• 物流業務を効率よくし、もっとコア業務に集中しなければならない
  • 倉庫を片付けたい。でも、どこに何をしまったらいいかわからない
  • 倉庫整理の必要性はわかるが、試行錯誤する余裕がない。ベストな方法を知りたい

倉庫整理レイアウトとは、倉庫内で商品や資材を効率的に保管し、受注処理や出荷作業をスムーズに行うための配置計画のことです。

倉庫費用を気にしてスペースを必要以上に減らしたり、保管効率を重視して商品を詰め込みすぎたりすると、商品を探しにくい、移動しにくいなど、かえって作業効率を下げてしまうことがあります。

本記事では、倉庫の整理に悩んでいる方に向けて、倉庫を整理する際に重要なレイアウトの基本とやり方をご説明します。

なお、在庫管理のやり方全般に関しては、以下の記事をご参考にしてください。

倉庫整理レイアウトの重要性

倉庫の整理ができてレイアウトが改善されると、どんな効果が得られるのでしょうか。ついつい入出荷の業務に追われ、倉庫の整理ができていないとお困りの方に、まずは倉庫のレイアウト改善の重要性を説明します。

倉庫整理レイアウトの重要性

業務効率化

倉庫レイアウトを改善する最大のメリットは、業務効率がアップすることです。レイアウトが最適化され、無駄な動きを省いたり減らしたりできます。

単純なピッキング作業ひとつを取っても、同じ動きが何百回、何千回と繰り返されます。倉庫整理が行われレイアウトが改善されると、商品の配置が良くなったり、導線が改善されたりして、驚くほどの工数が削減されるでしょう。

工数が削減されると、当然ながらリードタイムも早めることができます。

アランくん

作業場のミスも減り、結果として物流品質の向上も期待できるのです!

コスト削減

業務の効率化で工数が削減されるということは、それまで倉庫作業にかかっていた時間を短縮できるということです。また、倉庫での作業を少人数で行えるようにもなり、人件費の削減も可能になります。

これまで倉庫作業にかかっていた人手を、よりコアな業務に回せるようになるでしょう。

また、倉庫整理レイアウトを改善することで、商品の保管効率が上がります。その結果、不要なスペースを削減し、保管費用をカットすることも可能です。

検品や梱包に必要なスペースとの配分もあわせて見直すと、倉庫業務全体で必要なスペースをきちんと定義し直すことができるようになります。

アランくん

倉庫整理レイアウトの見直しは、倉庫全体の利用料低減にもつながりますね。

ミスの防止

倉庫整理を行いレイアウトを最適化することは、ミスや事故の防止にも役立ちます。

動線やスタッフ数に対し、在庫数とレイアウトが見合っていないと業務上のミスが起こりやすくなります。しかしレイアウトを改善し、余計な作業を減らして作業内容や移動経路がシンプルになれば、商品の取り違えなどのヒューマンエラーを減らせるでしょう。

アランくん

入り組んだ経路で、作業中に商品や人とぶつかるといった事故の心配もなくなります。

倉庫整理レイアウトの基本

倉庫整理のレイアウトは、入庫から出庫までの作業動線が一筆書きになるのが望ましいといわれています。倉庫整理の基本レイアウトは、「I型」と「U型」の2種類です。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

I型

I型レイアウトとは、入庫から出庫までの作業場所を直線に描いたレイアウトです。

I型レイアウトは、倉庫の両端に二つ扉がある倉庫で使われます。一方の扉から入庫し、検品、保管、ピッキングと順に作業し、もう一方の扉から出荷します。

I型レイアウトは作業スペースが狭く、かつ商品量が多い倉庫に適しています。

U型

U型レイアウトは、扉が一つのみの倉庫で利用され、入荷から出荷までの動線がU字になります。

I型に比べるとスタッフの移動距離は長くなるものの、スタッフ同士がぶつかる危険性が低いレイアウトです。そのため、ある程度通路が狭くても効率的に作業できます

倉庫整理レイアウトのやり方

続いて、倉庫整理のレイアウトのやり方(手順)について、確認しましょう。

1.作業工程の洗い出し

まず、現状の作業を洗い出し、改善点を明らかにします。

以下は一例ですが、作業工程を洗い出したうえで、それぞれの作業に必要なスペースを検討しましょう。

倉庫内の主な作業工程(例)

1.入荷
2.検品
3.入庫
4.保管
5.出庫
6.梱包
7.出荷

2.I型かU型を決定

倉庫の扉の位置や全体のスペースを確認して、I型かU型かレイアウトを決定します。

レイアウトを決める際は、デッドスペースが生まれないようにしましょう。

デッドスペースは、平面だけでなく高さでも生じます。後述しますが、取り扱う商品や棚によって収納効率が変わるので注意してください。

3.ABC分析を実施

倉庫のレイアウトがイメージできたら、取り扱い出荷量ごとにランクを付け、優先順位を決めます。ここでは、アイテムごとの重要度を分析する方法として、ABC分析をご紹介します。

