自社ブランドのアパレル商品を製造する際、多くの企業がOEM(Original Equipment Manufacturing)を活用しています。OEMとは、他社ブランドの製品を受託製造することを指しますが、アパレル業界においては、自社ブランドの衣料品生産を外部メーカーに委託する方式を意味します。
OEMを導入することで、自社工場を持たずに高品質な製品を効率的に製造できるため、コスト削減と生産管理の最適化が可能に。さらに、専門性の高いメーカーの技術力を活用することで、競争力のある製品作りが可能になるでしょう。
しかし、OEMを成功させるためには、単にメーカーに生産を任せるだけでは不十分。自社ブランドのコンセプトを明確にし、製品の企画や品質管理に積極的に関与することが求められます。また、信頼できる外部メーカー、つまりパートナーを見つけ、しっかりとコミュニケーションを取ることも重要なポイントです。
本記事では、アパレルOEMの基礎知識から、実践的なテクニックまで詳しく解説します。
アパレルOEMとは?
OEMとは、Original Equipment Manufacturingの略で、他社ブランドの製品を製造することを指します。アパレルにおいては、自社ブランドの衣料品を他の企業に委託して生産することがアパレルOEMにあたります。OEMでは、ブランドオーナーが製品の企画や仕様を決定し、製造パートナーがその指示通りに製品を製造します。そのため自社工場を持たずにオリジナル商品を手掛けることが可能となります。
OEMの基本的な仕組み
OEMの基本的な仕組みは、発注者(ブランド側)が製品の仕様や設計を決定し、それに基づいて製造業者(OEMメーカー)が製品を生産するというもの。アパレル業界では、デザインや素材の選定、サイズ展開などを自社で決定し、実際の縫製や仕上げをOEMメーカーに委託するケースが多く見られます。この方式により、自社のブランドイメージや品質基準を維持しながら、効率的な生産が可能となります。
アパレル生産にOEMを利用するメリット
アパレルメーカーがOEMを活用する最大の理由は、製造コストの削減と生産の効率化です。自社工場を持つ必要がないため、設備投資や人件費を抑えられます。また、OEMメーカーの専門的な技術やノウハウを活かすことで、高品質な製品を安定的に生産できるというメリットもあります。自社の強みに集中しつつ、生産面は専門家に任せることで、ブランド全体の競争力を高められるでしょう。
OEMとODMの違い
OEMと似た言葉にODM(Original Design Manufacturing)があります。OEMが製造のみを請け負うのに対し、ODMは製品の設計から製造までを一括して請け負います。ODMの場合、ブランドオーナーは製品コンセプトを提示するだけで、具体的な設計はメーカーに一任することになります。一方、OEMではブランド側が主体的に製品の仕様を決めていく必要があるため、ブランドの特性を反映しやすいというメリットがあるでしょう。
OEMを使うことは自社のリソース確保にも繋がります!
OEMで自社ブランドを始める方法
OEMで自社ブランドを始める際は、まずアパレルラインの設計と開発を行いましょう。その後、OEMパートナーを探すことになります。
アパレルラインの設計と開発
OEMで自社ブランドのアパレルラインを立ち上げる際は、まずコンセプトを明確にし、ターゲット顧客を定めることが重要です。その上で、デザインやサイズ展開、価格帯などを決めていきます。素材や縫製の品質、仕様書の作成など、細部にまでこだわることが求められます。
OEMパートナーの選び方
信頼できるOEMパートナーを見つけることは、アパレルOEMの成否を分ける重要なポイントです。まずは、自社の求める品質やコストに見合う製造能力を備えているかを確認しましょう。サンプル品の提供や工場の視察なども積極的に行い、パートナーの技術力を見極めることが大切です。また、コミュニケーションが円滑に取れるかどうかも重要な判断材料になります。長期的な協力関係を築けるパートナーを選ぶことが、ブランドの発展につながるはずです。
アパレルOEMのメリットとデメリット
アパレルOEMを活用することには、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
- コスト削減と効率化
- 専門性の高い製造が可能
【メリット】コスト削減と効率化
OEMの最大のメリットは、製造コストの削減と生産の効率化です。自社工場の設立や維持にかかる費用を抑えられるため、初期投資を軽減できます。また、大量生産による規模の経済が働くため、1点あたりの製造コストを下げることも可能。品質管理や工程管理もOEMメーカーに任せられるため、自社の人的リソースを製品企画やマーケティングに集中させられるでしょう。
