企業や店舗のホームページは、開設さえすればよいというものではありません。定期的に適切な管理を続ける必要がありますが、その中でも重要なのが「保守」です。
とくにセキュリティの更新やホームページ内コンテンツのコーディング修正などは専門的知識がないと分かりづらく、担当者にとっては面倒な業務の一つといえるかもしれません。
保守にリソースを取られている場合は、外注を検討するのも一つです。この記事では、ホームページ(Webサイト)の保守の重要性、そして、外注する際のメリット・デメリットや注意点などをご紹介します。
ホームページ保守を外注したい情報システム担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
ホームページ(Webサイト)保守とは
ユーザーが安心して閲覧できるホームページにするためには、開設した後も定期的にサイトを改善し、最適化していくことが重要です。こういった定期的にWebサイトを改善・最適化するための業務を「保守」と呼びます。
具体的には、以下のような保守・管理が必要です。
- サーバーのインフラ(ハードウェア、OSのアップグレード、更新プログラムの適用など)
- ミドルウェア(CMSの更新プログラムやアップグレード対応など)
- アプリ(ホームページ上でアプリがあれば、その保守)
- コンテンツのアップデート(Webサイト内のページの更新)
これらを適切に管理することで、ユーザーが利用しやすいWebサイトの運営が可能となります。
ホームページ(Webサイト)保守が必要な理由
ホームページ上にはたくさんのコンテンツがあり、コンテンツごとにテキストや画像、コードなどが使われています。このためバグや修正箇所が見つかることも多く、公開後に対応しなくてはならない場合も多くあります。
またドメインやサーバーの多くは年間契約となっており、定期的な更新が不可欠です。万一、契約期限までに更新できず失効してしまうと、Webサイトが表示されなくなる事態になりかねません。
さらに、ドメインやサーバーは自動更新を有効にすることで対処できても、Webサーバーやシステムは日々バージョンアップしています。よって、その変化に対応しつつサイトを最適化し、維持する必要があるのです。
コンテンツのアップデートが何ヵ月もおこなわれていない、つまり最新の情報に更新されていないWebサイトは検索順位が下がります。それは、アクセスの低下やサイトの信頼性の低下などにつながります。
他にも定期的な保守がおこなわれない場合、ページの改ざんや個人情報の漏えいのリスクが高まることが懸念されますよ
ページの改ざん
適切な保守がおこなわれないことで、自社だけでなくユーザーにまで影響するのがセキュリティ面です。近年、不正アクセスによりページが改ざんされる事件が、企業規模にかかわらず増えています。
ページ改ざんの目的の多くは、サイトにアクセスした閲覧者をウイルスに感染させることです。これにより、ウイルスに感染したユーザーのパソコンから機密情報が盗まれたり、金銭被害が起こったりといった二次被害が起きています。
自社のWebサイトが原因でこうした事態が発生すると、ウイルス感染に加担した加害者の立場となってしまいます。
ユーザーを巻き込まないためにも、Webサイトの保守はたいへん重要なのです。
個人情報の漏えい
また、Webサイトへの不正アクセスは、個人情報のデータを抜き取られる危険があります。
個人情報の漏えいは年々増えており、東京商工リサーチの上場企業とその子会社を対象とした調査によると、2021年に個人情報の漏えい・紛失事故を公表したのは120社、事故件数は137件、漏えいした個人情報は約575万人分と過去最多を記録したとのこと。
そして、2021年の情報漏えい・紛失事故137件のうち、原因別では約半数となる68件が「ウイルス感染・不正アクセス」であるとされています。こうした情報漏えいは、クレジットカード不正利用などの犯罪被害にもつながることを、あらためて認識する必要があります。
このような事態が発生するリスクを最小限に抑えるために、ホームページ保守は非常に重要なのです。
ホームページを放置すると検索順位やアクセスに影響するだけでなく、リスクも生まれます。不正にアクセスされて情報を抜き取られたり、閲覧したユーザーがウイルスに感染したりする場合もあるんですね。
ホームページ(Webサイト)保守は外注がおすすめ
ホームページの保守は自社でおこなうことももちろん可能ですが、ブラウザやシステムの仕様変更は頻繁に発生します。専門的な知識がないと面倒な作業も発生するため、つい後回しになりがちです。
また、トラブルが起きた際の対応や、定期的な情報・データのバックアップの取得も必要です。自社のみで実施するより、知識とノウハウを持つプロに任せるほうがいざというときの安心感が増すという側面もあるでしょう。
ホームページ(Webサイト)保守・外注できる内容
ここからはホームページ保守を外注する場合、具体的にどういった業務を依頼できるのかをご紹介します。
ホームページ(Webサイト)の更新・修正
ホームページは新しい情報の更新が信頼性に直結するといっても過言ではありません。
