近年、若年層を中心に利用するユーザーが増加しているソーシャルギフト。販売促進や新規顧客の開拓のために、ソーシャルギフトを導入したいと考えている方もいるでしょう。
本記事ではソーシャルギフトの定義から市場動向、導入のメリット・デメリット、おすすめのカテゴリー、導入方法までを包括的に解説します。
「ソーシャルギフトはどのような商品とマッチするのか」
「どう導入すればいいのか」
「導入時に押さえておくべきポイントは?」
これらの疑問を持つ方は必見の内容です。ぜひご一読下さい。
ソーシャルギフトとは
ソーシャルギフトとは、インターネットを介して友人や家族にギフトを送るサービスです。
贈る側は対応ECサイトでギフトを選んで決済し、発行された専用URLをSNSやメールで送りたい相手に送信します。受け取る側は送られてきた専用URLを使って発送先の住所や受け取り日時を入力し、プレゼントを受け取ります。
このように、受取人の住所を知らなくてもプレゼントを送ることができるのが大きな特徴です。
ソーシャルギフトにはデジタル形式のギフトカードやクーポンなど(デジタルギフト)も含まれており、利便性が一層高まっています。
ソーシャルギフト市場の現状と展望
ソーシャルギフト市場は近年急速に拡大しています。
帝国データバンクの調査によると、ソーシャルギフト専門サービス5社の売上高合計は2013年度から2020年度までの7年間で7.6倍に増加しました。これは企業が資料請求やアンケートの謝礼としてソーシャルギフトを活用するなど、法人需要の高まりが要因です。
個人需要に関してはLINEギフトの成長が顕著です。LINE株式会社の発表によると、2023年には累計ユーザー数が3,000万人を突破。母の日などのイベントにおいては、当日の総流通額が前年比130%に達しています。
以上のデータからも分かるように、今後もソーシャルギフト市場の成長は続くと予想されています。それに伴い、消費者のニーズに応えるための新たなサービスや機能の開発が進むでしょう。
出典:
PR TIMES「企業向けの需要が急増?コロナで変わる贈り物 LINEも参入の『ソーシャルギフト』急成長の理由 | 株式会社帝国データバンクのプレスリリース」
LINE「LINEギフト、累計ユーザー数が3,000万人を突破!今年の母の日の流通額は昨年比130%を記録」
ソーシャルギフトの利用が拡大する理由
ソーシャルギフトの利用が拡大する理由は二つあります。
一つ目は、コロナ禍による冠婚葬祭の機会の減少です。従来のフォーマルギフトの需要が減少し、代わりにカジュアルギフトの需要が増加しました。これに伴い、手軽に贈れるソーシャルギフトの人気が高まっているのです。
二つ目は、セキュリティ意識の高まりとSNSの普及です。現代は個人情報の保護が重要視されており、SNSを通じて住所を知らなくても友人とつながるケースが多いため、ソーシャルギフトの利用が増加していると考えられます。
ソーシャルギフトを導入するメリット
次に、ソーシャルギフトをECサイトに導入するメリットを解説します。
- 【事業者】新規顧客やリピーターの獲得
- 【事業者】販売量の増加
- 【顧客】プライバシーの保護
- 【顧客】購入・受け取りが手軽
【事業者】新規顧客やリピーターの獲得
ソーシャルギフトを導入すると、事業者は新規顧客やリピーターを獲得できます。ソーシャルギフトを受け取った人が、これまで興味を持たなかったブランドや商品に新たに興味を抱く可能性があるためです。
くわえて、誕生日や記念日などのお祝いに手軽にギフトを贈れるソーシャルギフトの利便性が、リピーターの増加にもつながります。
【事業者】販売量の増加
次のメリットは販売量の増加です。
通常のギフトはイベント日までに手元に準備しておく必要があり、イベント当日にECサイトで購入する人は少ないでしょう。しかし、ソーシャルギフトは当日でも購入するユーザーがいるため、売上の増加が見込めます。
また、ソーシャルギフトは受け取り側がギフトを受け取る日時を指定します。よって発送作業が特定の日に集中せず、事業者は余裕を持って対応することが可能です。クリスマスなどのイベント時期でも、業務効率を保ちながら顧客ニーズに応えられるでしょう。
【顧客】プライバシーの保護
ソーシャルギフトを利用する顧客側のメリットは、プライバシーを保護できる点です。通常のギフトでは「住所を教えてほしい」といった個人情報のやり取りが行われますが、ソーシャルギフトでは必要ありません。
受取人は自分の住所や個人情報を公開せずにギフトを受け取れるため、個人情報漏洩のリスクが軽減されます。相手に不安を与えずにギフトを贈ることができるのです。