【メリット】専門性の高い製造が可能
OEMメーカーは、特定の製品や技術に特化した専門知識と設備を持っています。そうした企業の技術力やノウハウを活用することで、自社だけでは実現が難しい高品質な製品を作り出せます。素材の選定や縫製技術など、細部にまでこだわった製品作りが可能になるでしょう。メーカーの持つ最新設備を利用できるのも大きなメリットです。
- 製造ノウハウの蓄積が難しい
- 競合との差別化が難しい
【デメリット】 製造ノウハウの蓄積が難しい
OEMに頼りすぎると、自社の製造ノウハウが蓄積されにくいというデメリットがあります。製造工程のすべてを外注に任せてしまうと、技術やノウハウが自社に蓄積されません。将来的に自社工場の設立や製造の内製化を検討する際に、その蓄積の欠如が足かせになるおそれがあります。アパレルブランドの競争力の源泉となりえるのは企画力と製造技術の両方。OEMを活用しつつも、自社の製造ノウハウを蓄積していく工夫も必要でしょう。
【デメリット】競合との差別化が難しい
OEMでは、同じメーカーが複数のブランドの製品を手掛けることも少なくありません。そのため、他社との差別化が難しくなるケースもあります。素材や縫製、シルエットなどの面で、競合他社と似通った製品になってしまう可能性が出てきます。
このリスクを回避するには、製品企画の段階から徹底的にこだわり、自社ブランドの独自性を追求することが大切です。
自社ブランドの強化にOEMを活用する方法
OEMを効果的に活用することで、自社ブランドを強化し、市場での競争力を高めることができます。
- 自社の強みと弱みの分析
- ターゲット顧客のニーズ把握
- OEMメーカーとの連携による製品企画
- マーケティング戦略とOEMの位置づけ
自社の強みと弱みの分析
OEMを活用して自社ブランドを強化するには、まず自社の強みと弱みを分析することが重要。どのような製品分野に強みがあるのか、逆に弱点はどこかを洗い出しましょう。自社の得意分野に特化し、その領域でオリジナリティを発揮することがブランド強化の第一歩です。
一方、OEMメーカーの専門性で補完することで、全体的なブランド力を向上させることが可能です。自社の強みを活かしつつ、弱みを補うためにOEMを戦略的に活用していくことが求められます。
ターゲット顧客のニーズ把握
自社ブランドを強化するためにはターゲット顧客のニーズの的確な把握が欠かせません。顧客の好みやライフスタイル、購買行動などを理解し、それを製品企画に反映させることが重要。そのためには市場調査やアンケート、SNS分析などがおすすめ。OEMメーカーとも、顧客ニーズを共有して顧客満足度の高い製品を作りましょう。
OEMメーカーとの連携による製品企画
ブランド強化のためには、OEMメーカーとの連携が欠かせません。製品の企画段階から、メーカーの知見やアイデアを積極的に取り入れることが大切です。メーカーの持つ最新の素材や技術を活用することで、革新的な製品を生み出せる可能性が高まります。サンプル品の制作や試着テストなども、メーカーと協力して進めましょう。
マーケティング戦略とOEMの位置づけ
自社ブランドの強化には、製品企画だけでなく、マーケティング戦略も欠かせません。OEMで生産した製品をどのように訴求し、販売していくのか。ターゲット顧客に響くプロモーションを展開することが重要です。その際、OEMメーカーの存在を前面に出すのか、あえて隠すのかも戦略的に判断しましょう。メーカーの知名度を活用することで、製品の信頼性を高められる場合もあります。一方、あくまで自社ブランドの魅力を全面に打ち出したいケースもあるでしょう。製品の特性や市場環境を見極め、最適なマーケティング戦略を練っていくことが求められます。
アパレルOEMの成功事例
アパレルOEMを活用した成功事例を学ぶことは、自社ブランドの成長において大切です。ここでは、いくつかの成功事例を紹介し、そのポイントを探ります。
有名ブランドのOEM活用例
OEMは、多くの有名アパレルブランドが活用している製造手法です。例えば、ユニクロはベトナムや中国の工場に製造を委託することで、高品質な製品を低価格で提供しています。ZARAも、世界各地のOEMメーカーと連携し、トレンドを素早く製品化することで成功を収めています。海外の有名ブランドでは、H&MやGAPなども積極的にOEMを活用しているといいます。OEMを戦略的に活用することで、ブランドの強みを最大限に発揮できる事例が数多く見られます。
差別化に成功したOEM商品の特徴
