物流拠点(物流センター)は商品の保管や仕分け、配送を行う重要な場所です。適切に配置することでEC事業の効率を向上できます。

しかし、物流拠点の配置に関しては、次のような疑問を持つ方も多いでしょう。

「物流拠点はどのようにして選べばよいのか」
「物流拠点は集約すべきか、それとも分散すべきか」

これらの疑問を解消するために、本記事ではEC事業者に最適な物流拠点の選び方や拠点を集約・分散するメリット・デメリットを物流のプロが詳しく解説します。コスト削減、配送効率の向上、リスク分散の方法が明確になり、競争力を一段と高めるための知識が得られます。ぜひ参考にしてください。

物流拠点の重要性

物流拠点の重要性

物流拠点の選択は、配送速度や在庫管理など事業の主要な要素に直結しており、EC運営に大きな影響を与えます。

特に物流コストの悩みを抱えている場合、拠点を選定する際にまず坪単価が安い場所を検討することが多いのではないでしょうか。しかし、コスト削減を重視しすぎると、配送速度の低下や在庫管理の非効率化を招き、業務に支障をきたすリスクがあります。

アランくん

ゆえに、物流拠点の配置はコストと業務効率のバランスを取ることが大切です。

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物流拠点の選び方

物流拠点の選び方

この章では、物流拠点の4つの選び方・立地のポイントをご紹介します。

顧客に近い場所

一つ目の選び方は、顧客に近い場所です。主要な顧客層が集中している地域に拠点を設置すると、配送のリードタイムを短縮でき、顧客にとっての利便性が高まります。

利便性の向上はリピーターの増加や新規顧客の獲得を促し、売上の増加が期待できるでしょう。

また、顧客に近い位置に物流拠点(物流センター)を置くと配送距離が短くなるため、輸送コストも削減可能です。特に、頻繁な配送が必要な場合に削減の効果が大きくなります。

交通インフラが整っている場所

次に、交通インフラが整っている場所も物流拠点におすすめです。高速道路、鉄道、空港、港湾などの交通インフラが発達している地域では、商品を迅速に配送できます。

鉄道が近い場合は貨物列車からの荷物をスムーズに入荷でき、空港が近い場合は厳格なスケジュールで運行される航空貨物を時間通りに出荷できる可能性が高まります。

コスト効率がよい場所

三つ目はコスト効率がよい場所です。土地の価格や賃貸費用、労働力のコストを調整することで、経営の安定化が図れます。

コスト効率を割り出すために、次のようなリサーチを行うとよいでしょう。

・土地の価格と賃料の比較:同じ地域でも場所によって価格が異なるため、複数の候補地を比較する

・労働市場の調査:人件費が比較的低い地域、労働力が豊富な地域を選ぶ

災害リスクが低い場所

四つ目のポイントは、自然災害のリスクが低い場所を選定することです。物流拠点を地震が多発する地域に設置すると、災害発生時に業務が停止し、顧客への配送が遅れる可能性があります。これは、顧客満足度の低下やビジネスの損失にもつながるでしょう。

一方で、災害リスクが低い地域を選ぶと安定した運営が可能になり、顧客に対して信頼性の高いサービスを提供できます。具体的には、地質が安定している地域や過去の自然災害の発生頻度が低い地域を選ぶとよいでしょう。

物流拠点の集約・分散とは

物流拠点の集約・分散とは

物流拠点を配置する際には、「集約」と「分散」の二つの選択肢があります。各方針の特徴は次のとおりです。

集約:複数の物流拠点を一つの場所にまとめる方法。在庫管理がシンプルになり、コスト削減が期待できる。

分散:複数の場所に物流拠点を配置し、荷物を発送する方法。配送時間の短縮やリスク分散のメリットがある。

どちらも物流の効率化のために活用されており、それぞれのメリットとデメリットを考慮して判断することが重要です。

アランくん

以下より、集約型・分散型のメリットデメリットを説明していきます。

集約型・物流拠点のメリット

集約型・物流拠点のメリット

集約型・物流拠点のメリットは、「管理コストの削減」「配送の効率アップ」「在庫管理のしやすさ」です。それぞれを詳しく見ていきましょう。

集約型・物流拠点のメリット
  1. 管理コストの削減
  2. 配送の効率アップ
  3. 在庫管理がしやすい

管理コストの削減

物流拠点を一ヵ所に集約することで運営コストの削減が可能です。複数の拠点を持つ場合、それぞれに保管費や管理費、人件費が必要ですが、集約するとこれらの重複したコストを削減できます。