【顧客】購入・受け取りが手軽
購入や受け取りが手軽な点も顧客にとってのメリットです。贈る側は実店舗を巡ることなく、サイト上で多くの店舗から商品を効率的に探せます。
受け取りも簡単で、特にデジタルギフトは自分の都合に合わせて好きなときに受け取れるため、予定の調整が不要です。このように、贈り主と受取人双方にとってストレスフリーな手続きが多くの人々に支持されています。
ソーシャルギフトのデメリット
続いて、ソーシャルギフトのデメリットも把握しておきましょう。
- 【事業者】コストと手間がかかる
- 【顧客】インターネット操作に慣れている必要がある
【事業者】コストと手間がかかる
ソーシャルギフトの導入には、通常のECサイトよりも多くの機能が必要です。ラッピングやメッセージカード対応など、ギフト特有のサービスを追加しなければなりません。これに伴い、追加する機能が増えるごとにコストが高くなる点がデメリットです。
さらに、受取人が期限内に手続きを完了しない場合は自動的に注文キャンセルや返金処理が行われ、在庫管理が煩雑になる可能性もあります。
【顧客】インターネット操作に慣れている必要がある
顧客がソーシャルギフトを利用する際は、インターネット操作に慣れている必要があります。特にシニア層はオンライン操作に不慣れなことが多く、ギフトの受け取りが難しいかもしれません。
シニア層にはやや使いづらい面があるため、適切なサポートの提供が求められます。
ソーシャルギフトにおすすめの商品カテゴリー
ソーシャルギフトで売れやすい商品はどのようなものでしょうか。各ソーシャルギフトサービスのランキングや調査を見てみましょう。
まずLINEギフトの年間ギフトランキングでは、男性宛も女性宛もトップ10にランクインした商品のほとんどが食品でした。男性宛はスイーツ、肉類、ビールが目立ち、女性宛には食品に加えて美容ケア商品も入っています。
さらに、ソーシャルギフトサービス「GIFTFUL」を運営する株式会社GiftXの調査によると、ソーシャルギフトの平均購入金額は3,104円で、ギフト全体の平均購入額7,197円と比べて手頃な価格帯が人気です。
以上のデータから、ソーシャルギフトに適しているのは次の商品であることが分かります。
・食品
・女性向けの美容品
・3,000円程度の手ごろな価格帯
参考にしてください。
出典:
PR TIMES「【LINEギフト】性別やカテゴリー別の年間人気ギフトランキングを公開 | LINEヤフー株式会社のプレスリリース」
GIFTFUL「ソーシャルギフトの購入金額が前年比124%増加。GIFTFUL総研がギフトの実態調査を公開」
ソーシャルギフトの導入方法
ソーシャルギフトの導入方法は、「ECモール」と「自社EC」の二つです。各方法の特徴を説明します。
ECモール
多くの消費者が日常的に利用するECモールは、新たな顧客層にリーチしやすく、集客力が高い点がメリットです。
しかし、競合が多いため他の店舗と差別化を図る戦略が重要です。ユニークな商品ラインナップや魅力的なギフトパッケージなどを提供し、顧客の目を引く必要があります。
ECモール例:
・LINEギフト
・ギフトモール など
自社EC
もう一つの方法は自社ECを構築することです。自社サイトには、利益率が高くブランドイメージを確立しやすいメリットがあります。
一方で、成功するには自社での集客が必要です。具体的な施策としては、SEO対策やSNSマーケティング、メールマーケティングなどが挙げられます。
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ソーシャルギフトをECサイトで扱うときのポイント
ソーシャルギフトをECサイトで扱うときには、次のポイントを押さえておくとよいでしょう。
わかりやすい表示
一つ目のポイントは、ユーザーの使い勝手を考慮した表示です。先述したとおり、ソーシャルギフトはスマホの操作に慣れていないと利用が難しい側面があるためです。
具体的にはイラストやアイコンを活用して手順を分かりやすく説明するページを作成し、ユーザーが迷うことなく操作できるようにしましょう。
また、URLの期限切れを防ぐためにリマインド機能を設けたり、使用期限を明記したりすることも有効です。
商品画像の工夫
商品画像は、他社と差別化するための重要なポイントです。特にECモールでは同じジャンルの商品が数多く並ぶので、よりユーザーを引き付ける画像が求められます。
食品であればよりシズル感のある画像、美容用品であれば商品の詳細や使用前、使用後の比較画像などを入れ、顧客の興味を引きましょう。
ソーシャルギフトの魅力を最大限に引き出す商品画像を掲載してください