ユーザーは常に最新の情報を求めています。何年も放置されたホームページは検索エンジンからの評価が低くなりやすく、アクセスの低下やユーザーが競合他社に流れてしまうことが懸念されます。こういった状況を防ぐため、ホームページの更新・修正を依頼できます。
サーバー・ドメインの管理
サーバーやドメインの更新手続きも外注可能です。
サーバー・ドメインの多くは、1年契約、3年契約などの期間が決まっています。Webサイトを維持するために、契約終了のタイミングを逃すことなく手続きをおこなう必要があります。
SSLサーバー証明書の更新
SSL(Secure Sockets Layer)は、インターネット上でデータを暗号化して送受信するためのプロトコルのひとつで、通信内容を第三者に傍受されることを防止するセキュリティ技術です。
第三者が自社サイトのログインIDやパスワードを盗んでアクセスする「なりすまし」や、自社サイトから送信したデータを第三者が盗み見る行為などを防ぐために、サーバー会社ではWebサイト運営者の実在と通信の暗号化を証明する「SSLサーバー証明書」を発行しています。
このSSLサーバー証明書の定期的な更新も業者に依頼できます。
CMSのバージョンアップ
WordPressなどのCMSを使用している場合、古いバージョンを使い続けると、新たに発見されたセキュリティホールに対する修正が適用されず、ハッキングのリスクが高まる可能性があります。WordPressなど、そうした定期的なWebサイトのバージョンアップにも対応可能です。
バージョンアップを行う際には、予期せぬ問題を避けるため必ず事前にデータのバックアップを取るなど専門的な知識が必要となります。
ブラウザ、端末アップデートへの対応
Microsoft EdgeやGoogle Chrome、Apple社のSafariなど、Webサイトを閲覧するためのブラウザもバージョンアップが高頻度でおこなわれています。また、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末も新しい機種が続々登場するため、最新のブラウザや端末に順応して表示されるよう対応していく必要があります。ホームページ保守業者は、こういったブラウザ、端末アップデートへの対応も行います。
ファイルの管理、バックアップ
各種更新や不正アクセスといった予期せぬトラブルにより、Webサイト内のデータが消えてしまうことがあります。こうした場合に備えた、ファイルの管理や定期的なデータのバックアップを取ることも業者に依頼できます。
セキュリティ対策
不正アクセスや情報漏えい、ページの改ざんを防ぐためには、サーバー・CMSなどのセキュリティ対策を十分に講じる必要があります。プロに任せれば、最新のセキュリティ対策をおこなってくれるでしょう。
「各証明の更新手続き、Webサーバー、ブラウザ・端末のバージョンアップのための対応など、多岐に渡る業務を依頼できるのですね!」
ホームページ(Webサイト)保守の外注メリット
次に、ホームページの保守・管理を外注する場合のメリットを見ていきましょう。
コストの削減
最初のメリットは、費用を削減できることです。ホームページ保守のために新たな人員を配置する場合、人件費・研修費などがかかりますが、これは保守の外注費に比べて高くなる傾向があります。
また、外注するとサーバーなどの管理費や維持費も個別でかからなくなり、自社スタッフが保守のために使っていた工数を別業務に充てられるようにもなるでしょう。テスト環境を整える必要もなくなり、手間や労力が省けることで社内全体の生産性アップが期待できます。
リスクの軽減
システムに精通したプロに依頼することで、より高度なセキュリティ対策ができる点もメリットです。
ホームページで使用しているプラグインなどもバージョンアップが必要ですが、外注ならプラグインを使用しなくても素早い対応が可能。サイトが重くなったり不具合が起こったりする確率が低くなります。
また使用しているCMSによっては新しいバージョンにすることで、新しい機能が追加され、より多様なコンテンツを作成できたり既存の機能も改善されたり、使いやすさやパフォーマンスが向上することがあります。
この他、自社で保守を担当したときに起こりがちな業務の属人化リスクも防ぐことができます。
業務の属人化…手順を把握している担当者が限られていること。担当者が急に業務に従事できなくなった際に管理が回らなくなるリスクがある。
ホームページ(Webサイト)保守の外注デメリット
ホームページ保守の外注にはメリットがあれば、もちろんデメリットもあります。きちんと双方を把握したうえで、検討するようにしましょう。
社内にノウハウが蓄積されない
どのような業務にもいえることですが、外部委託には自社のノウハウが蓄積できないというデメリットがあります。将来的に保守作業を自社でおこないたい場合は、慎重になる必要があるでしょう。
サービスの中には、電話・メールサポートのみの業者も存在するため、トラブル発生時のホットラインとして、その部分のみを外注する方法もあります。先を見据えて検討しましょう。
