「サブスクビジネスはどう取り組めばよいのか」
「成功しているサブスクリプションサービスは何に注力しているのか」

本記事では上記のような疑問を持つ事業者向けに、サブスクビジネスの成功事例8選を紹介。事例から学べる成功ポイントや、気を付けるべき注意点も解説します。

記事を読むことで、サブスクサービスの運営には何が必要でどんな準備をすればよいのかが明確になるでしょう。

サブスクリプションビジネスとは

サブスクリプションビジネスとは

最初に、サブスクリプションの定義と特徴、定期購入との違いを解説します。

サブスクの定義と特徴

サブスクの定義と特徴

サブスクリプションは近年注目を集めるビジネスモデルの一つです。顧客が定期的に料金を支払うことで、継続して製品やサービスを利用できる仕組みを指します。

従来の買い切り型との違いは、長期的な顧客関係の構築です。買い切り型は消費者が商品やサービスを購入して所有するため、新しいアップデートは得られません。新たな商品を購入する際には再度料金を支払う必要があります。

一方サブスクリプションは、継続的な関係を通じて企業が顧客のニーズを理解し、よりパーソナライズされたサービスを提供します。

定期購入との違い

定期購入とサブスクの違いは、ユーザー体験に重きを置いているかどうかです。

定期購入はユーザーが求める特定の商品を周期的に届けるサービスであり、食品やサプリメント、日用品などを取り扱います。それとは反対にサブスクリプションは、企業が提案する商品をユーザーに体験してもらうサービスになります。

アランくん

とはいえ、一般的に定期購入とサブスクリプションの区別は曖昧で、定期購入をサブスクリプションと呼ぶことも珍しくありません。

サブスクリプションビジネスの成功事例【BtoC】

サブスクリプションビジネスの成功事例【BtoC】

ここからは、サブスクリプションビジネスの成功事例を見ていきましょう。まずはBtoCの事例です。

snaq.me(お菓子)

snaq.me(お菓子)

出典:https://snaq.me/

【snaq.meの特徴】
・利用者の95%以上が女性で、そのうち25~44歳が60%超
・お菓子を売るのではなく、おやつ体験を提供する
・UGCマーケティングを活用

snaq.meは、100種以上のおやつをサブスクリプション形式で提供するサービスです。ユーザーは入会時におやつ診断を受ける必要があり、その結果を基にパーソナライズしたお菓子が届きます。

ターゲットは20~40代の女性で、無添加のおやつに特化している点、ボックスを開けるまでどんなお菓子が入っているか分からない点が人気です。

UGC(※)マーケティングに力を入れており、UGCを通じてsnaq.meを発見したユーザーが新たに商品を購入するパターンを形成。2022年には累計会員数が15万人を超えました。

※UGC…「User Generated Content」の略。一般のユーザーが作成し、インターネット上で共有するコンテンツを指す。

Oisix(食品)

Oisix(食品)

出典:https://www.oisix.com/OtameshiTouroku.lp.g6–top–top-shinki_domo_a__html.htm?SESSIONISNEW=TRUEID&mi2=7749

【Oisixの特徴】
・ターゲットは幼い子供のいる家庭
・「レシピを考える必要がない」という価値を提供
・スキップ・休止しやすい仕組み作り

Oisixは、短時間で主菜と副菜を作れる食材キットのサブスクサービスです。毎週20種以上のメニューを用意しており、契約農家の有機野菜を取り扱っています。

Oisixのターゲットは、幼い子どもがいる30〜40代。数日分の食材とレシピをセットにすることで「レシピを考える手間がない」という価値を提供し、利用者数は500万人を突破しています。

また、食品は生活の変化に伴い利用を開始・停止する人が多い点に考慮し、スキップ・休止システムを導入。サービスをやめた後でも再び利用しやすい環境を整えています。

airCloset(アパレル)

airCloset(アパレル)

出典:https://www.air-closet.com/

【airClosetの特徴】
・多忙な女性にファッションのワクワクする時間を提供
・ユーザーの評価を基に顧客体験を提供できているかを確認

airClosetは、20代後半から50代の働く女性を対象としたファッションサブスクリプションサービスです。プロのスタイリストが各ユーザーに選んだ服を自宅に届けることで、新しいファッション体験を提供しています。

airClosetは利用ごとのサービス評価を収集し、スコアをモニタリング。顧客に感動体験を提供できているかどうかをチェックしています。

また無理に継続させる手法は取っておらず、解約を希望するユーザーが簡単に手続きでき、かつ再開を望む場合、スムーズに再利用できるようサービスを設計。月額会員に登録するユーザーの10%以上が、一度解約して再利用するユーザーとなっています。

メルスプラン(コンタクト)

メルスプラン(コンタクト)

出典:https://www.menicon.co.jp/

【メルスプランの特徴】
・目の健康と安全を守るコンタクト体験を提供
・ポータルサイトを開設し、会員以外との接点を設ける

メルスプランは、株式会社メニコンが提供するコンタクトレンズのサブスクリプションサービスです。新しいコンタクト体験とともに目の健康と安全を提供し、会員数は130万人を超えています。