ABC分析は、物流現場においてよく使われ、一定期間内の出荷個数や売上データを用いたもっともシンプルなものです。ABC分析では、商品ごとの出荷頻度(売上)が高い順に並べ、累積構成比の上位30%をA品、上位30〜70%をB品、70〜100%をC品と決めます。

ここで注意したいのは、集計期間や集計ベースを売上・個数のどちらを取るかによって、ABCの構成が変わってくることです。

たとえばクリスマスなどの季節商品は、1年を通した集計では出荷個数も売上もさほど大きくないかもしれませんが、一時的に圧倒的な出荷がある可能性があります。また、客寄せ効果を期待して扱う「見せ筋商品」も、売上や利益が低かったとしても、顧客にとっての存在価値があります。

また、ABC分析のもととなる売上データは過去のものだという点にも、注意が必要す。現在の売上構成比は小さくても、将来の売上が高くなることで、作業動線が変わることも念頭においてください。

A〜Cグループの商品の特性を整理すると、以下のようになります。

Aグループ出荷量が多く、商品を取り出す機会が多いため作業効率を重視する。
Bグループ出荷量が平均的。作業効率だけでなく保管効率も考慮し、バランスよく保管する。
Cグループ出荷量が少ない。商品を取り出す機会も少ないため、保管効率を重視し、商品・製品の劣化を防ぐ。

仕分け後は、作業台を基準にAグループは動線の最短、Cグループは作業台から遠い場所に設置しましょう。作業効率や無駄をなくすため、商品場所の入れ替えをこまめに行うことも大切です。

レイアウト例

I型レイアウトにせよ、U型レイアウトにせよ、ピッキングで人が動く距離はできるだけ短くすることが効率化するコツです。

このため、I型の場合は主な通路のそばにAグループの商品、遠い場所にCグループの商品を置きましょう。U型レイアウトであれば、Aグループ商品は入口付近に配置することで、商品をピッキングするときの移動距離を減らせます。

Cグループは、1商品(アイテム)あたりの在庫量を減らし、棚ひとつに置く商品数(アイテム)を増やすことで、棚の効率利用を目指します。棚を細かく仕切れば、通常より多くの商品数(アイテム)を保管できます。

4.保管用の収納アイテムを使用

保管場所の決定後は、収納アイテムを準備しましょう。収納アイテムの選択によっても作業効率は随分変わります。

収納アイテムにはさまざまな種類があるので、収納品に適したものを選んでください。例えば、ラックには以下のようなアイテムが存在します。

軽中量ラック

商品をダンボールなどに収納し、保管するラックです。商品に合わせて棚の大きさを調整できます。

軽量ラックは、雑貨などの小さい商品、軽量の商品を収納する際に使用します。組み立てや分解が容易な点、キャスター付きも選べる点がメリットです。

中量ラックは、ある程度重いものの収納に使用します。軽量ラックほどではありませんが、ある程度簡単に組み立て、分解ができます。段ボールでの収納には、もっとも便利なラックです。

なお耐荷重は、軽量ラックなら1段あたり約150kg、中量ラックなら1段あたり約200kgが目安となります。

パレットラック

商品をパレットのまま保管できるラックです。耐荷重は1段あたり約500kgからそれ以上となり、重いものも問題なく収納できますが、多くの場合、施工工事が必要になってきます。

ネスティングラック

逆ネスティングラック

ネスティングラック(ネスラック、ネステナー)は荷物を載せたまま移動でき、多段積みが可能です。

ネスティングラックは、3~4段を高積みし、立体的に収納できます。よって、収納量が多く、倉庫管理の効率化につながります。また、壁や床に固定しないため簡単に移設が可能。保管スペースの大きさに合わせて柔軟にレイアウトを変えられます。1段当たり1,000kgまでの負荷に耐えられるため、商品の重さを気にする必要がほとんどありません。

また、使っていないときは積み重ねて収納が可能です。よって、レイアウトに左右されずに保管できます。

前述したCグループ商品のストック分などは、ケースに入れてパレットで保管し、高さを活かしてネスティングラックなどで高積みすれば、より一層保管効率が高まります。

なお、ネスティングラックには荷物を置くための棚が下部にある「正ネスティングラック」と、荷物を置くための棚が上部にある「逆ネスティングラック」の2種類があります。

逆ネスティングラックは、ラックを積んだ時に、最下段のパレットが床に直置きとなるため、正ネスティングラックと比べ、ラックを重ねた時の高さが低くなります。

天井の低い倉庫の場合には、逆ネスティングラックを検討してみてはいかがでしょうか。

倉庫整理レイアウトの改善のコツ・注意点

続いて、実際に倉庫整理を行い、商品を適切に保管するためのコツや注意点を見ていきましょう。

取り扱う商品に合わせる

レイアウトや収納アイテムを選択する際は、取り扱う商品に合わせることが重要です。

重さの異なる商品を扱う場合は、商品棚の下に重いもの、上に軽いものを収納しましょう。ピッキング時はもちろん、収納時の負荷が大きく変わります。

また、倉庫レイアウトでは無駄なスペースを作らないことも重要です。

棚を有効活用するため、基本は中量棚(1,800×1,800×450mm)を使用します。棚が空いたら順番に商品を入れるルールにしておくと、無駄なスペースがなくなるでしょう。