また、在庫数も抑えられるため、キャッシュフローの改善にも役立つでしょう。

配送の効率アップ

物流拠点を一つに集約すると、配送効率がアップします。

複数の拠点を運営していると在庫の移動が頻繁に発生し、そのたびに時間とコストがかかります。反対に、集約型では在庫が一ヵ所に集まるため、在庫移動の必要がなくなり、これらの手間を削減できるのです。出荷準備から配送までの時間が短縮され、素早い対応が可能になります。

これは、倉庫運営の効率化と配送の正確性を重視するEC事業者にとって大きなメリットです。

在庫管理がしやすい

物流拠点を集約することで、在庫管理がしやすくなります。全体の在庫状況を一目で把握できるため、過剰在庫によるコストや欠品による販売機会の損失を抑えることが可能です。利益率アップが期待できるでしょう。

集約型・物流拠点のデメリット

集約型・物流拠点のデメリット

一方、集約型・物流拠点のデメリットはリスクを分散しづらい点、リードタイムが長くなる可能性がある点です。

集約型・物流拠点のデメリット
  1. リスクを分散しづらい
  2. リードタイムが延びる可能性も

リスクを分散しづらい

物流拠点を集約すると、その拠点が被害を受けた際にバックアップがなく、物流業務が停止す可能性があります。これは企業にとって深刻な問題です。

そこで集約型・物流拠点では、次のようなBCP(事業継続計画)対策を講じることが重要です。

・被害に遭いにくい場所に拠点を設置する
・複数の通信手段を確保する
・データをクラウド化する など

リードタイムが延びる可能性も

物流拠点を集約すると配送先との距離が長くなり、リードタイムが延びる可能性もあります。特に食品など速い配送が求められる商品は、消費期限の問題や品質の劣化につながりかねません。

また、競合他社が迅速な配送を提供している場合、自社の配送速度が遅れることで、競争力が低下するリスクも考えられます。したがって、物流拠点を集約する際には配送ルートの最適化や高速配送オプションの導入など、適切な対策が必要です。

分散型・物流拠点のメリット

分散型・物流拠点のメリット

次に分散型・物流拠点のメリットを解説します。

分散型・物流拠点のメリット
  1. 配送コストの削減
  2. 迅速な配送
  3. BCP対策になる

配送コストの削減

分散型・物流拠点のメリットは、配送コストを削減できることです。

配送先に最も近い拠点から出荷できるため、長距離輸送によるコストを抑えられます。特に都市部や主要な配送エリアに複数の拠点を設けると、配送ルートを最適化し、効率的な配送が可能です。車両の走行距離が減り、燃料費や人件費を節約できます。

迅速な配送

分散型・物流拠点では、顧客への迅速な配送も実現できます。

配送先に近い拠点から発送することで、リードタイムが短縮され、顧客の注文から受け取りまでの時間が減少します。同じ商品を競合企業よりも早く届けられれば、顧客からの評価が上がり、信頼性も高まるでしょう。

アランくん

物流拠点の分散はスピーディな配送を実現し、競争力を強化する有効な手段です。

BCP対策になる

物流拠点の分散は、BCPの観点からも有益です。

集約型の物流拠点では、自然災害やシステム障害が発生した際に業務が完全に停止してしまいます。しかし、複数の拠点に分散していれば、被害を受けた拠点以外で業務を継続できるのです。

速やかな復旧と安定したサービス提供が叶い、顧客満足度も向上する可能性が高まります。物流拠点の分散は、リスク管理の一環として非常に役立ちます。

分散型・物流拠点のデメリット

分散型・物流拠点のデメリット

分散型・物流拠点のデメリットも確認しておきましょう。

物流代行のデメリット
  1. 在庫管理の負担増
  2. 設備や人件コストがかかる

在庫管理の負担増

物流拠点を分散するデメリットの一つは、在庫管理の負担が大きくなる点です。

複数の拠点に在庫を分散すると、各拠点ごとの在庫状況を正確に把握することが難しくなります。その結果、在庫ミスが発生しやすくなり、全体の管理コストが増加してしまうことも。