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プライバシーの保護とセキュリティの強化
次のポイントは、プライバシーの保護とセキュリティの強化です。特に、商品の発送メールや受注関連のメールに関しては、贈り主用と受取人用で内容を分けて送信する仕組みが必要になります。
双方のプライバシーを守り、情報が誤って共有されることがないようにしましょう。
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適切な梱包
ギフト商品は特別な包装が求められることが多いため、適切な梱包材やギフトラッピングの用意が必要です。ギフトボックスや個別のメッセージカード、イベント・季節に合わせたラッピングを使用することで、受取人に特別な体験を提供できます。
また、商品が破損しないように適切な保護材を使用することもポイントです。特に割れやすい商品には十分な保護材を使用し、外箱も強度のある素材を選ぶなどしてください。
丁寧な梱包により配送中の破損リスクを最小限に抑え、顧客満足度を高めましょう。
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ソーシャルギフトの梱包・発送はオーダー!におまかせ
オーダー!は、ITと物流のノウハウを活かし、お客様の業務をサポートするビジネスコンシェルジュサービスです。物流部門において、ソーシャルギフトの複雑な梱包から発送までを一気通貫で支援します。
【サービス内容】 ・細やかな梱包(化粧箱を組み立て、複数のアイテムを様々なパターンで組み合わせて詰めるなど) ・名入れなどの流通加工 ・倉庫での商品撮影 ・ECサイトの商品在庫管理・発送 ・電子チケット・金券配送 ・海外向け発送 ・検品代行 ・内職代行(封入、ラベル貼り、検品検針作業など) |
ソーシャルギフトで人気の手頃な価格帯の商品は、物流コストが高く見えがちです。そのため、関東圏に倉庫を構えて比較的安価に速く送り届けることが重要です。
オーダー!は、高速道路の幸浦インターに近い横浜市金沢区のシーサイドエリアに、約4,000坪の倉庫を構えています。アクセスが良好なため当日出荷の締め時間にも余裕があり、低コストで業務効率化が実現します。気になった方はぜひご相談下さい。
▼オーダー!の梱包・発送事例はこちら
ソーシャルギフト・成功事例
最後にソーシャルギフトの成功事例をご紹介します。
ロレアル(化粧品)
化粧品メーカー・日本ロレアルは2020年のパンデミックを契機に、ソーシャルギフト市場への参入を決めました。
ギフト需要のトップである誕生日向けに、ソーシャルギフトプラットフォーム限定の商品をリリース。通常版と比べ、約7.7倍(月平均)の売上を記録しました。
さらに、受け取った側が色や香りを選べる機能を既存商品にテスト導入したところ、ショップオープン当初と比較して売上が約31.9倍に増加しました。
【成功要因】
・3,000~5,000円の価格帯
・誕生日向け限定商品の販売
・色や香りを選べるシステムによる購買体験の向上
参考:LINEギフト「日本ロレアルがLINEギフトで仕掛けるこれからのソーシャルギフト戦略」
NISHIKIYA KITCHEN(食品)
NISHIKIYA KITCHENは、素材にこだわったレトルト専門店です。パンデミックにより実店舗の売上が思うように伸びない中、EC強化を狙いソーシャルギフトに着目。ECモールに出店しました。
出店当初は認知度が低かったため、ブランド認知を広げる必要がありました。そこで商品画像と商品名の改善を実施。よりターゲットを絞った商品名と、商品のおいしさが伝わりやすい画像にしたことで販売数が月間2位まで伸びています。
また、その他の商品も画像を変えることで前年比約300%の売上を達成。視覚的な差別化が成功の鍵となりました。
【成功要因】
・ターゲットを絞った商品名
・ECモールでも引き立つ商品画像
参考:LINEギフト「NISHIKIYA KITCHEN 改善を重ねることで辿り着いた、ギフト商品の魅せ方」
ソーシャルギフトのまとめ
本記事では、ソーシャルギフトの基本、メリット、デメリットについて解説しました。ソーシャルギフトの導入は新規顧客の獲得や販売量の増加につながる一方、特有の機能を追加するためのコストや手間が伴います。
梱包・配送の手間を省きたい、コスト効率よく品質の高い物流を実現したい場合は、オーダー!にご相談下さい。複雑なギフト関連の業務も細やかに対応いたします。
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