OEMで差別化に成功しているブランドの製品には、いくつかの共通点が見られます。まず、デザインやシルエットに独自性があること。つまり、他社にはないオリジナリティを打ち出せていることです。
また、素材選びのこだわりも重要です。最新の機能性素材や、独自開発した素材を使用することで、差別化を図っているケースが目立ちます。縫製や仕上げの品質の高さも、成功事例に共通する特徴と言えるでしょう。細部にまでこだわることで、単なる価格競争に陥ることなく、ブランドの価値を高めることが可能となります。
成功するためのポイントとリスク回避策
OEMで成功するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。まず、自社ブランドのコンセプトを明確にし、それを製品に反映させること。次に、信頼できるOEMメーカーを選ぶこと。品質管理や納期管理に優れ、コミュニケーションが円滑なメーカーを見つけましょう。また、製品の企画段階から、メーカーの知見を活かすことも大切です。
リスク回避策としては、契約内容を詳細に確認し、品質や納期に関する保証を確保することも必要です。さらに、OEM先を複数に分散しておくなど市場の変化に柔軟に対応できる体制を整えることで、リスクを最小限に抑えることができます。
アパレルOEMの実践のポイント
アパレルOEMを実践する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。これにより、効率的かつ効果的に自社ブランドを展開することが可能となります。
- OEMメーカー選定のプロセスと基準
- 製品企画と仕様書の作成方法
- 生産管理と品質管理の重要性
- OEMメーカーとの円滑なコミュニケーション
- アパレルOEMを活用する際の注意点
OEMメーカー選定のプロセスと基準
OEMメーカーの選定は、アパレルOEMの実践において最も重要なプロセスのひとつ。まずは、自社の求める品質や価格帯、納期などの条件を明確にしておきましょう。その上で、条件に合うメーカーをリストアップし、実際にコンタクトを取ります。サンプル品の確認や、工場の視察なども積極的に行いましょう。メーカーの技術力や品質管理体制、コミュニケーション能力などを総合的に判断することが求められます。価格だけでなく、長期的な信頼関係を築けるかどうかも重要な基準になるはずです。
製品企画と仕様書の作成方法
製品企画と仕様書の作成は、OEMプロセスにおいて欠かせません。製品企画では、ターゲット市場のニーズを分析し、それに基づいたコンセプトを策定します。次に、具体的なデザインや素材、サイズ展開を決定し、詳細な仕様書を作成します。この仕様書は、OEMメーカーに対して製品の品質やデザインを伝えるため非常に重要となります。仕様書が明確であるほど、メーカーとのコミュニケーションが円滑になり、製品の完成度が高まります。
生産管理と品質管理の重要性
アパレルOEMにおいて、生産管理と品質管理はブランドの成功を左右する重要なポイントとなります。生産管理では、製造プロセス全体を監督し、スケジュール通りに製品が完成するよう調整を行います。これには、原材料の調達、製造ラインの効率化、納期の管理が含まれます。一方、品質管理は、製品がブランドの品質基準を満たしていることを確認するプロセスです。これには、製造工程の各段階での検査や、完成品の品質テストが含まれます。
これらの管理を徹底することで、製品の品質を維持し、消費者の信頼を得ることができます。また、品質問題を未然に防ぐことで、コストの削減やブランドイメージの向上にもつながります。
OEMメーカーとの円滑なコミュニケーション
OEMメーカーとの円滑なコミュニケーションは、成功するOEMプロジェクトの基盤となるでしょう。定期的なミーティングや進捗報告を通じて、双方の期待や目標を確認し合うことが重要です。また、問題が発生した際には迅速に対応し、解決策を協議することで、プロジェクトの遅延や品質低下を防ぐことができます。さらに、文化や言語の違いを理解し、コミュニケーションスタイルを調整することも、良好な関係を築くために役立ちます。このようなコミュニケーションの工夫により、OEMメーカーとの信頼関係を強化し、プロジェクトの成功率を高めることが可能となります。
アパレルOEMを活用する際の注意点
アパレルOEMを活用する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。まず、契約書の内容を詳細に確認し、品質や納期に関する保証を明確にすることが必要です。また、知的財産権の保護にも注意を払い、自社のデザインやブランドが不正に使用されないよう対策を講じることが求められます。さらに、市場の変化に対応するための柔軟な体制を整え、リスク管理を徹底することも重要です。これらの注意点を踏まえることで、OEMの活用によるリスクを最小限に抑え、ブランドの成長を促進することができます。
