視聴者とやりとりしながら、商品を紹介するライブコマース。日本ではあまりなじみ深くありませんが、これから注目が集まると予測されています。

市場拡大が期待できるものの、新しい販売方法だけに「どのような点に注意すればよいのか分からない」という人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、すでにライブコマース市場が拡大している海外、および国内の事例を10件紹介。そのうえで人気配信の共通点も解説します。今後のライブ配信にぜひ活用してください!

ライブコマースの海外事例(中国)

ライブコマースの海外事例(中国)

まずは中国でのライブコマースの成功事例を紹介します。ライブコマース市場の先駆けは中国であり、2016年ごろより浸透し始めています。

林清軒

林清軒

林清軒は上海に拠点を置き、中国国内に337の店舗を構えるスキンケア用品店です。

【ライブコマース施策前の課題】
2020年1月末、林清軒はコロナウイルス感染拡大により、157の店舗が営業停止となりました。また、営業を続けた他の店舗も業績は振るわず、前年同期に比べ売り上げは90%も低下してしまいました。

【ライブコマースの施策内容】
林清軒はこの危機を打破するために、新たなチャレンジとしてライブコマースを実施。林清軒のライブコマースはタオバオライブで行われ、配信初日、2月1日の視聴者数はたったの2人でした。しかし、その4日後には500人まで増加。さらに2月14日、創業者の孫来春氏がライブに登場すると、視聴者数は6万人を超えました

【ライブコマースの効果】
林清軒のライブコマースの効果は、以下の通りです。

  • 主力商品、ツバキ油を40万個販売
  • 40万元(約600万円)近い売り上げを達成
  • 前年同期より45%売り上げ増

参考: AlibabaNews Japanese 「新型コロナ影響で倒産危機、窮地の企業がデジタル改革で大逆転 」

トリップ・ドットコム

トリップ・ドットコム

トリップ・ドットコムはワンストップ旅行プラットフォームです。

【ライブコマース施策前の課題】
コロナウイルス感染拡大により、観光業界は大打撃を受けました。トリップ・ドットコムも例外ではなく、2020年の第四四半期の売り上げは前年同期より40%減少しています。

【ライブコマースの施策内容】
トリップ・ドットコムは、WeChatのミニプログラムにてライブコマースを行いました。トリップ・ドットコムのライブコマースでは、回ごとに開催地を変えながら、ホテルの紹介をし、半年~1年の有効前売り券を販売。この企画には2万軒以上のホテルが参加し、10、20代を中心に注目を集めました。

【ライブコマースの効果】
ライブコマースの効果は、以下の通りです。

  • 計9回の累計GMV(流通取引総額)は約46億円
  • 寧海のホテル、6,000室を完売
  • 広州、深圳では開始15分で3,700泊販売
  • 上海では1時間で8万泊を販売

参考:トラベルボイス株式会社「Trip.com、旅行を実演販売する『ライブコマース』配信、前売券方式セールで1時間の流通取引総額7億円超に」

ミツカン

ミツカン

ミツカンは日本の大手食品メーカーですが、中国でライブコマースを実施しています。

【ライブコマースの施策内容】
中国国内での認知向上を目指したミツカンが目を付けたのは、中国のソーシャルメディアで高い影響力を持つKOLが展開するネットショップ。KOLを通じて、同社の人気商品である鍋つゆパック「こなべっち」のプロモーション活動を行いました。

【ライブコマースの効果】
ライブコマースの効果は、以下の通りです。

  • 1時間で2,500個以上販売
  • SEO効果※プロモーション商品と親和性のあるキーワードで検索すると上位表示されるように
  • 中国大手プラットフォームへの導入が確定

ライブコマースの海外事例(北米)

ライブコマースの海外事例(北米)