同社は、通常の購入方法では「まだ使える」と考え、推奨される使用期間を超えてコンタクトを使い続けるユーザーがいる点に着目。サブスクであれば3ヵ月ごとに新しいレンズが届くため、使用期間を守る動機付けがしやすくなると考えました。

また、メニコン利用者以外も登録可能なポータルサイトを開設し、通常購入者や他社製品を使用するユーザーにアプローチしています。

サプリノ(サプリメント)

サプリノ(サプリメント)

出典:https://suppleno.com/

【サプリノの特徴】
・材料調達から包装まで内製化し、リーズナブルな価格を実現
・ユーザーに必要なサプリを提案する診断ツールを開発

サプリノは、個々のライフスタイルやニーズに合わせ、パーソナライズされたサプリメントを提供するサブスクリプションサービスです。性別に合わせた4種類のマルチビタミン・ミネラルと、目的別の15種類のサプリメントから240通り組み合わせています。

サプリメントの配合から原材料の調達、製造、包装に至るまで全てを自社で一貫して行うことで、リーズナブルな価格を設定。この手軽に試せる価格が功を奏し、初回リピート率91%という結果を出しています。

さらに、多くの人が抱える悩み「どのサプリメントを選べばいいのか分からない」を解決する独自のWeb分析ツールを開発。ツールの利用者数は4万人を超えています。

サブスクリプションビジネスの成功事例【BtoB】

サブスクリプションビジネスの成功事例【BtoB】

次に、BtoBサブスクリプションビジネスの成功事例を紹介します。

Sansan(名刺管理サービス)

Sansan(名刺管理サービス)

出典:https://jp.sansan.com/

【Sansanの特徴】
・名刺管理ではなく、名刺情報を企業の貴重な資産(顧客情報)に変換する価値を提供
・アプリのリリースで名刺のデジタル管理を普及

Sansanは、名刺管理を中心とした営業DXサービスです。100万件以上の企業情報を搭載し、顧客情報の営業活用を実現します。

ターゲットは顧客理解を深め、営業活動を効率化したい企業です。サービス開始当初は、名刺をクラウド管理することに対して理解を得るのが難しかったため、名刺管理ではなく、顧客情報や営業管理を主要な価値として伝える戦略を取りました。

その後、法人だけでなく一般のビジネスパーソンも無料で使用できる名刺管理アプリ「Eight」をリリース。これをきっかけに名刺のクラウド管理が浸透し、現在は9,000もの企業がSansanのサービスを利用しています。

ソーシャルインテリア(家具)

ソーシャルインテリア(家具)

出典:https://corp.socialinterior.com/

【ソーシャルインテリアの特徴】
・単価の高い家具の初期コストを削減できる
・利用期間終了後の返却率は8%のみ

ソーシャルインテリアは、家具・家電のサブスクリプションサービスです。同サービスのミッションは「よいものを長く使う、循環社会の実現」で、インテリア業界に革命を起こすことを目指しています。

特にBtoB市場において需要が高く、オフィス空間の提案から家具什器の選定、発注プロセスの効率化までをサポート。利用者からは、支払い総額が定価を超えない月額制サービスである点を評価されています。

また、家具を返却されるケースは全体の約8%で、その他は全て買い取られているところも特徴的です。

freee(会計ソフト)

freee(会計ソフト)

出典:https://www.freee.co.jp/lp/brand/01/

【freeeの特徴】
・メインターゲットは中小企業
・ソフトの使いやすさと価格設定が支持されている

freeeは中小企業向けのクラウド会計ソフトで、決算書作成や確定申告を簡単に行えます。同サービスの人気の理由は、リーズナブルな価格設定ソフトの使いやすさです。

インターネットバンキングの口座やクレジットカード、ECサイトの売上情報などをソフトと連携可能。自動的に明細が取得されるため、手での入力作業は必要ありません。

freeeで確定申告を行った顧客の約51%が、2時間以内に作業を完了するほど利便性に優れており、サービス開始後わずか半年で利用事業者数が1万件を超えました。

事例から学ぶ、サブスクビジネスの成功ポイント

事例から学ぶ、サブスクビジネスの成功ポイント

BtoC、BtoBの事例から分かる、サブスクの成功ポイントを解説していきます。

新しい価値の提供

一つ目のポイントは、顧客にとって意味のある体験や解決策を提供することです。

例えば、ソーシャルインテリアは単なる家具の提供に留まらず、働く環境そのものを変革。従業員が毎日オフィスへ出社するのが楽しみになるような快適な職場環境を提供し、企業への帰属感と生産性のアップを促しています。

