だけでは得られない体験型の「コト消費」へ消費意欲が高まったためです。コト消費においては、サービス・商品認知からアフターサービスまで顧客体験の向上が売上を伸ばすことに繋がります。

また、OMOの発生条件である、モバイル通信の普及・モバイル決済の浸透・AIの普及が日本で満たされつつあることも要因の一つです。

ここで各国における、2015年から5年間のキャッシュレス決済比率の年平均成長率を見てみましょう。

キャッシュレス決済比率の年平均成長率
出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会 キャッシュレス・ロードマップ 2022

日本はキャッシュレス決済の成長率が2015年から5年間で平均10.1%を記録しており、他国に比べて急激に成長しています。

日本はキャッシュレス決済が普及している最中のため、OMO戦略が功を奏しやすいといえます。

OMO戦略のメリット

この章ではOMO戦略のメリットについて解説します。

顧客の体験価値が上がる

一つ目のメリットは、顧客の体験価値が上がることです。先ほども述べた通り、現代はモノ消費からコト消費へ消費動向の価値観が変化しています。そのため、OMOで顧客の体験価値を上げることでブランディングを強化できるのです。

そして、ブランディングが強化されると顧客ロイヤリティが高まり、SNSでの口コミも増えやすくなります。

※顧客ロイヤリティ:顧客が商品・サービスに対して感じる信頼感のこと。

顧客データを収集できる

二つ目のメリットは、顧客データを収集できる点です。

オンラインとオフラインの購買データを分けず、OMOで一元化します。すると、データの正確性が高くなり「真のニーズ」を把握できるようになります。

その正確性の高いデータを使用し、商品やサービスの改善が可能。顧客が本当に欲しいと思っているものを提供できるのです。

例えば、実店舗とオンライン双方の購買履歴を合わせて、Webサイトやアプリで顧客におすすめの商品を表示する方法もあります。ただし、個人情報を扱うため、情報漏洩の防止やプライバシー保護などセキュリティ対策は万全にしましょう。

販売機会の損失を防げる

OMOでは、オンラインとオフラインを統合するため、オムニチャネルよりもさらにシームレスな購買体験が可能になります。よって、顧客の購買意欲が高まったときにすぐ購入でき、販売機会の損失が防げるのです。

OMOの導入に必要なもの

OMOの導入に必要なもの

次に、OMOを導入する際に必要な条件を紹介します。

マルチチャネル化する

マルチチャネルとは、商品やサービスを販売するための集客方法、経路が複数あることです。OMOはオンラインとオフラインを統合する戦略のため、最低でも両者に一つずつチャネルが必要です。

マルチチャネル化によって、顧客との接点を増やせば多くのデータを収集できます。そして、そのデータはOMOの施策に活かしていけるのです。
販売方法のマルチチャネル化で、より多くの顧客を集めることができます。

データの一元管理

OMOでは、オンライン・オフラインのデータを一元管理することにより、顧客体験を実現します。

そのためにはICT(情報通信技術)を活用した、システムの整備が必要です。CRM、SFA、MAなどのさまざまなツールを使い、データ分析結果をサービスに反映していきます。

さらに、このデータを店舗スタッフが確認できるよう環境を整え、サービスの連携を取ることも大切です。

※CRM:Customer Relationship Managementの略称で、顧客関係管理のこと。
※SFA:Sales Force Automationの略称で、営業支援システムの一つ。具体的には、案件管理や顧客管理、商談管理などが可能。
※MA:マーケティングオートメーション。新規顧客の開拓を目的とし、見込客の管理やメール配信機能を備えたツールのこと。

OMOの施策内容

OMOの施策内容

この章では、OMOの具体的な施策内容を紹介します。

スマホ1つで買いもの、お店で商品のレビューを手軽に把握

まずは、顧客が実店舗でスマホ1つで買い物できる施策です。この施策には電子値札やデジタル看板を使用します。

(施策例)
・インターネットに繋がる電子値札を各商品に設置し、リアルタイムでネットと同じ価格を顧客に表示。
タイムセールや雨の日に来店した顧客向けに、期間限定のセール価格も表示できる。

・電子値札に表示したQRコードを読み取ったり、NFC(近距離無線通信)機能を搭載したスマートフォンでタッチしたりすることで、商品の詳細情報や商品レビューが閲覧可能。