在庫ミスや頻繁な在庫確認の手間を省くためには、在庫管理システムの導入などが必要です。

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設備や人件コストがかかる

分散型の物流拠点を設置する際は、設備や人件コストがかかる点もデメリットです。新たな施設や設備の導入費用にくわえ、各拠点を運営するために最低限の人員を配置する必要があります。

分散型の物流拠点を選択する場合はこれらのコストを考慮し、慎重な計画と予算管理が求められます。

物流拠点の分散と集約の選択ポイント

物流拠点を集約すべきか分散すべきかは、企業の物流戦略や業務の特性に応じた判断が必要です。以下のポイントを参考に選択してください。

配送リードタイム:迅速な配送を求める場合は分散型のほうが適している。顧客に近い場所から配送できるため、リードタイムが短縮される。

コスト:分散型は施設や設備の導入費用、人件費、在庫管理コストが増加する。かたや、集約型は管理コストを抑えられるが、配送コストが高くなる可能性もある。

リスク管理:自然災害やシステム障害に対するリスク分散が重要であれば、分散型が適している。一つの拠点に依存するリスクを減らすことが可能。

在庫管理:一つの拠点で在庫を管理する集約型は、全体の在庫状況を把握しやすく管理がシンプル。分散型は各拠点での在庫管理が必要となり管理が難しい。

事業規模:大規模な事業や成長が見込まれる事業の場合は分散型が適している。リスクを分散でき、拡張性も高い。

顧客ニーズ:顧客の期待する配送速度やサービスレベルに応じて、どちらが適しているかを判断する。

関東の物流拠点はオーダー!がおすすめ

オーダー!は、クライアントの日々の業務やビジネスをサポートするビジネスコンシェルジュです。横浜市金沢区のシーサイドエリアに約4,000坪の倉庫を運営しており、多様なクライアントに物流サービスを提供しています。

【オーダー!の倉庫・特徴】

・交通インフラが整っている:羽田空港から自動車で約25分、横浜港からは約15分。高速道路の幸浦インターにも近く、アクセスが良好であるため、当日出荷の締め時間にもゆとりが生まれる。

・コスト効率がよい:都内に比べて坪単価や作業単価が抑えられるため、コスト削減と業務効率化を両立できる。トラブルが発生したときや棚卸の際にもお客様が立ち寄りやすい点が大きな魅力。

大型の重機から小さな商品まで幅広く対応可能です。ぜひお気軽にご相談下さい。

オーダー!の物流サービス

オーダー!では、様々な物流メニューも展開しています。

(物流メニュー例)
・ECサイトの在庫管理・発送…商品の入庫管理、出庫管理、在庫管理など全ての業務をサポート。月1件から対応可。
・カスタマイズサービス…化粧箱の組立や複数パターンのアイテムを組み合わせての詰め込み、梱包、機械組立などの高度な流通加工
・海外向け発送…越境EC企業向け、国際郵便(EMS)で商品発送
・検品代行…全数検査やサンプル検査などクライアントの要望に応じて対応
・物流業務プロセス見直しコンサルティング…物流倉庫を現地調査し、現状の問題や課題をチェックする
・物流システム導入…独自開発システムを導入サポート
・内職代行…封入、ラベル貼り、検品検針作業など細かい作業に対応
・匿名配送サービス…個人情報を公開せずに配送できるサービスの代行

オーダー!の物流サービスの強みは、請け負える業務範囲が広いことです。検品や電気製品の初期設定なども可能であるため、お客様の物流倉庫や物流加工場などの横持ちコストを削減できます。

在庫管理から検品、流通加工、発送までの一連の業務をトータルサポートできる、コストメリットが高いサービスです。

物流拠点のまとめ

物流拠点のまとめ

本記事では、物流拠点の選定について解説しました。物流拠点を配置する際には、次の立地条件をチェックしましょう。

・顧客に近いか
・交通インフラが整っているか
・コスト効率がよいか
・災害リスクが低いか

また、物流拠点の配置方法には集約と分散の二つがあります。それぞれのメリットとデメリットを考慮し、自社の物流戦略や業務の特性に応じた選択が求められます。

関東圏で物流拠点を検討している場合は、オーダー!の利用がおすすめです。交通の利便性が高いにもかかわらず、東京の拠点に比べコストが抑えられ、物流業務のトータルサポートも可能です。これまで培ってきたノウハウを活かし、お客様のビジネスを細やかに支援いたします。

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