アランくん

このように、サブスクビジネスは顧客に新しい価値をもたらし、ポジティブな変化を生み出すことが重要です。

適切な価格設定

次のポイントは適切な価格設定です。

大切なのは、市場と競合を分析し、顧客が納得する価格帯を見極めること、そして利益を確保できる価格水準であることです。

BtoC事例として紹介したOisixは、顧客が通常購入している食品の価格から大きく逸脱しないように料金を設定。自然食品を扱う専門店やカタログ販売で見られる価格帯にしており、顧客の納得感を得ています。

価格は市場の反応や競合の動向に応じて調整し、収益とコストのバランスを保ちましょう。

コスト管理

サブスクビジネスで成功を収めるには、コスト管理も必要です。

まず、定期的なコスト分析を行い、無駄な支出や削減可能な箇所を見極めます。そして業務プロセスの効率化や自動化を進め、コスト削減を目指しましょう。

例えばAirClosetはAI技術に注力しており、顧客のパーソナルデータを活用してスタイリストの作業を効率化しました。くわえて在庫管理の最適化や人件費の削減にも成功し、サブスクビジネスの持続性を高めています。

参考:airCloset Data Science Collection

顧客体験のアップデート

常に新鮮な体験を顧客に提供できるよう、サービスの定期的な更新も欠かせません。

おやつのサブスクSnaq.meは、「おやつが溜まってしまったから」という退会理由の多さに着目。理由を深掘りしたところ、顧客は賞味期限が切れて捨てる瞬間に強い罪悪感を感じていることが分かりました。そこで、余ったお菓子用に返送封筒を同封する施策を実施。解約率の減少につなげています。

このようにユーザーのフィードバックを分析し、迅速にサービス改善に活かすこともポイントになります。

カスタマーサクセスの取り組み

サブスクは直接顧客と関係を持つビジネスモデルです。そのため、顧客のデータを収集し、それをサービス改善に活かすことで顧客自身の成功を支援する仕組み(カスタマーサクセス)が必要になります。

例えばSansanのカスタマーサクセス部はテクニカルサポートと融合し、顧客からの問い合わせ内容を4つに分類。問い合わせ先の機能名と合わせて、プロダクトのフィードバックに活用しています。

データ収集と分析によりPDCAサイクルを実行し、継続的にカスタマーサクセスに取り組みましょう。

アランくん

データ収集と分析によりPDCAサイクルを実行し、継続的にカスタマーサクセスに取り組みましょう。

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サブスクリプションビジネスの注意点

サブスクリプションビジネスの注意点

この章では、サブスクビジネスの注意点を解説していきます。

利益獲得には忍耐が必要

サブスクリプションビジネスは、利益を得るまでに忍耐が必要です。サブスクは月額料金が比較的低く設定されており、ユーザーが一定数に達するまで売上が大きく伸びないためです。

よって、時間をかけてユーザー数を拡大し、徐々に投資を回収しなければなりません。サブスクビジネスを展開する際は事前に損益分岐点を計算し、会社のリソースがその時点まで持続するかを確認しておきましょう。

自社だけでは問題解決が難しい場合も

サブスクリプションビジネスは、体制と仕組みの整備も重要です。これらを怠ると効率的な運営がなされずコストが増大し、ビジネスが失敗する可能性があります。

また、運営に際して自社の知識やリソースだけでは対応できない問題が生じることも少なくありません。問題に直面した場合に備えて、外部の専門家やパートナーと協力するなどの準備も必要になります。

サブスク展開のサポートはオーダー!におまかせ

サブスク展開のサポートはオーダー!におまかせ

オーダー!はITと物流の知見を活かし、クライアントの業務をサポートするビジネスコンシェルジュです。サブスク展開を支援する、サイト構築サービスおよび物流サービスを提供しています。

サブスク用のサイト構築サービス

Webサイトの立ち上げから運用まで、様々な業務に対応可能です。

【個別相談メニュー】
・Webサイト構築
・ホームページからの問い合わせ対応代行
・SNS運用代行
・バナー制作など

【定額運用メニュー】
・ページ更新作業
・画像制作
・セキュリティ対応な
・運用・保守業務など

(スタンダードプラン)
12万円/月(税抜)
契約期間:3ヵ月毎 実働時間:30時間/月


顧客満足度を高める物流サービス

サブスクビジネスの物流面を幅広くサポート。化粧箱の組立や複数種類のパターンでのアイテム詰め込みなど、細かい作業も対応できます。

【メニュー例】
・商品の在庫管理、発送
・海外向け発送
・検品代行
・物流業務プロセス見直しコンサルティング など

サブスクリプション事例・まとめ

本記事では、サブスクリプションビジネス事例8選を紹介しました。事例から分かる成功のポイントは以下のとおりです。

  • 新しい価値の提供
  • 適切な価格設定
  • コスト管理
  • 顧客体験のアップデート
  • カスタマーサクセスの取り組み

サブスクリプションサービスは長期運営を前提としたビジネスモデルであり、体制と仕組みを整えておくことが重要です。自社のノウハウやリソースが足りない部分は、専門家と協力して準備を進めていきましょう。

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