・店頭にいながらネット注文もシームレスに実現。

以上の施策により、顧客はスマホ1つで買いものができ、顧客体験も向上します。

店頭でオンラインの体験ができる

店頭でのオンライン体験を提供することも、OMO施策の一つです。

例えば、チャットボットと連携したQRコードを店内に設置します。それを顧客がスマートフォンで読み込むと、チャットボットがキャンペーンやおすすめ商品、気になった商品の在庫やレビューを教えてくれるのです。

この施策は、スタッフにわざわざ声をかけるほどでもないが気になることがある人、もしくはスタッフへの声がけが苦手な人に有効です。

これなら顧客がストレスなく気軽に情報を得られます。販売機会の損失も防げますね!

スマホで注文、お店で受け取れる

スマホなどモバイル端末で商品を注文し、お店で受け取れる施策もあります。

人気チェーン店では、待ち時間の長さが顧客満足度の低下につながることもあるでしょう。しかし、モバイル端末で事前注文すれば、店舗で並ぶことなく商品を受け取れます。食事であれば、でき上がりを待たずにすぐ食べられます。

会計の手間がかからないことで顧客満足度は向上。また、この施策は顧客の来店機会を作ります。他の商品を目にする機会も増えるため、クロスセルにも繋がるでしょう。

OMOの成功ポイント

OMOの成功ポイント

ここからは、OMOの成功ポイント3つを紹介します。

1.顧客体験を最適化する

まず、顧客体験を最適化しましょう。オンライン・オフラインで収集したデータを活用し、顧客に響く体験を導き出すのです。

具体的には、データから顧客の感情や購買行動を分析します。すると、商品・サービスと実際の顧客ニーズとのギャップや、顧客体験の向上に必要な仮説などが見えてくるはずです。

これにより、顧客が既存サービスのどこに好感を持っており、どこに不満・不十分さを感じているかが分かります。

そこから、顧客が「リピートしたい」「人に教えたい」と感じる体験を作り出し、継続的な売上に繋げていきます

2.販売チャネルを増やす

次のポイントは、販売チャネルを増やすことです。

オフラインとオンラインの豊富なチャネルを持つことで、顧客との接点が増加します顧客との接点が増えるほど、たくさんのデータを収集でき、施策に活かせるでしょう。

3.ノウハウを持つ人材を活用する

最後のポイントは、ノウハウを持つ人材を活用することです。

OMOには次のような業務が発生します。

  • 各チャネルの運営や連携
  • システム構築
  • データの収集・分析 など

各業務をまかなうには、ノウハウを持つ人材の確保が必要です。自社で手が回らない場合は、プロに外注することも検討してみてください。

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オーダー!は、ビジネス・コンシェルジュとしてお客様のビジネスや日々の業務をサポートするサービスです。「ECサイトの構築・運用サービス」では、以下の業務を受注できます。

  • ECサイト構築
  • ホームページからの問い合わせ対応代行
  • SNS運用代行
  • CMS導入
  • CMSセキュリティ対策
  • レスポンシブ化
  • SSL化
  • バナー制作 など

また、「まるっとお任せ!定額運用メニュー」では、必要な業務を契約期間、時間に合わせて対象業務から選択して利用いただけます。

基本プラン:10万円/月  (税抜)
契約期間:3ヵ月 
実働時間:30時間/月

対象業務例
  • 商品管理(マスター管理、在庫管理、仕入管理)
  • サイト管理(在庫登録、在数更新、商品登録、更新)
  • 特集ページやランディングページ作成
  • ニュースリリースなどの追加、修正、変更
  • レポート作成 など

さらに、オーダー!ではECサイトの運営+物流をセットで受注できます。セット受注のメリットは、在庫管理ミスやコミュニケーションコストが減少する点です。その分、安心してその他のOMO戦略業務に集中できるでしょう。