アパレルOEM商品のECサイト構築・運用・物流はオーダー!にまるっとおまかせ
オーダー!は、クライアント企業を総合的に支援するビジネスコンシェルジュサービスです。サプリメント(健康食品)のECサイト構築から運用、物流代行に至るまで、ワンストップで対応。お客様はマーケティングや販売活動といったコア業務に専念することが可能です。
EC関連サービスの具体的な内容をご紹介します。
EC関連サービスの具体的な内容をご紹介します。
(個別相談メニュー) ・ECサイト構築、運用:構築、運用、物流をトータル支援 ・ECサイトからの問い合わせ対応代行:返信テンプレートの作成と返信対応 ・SNS運用代行:投稿や画像作成、写真撮影の代行 ・CMS導入:他社制作のサイトも対応可 ・CMSセキュリティ対策:バージョンアップやセキュリティ対策を実施 ・レスポンシブ化 ・SSL化 ・バナー制作:アイキャッチ画像やバナー、SNS投稿用の画像など。1点から作成可 |
(定額運用メニュー) 必要な業務を契約期間や時間に合わせて選択し、ご利用いただけます。 ※対象業務は契約時に決定 <対象業務例> ・商品管理(マスター管理、在庫管理、仕入管理) ・サイト管理(在庫登録、在数更新、商品登録、更新) ・特集ページやランディングページ作成 ・ニュースリリースなどの追加・修正・変更 ・レポート作成 ・その他、運用・保守業務 など <スタンダードプラン> ・12万円/月(税抜) ・契約期間:3ヵ月毎 ・実働時間:30時間/月 ※依頼内容や条件により、金額が変わる場合があります。 |
オーダー!では物流代行や事務作業のサービスも提供しており、お客様のご要望に細やかに対応いたします。
【物流サービス内容】 ・入荷、入庫: 目視やハンディチェッカーで商品の数量を確認。仕分けを行い、必要なときにすぐ取り出せるように配置 ・検品: 汚れや傷、機能不良、異物混入、サイズ不備などをチェック。全数検査やサンプル検査、機器類の動作確認・通電確認にも対応 ・在庫管理: 専用システムでお客様も在庫数を確認可能。返品処理や棚卸しなども実施 ・帳票発行:注文書や納品書など ・ピッキング、流通加工: 商品の種類や個数を確認し、破損がないかチェック。流通加工では、検針やタグ付け、値札付け、プレゼント包装、箱詰めなどを実施 ・梱包: 商品や伝票のミスがないかの最終チェックを行い、丁寧に梱包 ・出荷: 出荷登録や送り状・明細の発行を実施。運送会社と有利な料金契約を結び、価格メリットを提供するとともに、個人事業主向けの匿名発送や、国際郵便(EMS)を利用した海外発送代行も対応 |
【事務業務のサービス内容】 (個別相談メニュー) ・定期レポート作成:ECサイトや売上データを基に希望に合わせて作成 ・外部からの問い合わせ対応代行: サイトからのお問い合わせへの返信代行、担当者への引継ぎなど (定額運用メニュー) <対応業務例> ・レポート作成 ・各種問い合わせ対応の1次窓口 など <スタンダードプラン> ・12万円/月(税抜) ・ 契約期間:3ヵ月毎 ・ 実働時間:30時間/月 ※依頼内容や条件により、金額が変わる場合があります。 |
サービス内容が気になる方は、お気軽にお問い合わせ下さい。
まとめ
本記事では、アパレルOEMの基礎知識から実践的なテクニックまでを幅広く解説してきました。OEMは、自社ブランドのアパレル商品を製造する際に、コスト削減と生産効率化を実現する有効な手段です。専門性の高いメーカーの技術力を活用することで、高品質な製品を安定的に供給できるでしょう。
ただし、OEMを成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。自社ブランドのコンセプトを明確にし、製品企画に反映させること。信頼できるパートナーを選び、緊密なコミュニケーションを取ること。生産管理と品質管理に細心の注意を払うこと。これらは、OEMを活用する上での重要な要素です。
また、OEMを自社ブランドの強化に活かすには、戦略的な視点が欠かせません。単なるコスト削減の手段としてではなく、差別化のための武器としてOEMを位置づけましょう。自社の強みを活かしつつ、OEMメーカーの知見を積極的に取り入れることで、他社にはない独自性を打ち出すことが可能になるはずです。
なお、出来上がった製品をECサイトで販売する場合、ECサイトの構築で迷った際はぜひオーダー!にご相談ください。