続いて、北米でのライブコマースの事例を紹介します。ライブコマースは、中国に続いてアジア圏外、北米にも広がっています。

Walmart

Walmart

Walmart(ウォルマート)は、米国の大手スーパーマーケットチェーンです。

【ライブコマースの施策内容】
Walmartはアジア圏で拡大を見せるライブコマース市場を見て、2020年12月、TikTokにて初のライブコマース配信を行いました。その後、TwitterやInstagram、YouTubeなど各種SNSでも配信。2021年にはライブコマース配信プラットフォームであるトークショップライブと提携し、トークショップライブよりワンクリックで商品を購入できるようにしています。

Amazon Live

Amazon Live

通販Webサイト大手のAmazonもライブコマースを実施しています。まず、2016年3月にAmazonライブコマース「Style Code Live」を始動し、現在はAmazon Liveとして実施中です。

【ライブコマースの施策内容】
このプラットフォームを利用しているのが、日本の大手自動車メーカーの三菱自動車です。
同社はAmazon Liveにて、新車発表会を実施。乗用車をあらゆる角度から見せることで、製品の魅力を存分に伝えました。視聴者はただその様子を見るだけではなく、エンジニアや設計者に質問し、回答を受け取れるため、より製品への理解を深められた様です。

【ライブコマースの効果】
この取り組みの結果、ライブ配信の視聴回数は想定時間の半分以内で、目標の2倍以上を達成。試乗予約もできる仕様になっていましたが、1ヵ月分のスケジュールが埋まり、大盛況した事例といえます。

参考:Amazon Live

ライブコマースの日本事例

ライブコマースの日本事例

近年、日本の企業も積極的にライブコマースを取り入れています。ここでは、ライブコマースの日本での事例を紹介します。

ベイクルーズ

ベイクルーズ

ベイクルーズは、多数のブランドを取り扱うアパレル・雑貨通販サイトです。

【ライブコマースの施策内容】
ベイクルーズのライブコマースは、サイト埋め込み型になっている点が特徴。購入までの導線がスムーズで、ブランド間の横断も可能です。

また、配信スタジオに商品ラックを設置したり、コメントしやすいようにスタッフが視聴者に声をかけたりなどの工夫をしています。さらに、配信時間がもっとも人が来やすい午後8時に固定されている点もポイントです。

【ライブコマースの効果】
ベイクルーズのライブコマースの効果は、以下の通りです。

  • ライブ経由の売り上げ平均週90万円
  • ライブ視聴者は平均4,500~5,000人

参考: MIKATA株式会社「ベイクルーズのライブコマース運営とは 最大9,000人の視聴者を集める集客力」

アシックス

アシックス

アシックスは、神戸市に拠点を置くスポーツ用品メーカーです。

【ライブコマース施策前、施策中の課題】
アシックスでは、コロナ禍で実店舗への来客が減少していました。その対策として、SNSでライブ配信開始。しかし、商品の購入導線が設計しづらい点が課題となっていました。

【ライブコマースの施策内容】
SNSライブの問題点を受けて、アシックスは「TIG LIVE」を利用開始。これにより、ユーザーごとの行動分析が可能になりました。

アシックスのライブコマースの特徴は、「自由度が高い」「LINE公式アカウント内で配信が可能」の2点です。商品以外にも最適なシューズを判定する診断ツールを紹介したり、店内を歩き回りながら配信したりして、他のライブコマースとの差別化を図っています。

【ライブコマースの効果】
アシックスのライブコマースの効果は、以下の通りです。

  • 45分間で平日の店舗1日分の売り上げを達成

参考:パロニム株式会社「【Tig LIVE事例紹介】ASICSが、たった45分のライブコマースで、店舗1日相当分の売上を達成!! 」

ヤーマン

ヤーマン

ヤーマンは、美容機器と化粧品のメーカーです。

【ライブコマースの施策内容】
ヤーマンは、日本でライブコマースを導入する前に、中国のECサイト「Tmall」にてライブコマースを実施。ネットセールスデーである「独身の日」の電子美容機器部門・販売実績で6年連続1位という偉業を成し遂げています。