Webサイト保守を外注する際はコストが気になりますが、人件費などを考慮するとコスト削減につながるようです。デメリットも確認しつつ、自社で対応が難しい部分の外注も考えてみてはいかがでしょうか。
ホームページ(Webサイト)保守の外注・注意点
ホームページ保守を外注する際の注意点、押さえておきたいポイントなどをご紹介します。
作業範囲を明確にする
まずは、自社で対応する部分と外注に依頼する部分を明確に分ける必要があります。
自社のリソースや専門知識を持つスタッフの割合などを鑑みて、どの作業を外注する必要があるのか洗い出してみましょう。作業範囲を明確にすることは、外注先との認識をすり合わせるうえでもっとも重要です。トラブルを防ぐためにも、依頼前にはっきりさせておきましょう。
相見積もりを取る
ホームページ制作を依頼した会社に保守をお願いするのも一つですが、業者によってサービス内容はさまざまです。費用とサービス内容の適正コストを判断するには、複数社から相見積もりを取ることが有効。1社だけの見積もりで判断せず、内容をリスト化しコストを数字化して比較することで、しっかりと相場を把握できます。
ホームページ(Webサイト)保守の費用相場
相場(月額) | 5,000円以下 | 5,000円~20,000円 | 20,000円~50,000円 | 50,000円以上 |
対応内容 | ・サーバー ・ドメイン ・SSL | ・サーバー ・ドメイン ・SSL ・コンテンツの更新 ・障害の対応 | ・サーバー ・ドメイン ・SSL ・コンテンツの更新 ・障害の対応 ・CMSのメンテナンス ・レポーティング | ・サーバー ・ドメイン ・SSL ・コンテンツの更新 ・障害の対応 ・CMSのメンテナンス ・レポーティング ・コンサルティング |
発注先 | 自社対応 | 中小規模の制作会社 | ・中小規模の制作会社 ・大手制作会社 | 大手制作会社 |
ホームページ保守を自社でおこなう場合と、業務ごとに外注する場合の費用をまとめると、上表のようになります。月額5,000円から20,000円がもっとも多い価格帯ですが、集客のための保守管理も含むと、月額50,000円以上必要となります。
※コンテンツの更新回数やSLA(サービス品質保証)によって月額費用は変動します。
なかには最低限の保守を業者Aに、集客の保守を業者Bにというように、業務ごとに別業者に委託するケースもあります。価格帯は保守範囲で変わるため、前述したとおり委託する保守範囲を明確にし、自社と外注先で割り振ると費用を抑えられ効率的です。
各種更新手続きなどは自社で対応し、セキュリティなど専門知識が必要な部分のみをプロに依頼する。丸ごとではなく一部を外注すると、費用も抑えられて安心も得られるのでいいかもしれません
ホームページ(Webサイト)保守に関するよくある質問
- QECサイトの保守の場合は、どのようになりますでしょうか?
- A
ECサイトの保守は、ECサイトの構築方法によって異なります。
ECサイトを構築する方法のうち、「ASP」「クラウドEC」などと呼ばれるクラウド環境に構築されたECプラットフォームを利用している場合は、事業者は保守を意識する必要はありません。保守に係る責任は、すべてECプラットフォーム側にあるからです。
一方で、オンプレミス型と呼ばれる社内もしくはレンタルサーバー内にECシステムを構築する場合は、保守が必要となります。その際の基本的な保守内容については本記事内容と変わりはありません。
具体的にはCMSの部分がECサイトを構築しているシステムに置き変わったものとして考えるとよいでしょう。
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クライアント名:大手SI A社様 A社様では、グループで決められたレギュレーションがあり、既存のコーポレートサイトではデジタルマーケティングの実行が難しいことが課題となっていました。そこで、コラムや事例などを集約したコンテンツマーケティングを展開するための特別なソリューションサイトを新規に公開することを決断。このサイト立ち上げ時に、オーダーでは以下の内容をサポートさせていただきました。また、その後の更新や保守についても引き続きご支援しております。 【主な受注業務内容】 ・コンテンツ企画、および制作 ・サイトデザイン、および制作 ・コンテンツの更新・Webサイト保守 |
ホームページ(Webサイト)保守のまとめ
マーケティングにおいてもインターネットが主流となっている昨今、自社ホームページは、顧客獲得、商品販売やサービス利用のための重要な足掛かりとなります。
ホームページ保守はユーザーの利用しやすさ、自社の信頼性アップなどに大きな影響を及ぼします。各種手続きやシステムに関する技術面、セキュリティ対策、コンテンツの充実など、さまざまな業務をこなしていかなければなりません。
自社だけで対応が難しいと感じた場合は、外注も視野に入れてみてください。
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