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オーダー!のEC運用+物流代行事例

オーダー!が実際に行った、EC運用+物流代行事例を紹介します。

 元々別事業を手がけていたところから、新たにファッションブランドを立ち上げたアパレル関連企業様の事例です。

 立ち上げにあたって人手とリソースが不足しており、且つ既存事業とは求められる人材も異なるため、ECサイトの構築から物流代行まで委託できる代行業者を探していました。

 そこで、EC運用+物流代行業務を一気通貫で支援できる、オーダー!が依頼を受注。 具体的には以下の業務を請け負いました。 

・ECサイトの更新
※シーズンごとの商品リリース・差し替えなど 

・梱包と配送
※ECサイトで受注が入るとオーダー!の倉庫に直接通知が届き、倉庫に保管している商品を梱包・配送する

・展示会への製品配送・検品など
※オーダー!の倉庫から展示場へ直接アイテムを送付。出展後はアイテムに汚れなどがついていないか検品し、倉庫へ戻す作業を行う

結果、クライアントのリソースが限られているなか、ECサイトをスムーズに運営できています。

また、ECサイトの運用代行だけでなく、展示会への配送作業などクライアント事業に関わる個別の要望にも対応。総合的なサポートを評価いただいています。

OMOの成功事例

最後にOMOを実際に導入し、成功した企業の事例を紹介します。

OMOの事例1:Luckin Coffee(中国)

Luckin Coffee(中国)

2017年にOMO先進国・中国で誕生したLuckin Coffeeは、スマートフォンで購入が完結するオフラインとオンラインを活用したコーヒーチェーン店です。このシステムにより、消費者の列に並ぶ手間や財布を出す手間を省き、顧客満足度を上げることに成功しました。

【施策】
・現金不要で、注文から決済、商品受け取りまでアプリで完結。
・LBS(中国位置情報サービス)を基に正確なマーケティングを実施し、リピート率を向上。

OMOの事例2:Amazon(アメリカ)

Amazon(アメリカ)

大手Web通販サイト・Amazonは、「Amazon Go」や「Amazon Fresh」などの実店舗でOMOを展開しています。買収したスーパーマーケット、Whole FoodsでもOMOを実践。アマゾンプライム会員の特典が適応され、そのオフラインデータを活用しています。

【施策】
・Amazon Goでは、アプリに表示されるコードで入店。商品は直接自分のバッグに入れる。店内で常に監視されており、自動で会計が済まされているため、そのまま退店が可能。
・Amazon Freshでは、カートに入れた商品の金額を自動計算し、専用レーンを通れば会計が済むスマートカートを導入。また、Amazonアカウントと連携されており、アレクサに商品の場所や関連する商品を質問できる。

OMOの事例3:BEAMS

BEAMS

アパレルショップのBEAMSは、2016年にオフラインとオンラインのデータベースを統合しました。顧客情報の一元化によって、どのチャネルで購入したかに関わらず顧客の購買履歴を把握できるように。その情報を基に、よりきめ細やかなサービスを顧客に提供しています。

【施策】
・公式Webサイトで店舗スタッフが、スタイリングフォトなどを発信。顧客の購買意欲を向上させている。
・インフラシステムと売上データ、在庫・出荷データなどさまざまなデータの連携を実施。さらに、それらのデータと検索エンジンを連携し、顧客サービスを一元化して業務効率を改善した。

OMOの事例4:ニトリ

ニトリ

インテリア用品小売のニトリは、「ニトリのリフォーム」でOMOを導入しています。

Livecallというシステムを利用し、ニトリのショールームに行かなくてもオンライン上でリフォームの相談ができるように。ショールームにスタッフがいない場合は、店頭のタブレット端末から別店舗のスタッフに相談できます。

【施策】
・Livecallを基盤とした、Webサイトと店頭タブレットでのリフォーム相談。
・アプリで今いる店舗を指定し、商品のバーコードを読み取ることでレビューや在庫状況などを確認できるようにした。

OMOの事例5:Zoff

Zoff

メガネ量販店のZoffは、実店舗・オンラインストアをLINEでID連携し、顧客のレンズ度数やフレームの種類などを一元管理しています。これにより、顧客はECでも実店舗でも自分の欲しいメガネをスムーズに購入できるようになりました。

【施策】
・顧客情報の一元管理によって、顧客体験を向上。実店舗で購入した場合、LINEと連携していれば完成通知がLINEから届く。また、保証書もLINEで確認でき、紛失のリスクを軽減。

OMOのまとめ

今回はOMOのメリットや施策内容、成功ポイントについて解説しました。人々の消費行動がコト消費へ移行した今、OMOで顧客体験の質を上げることが企業の売上拡大に繋がります。

とはいえOMOの実行には、さまざまな業務が発生します。リソースが足りない場合は、プロへの外注も視野に入れてはいかがでしょうか?

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