また、日本では「HandsUP」という、コンサルティングも受けられるライブコマースソリューションを利用しています。

ヤーマンのライブコマースの大きな特徴は、社員が配信している点です。中国のライブコマースでは、KOLが配信を行うことが多いですが、社員が配信することで、よりコアな情報を届けられます。

その他、ライブショッピング限定企画やメイクアップアーティストを呼んだイベントの開催も、ヤーマンのライブコマースの盛り上がりに貢献しています。また、2020年より始まった1対1のライブコマース、オンラインカウンセリングサービスも好評を得ています。

阪神タイガース

阪神タイガース

野球団・阪神タイガースも公式オンラインショップにてライブコマースを実施しています。

【ライブコマース施策前の課題】
阪神タイガースは、コロナウイルス感染拡大により、試合が中止され、大幅に売り上げが減少。また、試合中止によりファンとのコミュニケーションが希薄になった点も課題となっていました。

【ライブコマースの施策内容】
阪神タイガースのライブコマースは「Live Kit」で配信されています。配信内容は、新グッズの紹介や使い方の解説が中心。実店舗の雰囲気を楽しんでもらうため、店舗から配信している点が特徴です。また、ライバーは元選手・今成亮太氏で、ファンとのコミュニケーションや軽快なトークが人気を集めています。

参考: BIPROGY株式会社「【阪神タイガース様インタビュー】スタジアムの外でも『Live kit』でファンと熱くつながる!」

小学館

小学館

【ライブコマースの施策内容】
大手総合出版社である小学館のライブコマースでは、「美的」や「Oggi」といった美容・ファッション雑誌の内容をデジタルに落とし込んだような配信が特徴です。雑誌と同じように商品の詳細を解説しながら、紙面では伝えにくい使用感などを紹介。また、ライブで紹介した商品はその場で購入できるようになっています。

参考:Forbes JAPAN「1時間で1500万円売上を達成。MTG、花王、小学館、ヤマダデンキ……次々と企業を魅了する戦略的ライブコマース『ライブル』の成功の方程式」

ライブコマースの事例に学ぶ、人気配信の共通点

ライブコマースの事例に学ぶ

ここまで、さまざまな企業のライブコマース導入事例を紹介してきました。

人気のある配信には以下のような特徴がみられます。

商品を理解し、イメージに合った配信者を選択

ライブコマースでは、視聴者に商品の魅力を的確に伝える必要があります。そのため、開発者や社員など商品を理解し、熱のこもったトークができる人が配信すると人気が出やすいでしょう。

実際に先ほど紹介した中国の2事例でも社長、会長がみずからライブ配信を行っていますし、日本でもブランドスタッフが配信する事例が多くありました。インフルエンサーの配信も新規顧客を取り込めるメリットがありますが、インフルエンサーはゲストとして呼び、普段は社員など商品への理解が深い人を採用すると良いでしょう。

視聴者参加型の配信

ライブコマースの魅力は、双方向性のあるコミュニケーションです。ライブコマースでは、その魅力を最大限引き出すべく、積極的にコメントを拾うと人気が出やすくなります。その証拠に、先ほど紹介した阪神タイガースのライバー、今成亮太氏は、積極的にコミュニケーションを取ることで人気を集めています。

また、もし一人で商品紹介とコメント読みの両方を行うのが難しそうなら、複数人でのライブ配信をおすすめします。事例で紹介したベイクルーズでは、進行役の「天の声」がコメントを拾っています。

天の声、コマーサー(ブランドの魅力を伝える人)、ゲストなどの掛け合いが上手くいくと配信が盛り上がるでしょう。

限定要素を作る

販売方法が何であれ、限定品は購入者の購買意欲をそそります。限定要素の例として、視聴者限定プレゼントや、配信中の購入は割引価格にする方法があります。先ほど紹介した事例の中では、ヤーマンやトリップ・ドットコムがこの方法を採用しています。