収納アイテムのサイズをチェック

収納アイテムのサイズは、商品の種類と倉庫のレイアウトで変わります。棚の横幅、奥行、高さを正確に測り、倉庫の床面積、高さと照らし合わせましょう。そうすることで置きたい場所に設置できない、あるいは余分なスペースができるといったトラブルを防げます。

※小規模の倉庫管理で商品の大きさも変わる場合には、中量棚を目安にレイアウトしてください。

通路のスペースを保つ

通路のスペースを保つこともレイアウトのコツの一つです。

倉庫内での作業動線は、I型レイアウトでもU型レイアウトでも、基本的に一筆書きの動線になります。ですが、ピッキングミスなどで、一度通った道を戻ることもよくある話です。

このため、人と人が通れる通路やすれ違いの際に待機できるスペースを設けることが重要なのです。

ピッキング作業の押さえるべきポイントは、以下の記事にもまとめていますので参考にしてください。

また、人だけでなくフォークリフトやロボット、ピッキング用台車を使用する場合も2台分の通路スペースを確保してください。小規模の倉庫であっても、1件当たりの購入数およびアイテムが少ない場合には、1回のピッキングで2〜5件分を一気に行うことがあります。

通路スペースが確保されていないと、通路で作業者やロボットが鉢合わせた際にどちらかが後退しなければなりません。作業効率が落ちるばかりでなく、事故につながりかねません。

動線や通路スペースの考え方については、以下の記事も参考にできます。ぜひお読みください。

動線用のテープを貼る

その他、倉庫のレイアウトでは、動線用のテープを貼ることも有効です。

動線用のテープは、商品と通路の境界を明確にするだけでなく、通路に商品を置くことを防止できます。倉庫の整理整頓といった5Sの観点からも、重要な取り組みになります。

倉庫整理レイアウトはプロにお願いできる!

ここまで自社で行う倉庫整理レイアウトの方法をお伝えしましたが、プロに依頼することも可能です。

一般的に、倉庫整理のレイアウトは物流コンサルティングサービスを提供する企業に依頼します。物流コンサルティング企業はたくさんありますが、なるべく自社と似た業種、似た規模の企業をコンサルティングした実績を持つ業者を選びましょう。

物流コンサルティングについては以下の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてください。

倉庫整理の悩みはオーダー!におまかせ

オーダー!の物流代行サービスは、豊富な経験をもとにした柔軟な対応が可能です。

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倉庫整理レイアウトでお悩みの際は、ぜひオーダー!の物流お任せサービスの利用を検討してください。経験豊富なメンバーが、お客様にもっとも適したサービスをご提案いたします。

倉庫整理レイアウトによくある質問

Q
倉庫整理のレイアウト図はどのソフトで作成したら良いですか?
A

倉庫整理のレイアウト図を効率的に書くために、作図ソフトを使うことが一般的です。作図ソフトは、エクセルやspreadsheetのような表計算ソフトウェアや使用するケースから「Auto CAD」や「Jw_cad」などのCADソフトを使用するケースがあります。

倉庫整理レイアウトのまとめ

倉庫内で商品や資材を効率よく保管し、受注処理や出荷作業をスムーズに行うために欠かせない、倉庫整理レイアウト。倉庫整理レイアウトがよく工夫されていると作業効率が格段にアップし、物流品質の向上、コスト削減に大きく寄与します。

しかし、自社で行う場合は倉庫の大きさから取り扱い商品、ラックなどの収納アイテムに至るまで、さまざまなポイントに気を配りながら設計しなければなりません。

倉庫業務に慣れていない方、通常業務でリソースが限られている方にとっては気の重い仕事ではないでしょうか。その場合は、取り扱い品目や頻度に合わせて適切な倉庫整理レイアウトを設計できる、物流業務コンサルティング会社への相談がおすすめです。

倉庫整理レイアウトでお悩みの方は、ぜひオーダー!にご相談下さい!

倉庫作業の改善アイデアとして自動化を検討している方は以下の記事にまとめています。倉庫の自動化で人手不足を解消した事例も豊富にあります。

物流代行全般について理解したい方は、以下の記事に詳しくまとめていますので参考にしてみてください。