アーカイブを残す

ライブ配信は時間が限定されているため、商品に興味を持っている人全員がリアルタイムで視聴できるとは限りません。見逃した人向けにアーカイブは必ず残すようにしましょう。

アーカイブであれば、一時停止や巻き戻しも可能。慎重に商品購入を検討しているユーザーにもじっくり見てもらえ、購入の後押しになります。

今回紹介した事例でも、半数以上はアーカイブを残しています。今後、アーカイブを設ける際には、その存在に気づいてもらえるようにわかりやすい導線づくりを意識しましょう。

ライブコマースは在庫管理・配送体制も重要!

ライブコマースでもっとも注文数が増えるのは、配信中のごく短い時間です。短時間で注文が集中する中、スムーズに商品を届けるには在庫管理や配送体制を整えておくことが重要です。

しかし、物流のプロ、オーダー!の視点から見ると、専門外の人が配信と並行して在庫管理や配送を行うのは非常に困難です。したがって、ライブコマースを配信する際には、在庫管理と配送業務のプロに外注することをおすすめします。

ライブコマースの在庫管理・配送はオーダー!にお任せ

ライブコマースの在庫管理・配送はオーダー!にお任せ

在庫管理や配送業務を外注するなら、オーダー!の物流サービスにお任せ下さい。オーダー!のECサイト向けサービスでは、商品の入庫管理から出庫管理、在庫管理まで、物流に関する全ての業務をサポートします。

また、オーダー!では、近年増加している個人事業主向けの在庫管理、配送サービスにも対応しています。個人宅での発送作業は思いのほか大変です。オーダー!なら、一般的な運送会社よりもリーズナブルな値段での配送が可能で、梱包の質も担保されています。

その他、海外発送の代行や物流業務のコンサルティングなど、物流にまつわる幅広いサービスを取りそろえております。物流に関するお悩みを抱えている場合は、ぜひ一度、オーダー!にご相談下さい。

オーダー!の在庫管理・配送事例

オーダー!が実際に行った、ECサイト運営代行事例を紹介します。元々別事業を手がけていたところから、新たにファッションブランドを立ち上げたアパレル関連企業様の事例です。

立ち上げにあたって人手とリソースが不足しており、かつ既存事業とは求められる人材も異なるため、ECサイトの構築から運用代行(フルフィルメント)まで委託できる代行業者を探していたそうです。

そこで、ECビジネスに必要な業務を一気通貫で支援できる、オーダー!が代行を請け負いました。

具体的な代行内容は以下の通りです。

  • ECサイトの更新:シーズンごとの商品リリース・差し替えなど。※ライブコマース導入後は、限定品の販売などでサイトの更新を頻繁に行う必要があるため、おすすめのサービスです
  • 梱包と配送: ECサイトから受注が入ってから、オーダー!の倉庫に保管している商品を梱包・配送します
  • 展示会への製品配送・検品など

オーダー!の倉庫から展示場へ直接アイテムを送付。出展後はアイテムに汚れなどがついていないか検品し、倉庫へ戻す作業を行います。

結果、クライアントのリソースが限られているなか、ECサイトをスムーズに運営できています。また、ECサイトの運用代行だけではなく、展示会への配送作業など、クライアント事業に関わる個別の要望にも対応。総合的なサポートを評価いただいています。

ライブコマースの事例まとめ

今回紹介した、ライブコマース人気配信の共通点は、以下の4点です。

  • 商品への理解度が高い配信者を採用する
  • 視聴者参加型の配信を心がける
  • 限定要素を取り入れる
  • アーカイブを残す

スムーズなライブコマースには、在庫管理と配送体制の整備が欠かせません。これからライブコマースを始める人や、ライブコマースを取り入れているけれど伸び悩んでいる人は、ぜひオーダー!の物流サービスをご利用下さい。

ライブコマースの始め方については以下の記事を参考にしてください。