近年アパレル業界でもECサイトを活用した販路が拡がってきています。しかし、アパレル特有の検品や保管方法などに、適切に対応してくれる物流会社を探すのは難しいと考えている人も多いのではないでしょうか?

実際にアパレル物流を成功させるには以下の三つの特徴を抑える必要があります。

アパレル物流の特徴
  1. アパレルに特化した配送設備
    • 服の型が崩れないようにしたり、生地にダメージが生じないよう配慮する必要があります
  2. 季節に合わせた流通
    • アパレル業界では夏と冬で服のかさが異なり、バーゲンの時期には出荷量が増加するなど季節によって流通量が大幅に変化します
  3. アパレルに適した保管方法
    • アパレル商材は製品によって素材が異なるため、製品の品質を保つために倉庫での保管方法も重要となります

アパレル物流の特徴に対応できる物流会社を見つけることは、業務効率化とサービスの品質を上げることができます。

この記事では、物流会社を選ぶ際の比較ポイントとおすすめの物流会社を紹介します。ぜひ、自社に合った物流会社を見つける参考にしてください!

なお、その他のアパレル物流の課題に関しては、以下の記事を参考にしてください。

アパレル物流の課題に対して解決策を示せるか?

アパレル物流の課題

アパレルでは一つの商品でも「S・M・Lのサイズ違い」や「白・ベージュ・青などの色違い」など、SKU数(在庫管理上の最小の品目数を数える単位)が非常に多い特徴があります。

このため、慣れたスタッフでないと発送指示書をもとにピッキングする際にミスが生じやすくなります。

ミスが発生することで顧客とのやり取りが増え、返品などの物流コストも増加し、顧客満足度が低下してしまいます

物流会社を見極める上で、アパレル物流が抱える課題に対して解決策を示せるどうかは大切なポイントです。この章では「コスト・在庫管理・出荷・返品業務」にアパレル物流の課題を分け、見極めポイントを解説します。

コストがかかる

コストがかかる

物流業界の中でもアパレル物流は、保管・配送・梱包用の資材など、とりわけコストがかさみやすいです

物流会社の中には「コスト削減」を謳っている会社がありますが、そのコストを抑える方法は、各社で異なります。最新機器を導入している、作業の簡易化・マニュアル化を進めているなど、どんな削減法を行なっているか比較してみるのも一つの手です。

また、候補の物流会社がある程度しぼれたら、各社の見積もりを取ってみましょう。その際は以下のステップを踏むとコストの比較がしやすくなります。

1.現在の1出荷あたりの物流費を算出しておく
※物流費はシーズンや年末年始などの繁忙期によって変動するので、それぞれの平均を出しておくと正確な見積もりを出してもらいやすいでしょう。
2.見積もり時に各社へ自社の情報を提示する
例:
・取り扱っている商品と商品数
・保管坪/保管在庫数
・月間入荷/出荷数
・1出荷当たりの物流費
・物流会社変更理由
・必要なサービス(ギフト対応など)
※ここまで提示できれば、より的確な提案を出してもらえる確率が上がります。
3.金額を比較する
現在の1出荷あたりのコストと、各社の見積もり金額を比較しましょう。

このステップを踏めば、コスト面の課題を解決してくれる物流会社を見つけやすくなるはずです。

在庫管理がむずかしい

在庫管理がむずかしい

アパレル業界はトレンドのサイクルが早く、サイズやカラーなどの分類も多いため在庫管理が困難です。また、需要予測がむずかしい分、通常のEC物流よりも返品や在庫処分のリスクも高くなるのです。

よって、在庫管理がどれくらい優れているかも物流会社を比較する際の重要なポイントです。

例えば、

・実店舗とECの在庫管理が一括でできる
・各EC事業者のニーズに合わせた柔軟な条件設定ができる

これらを満たしている物流会社は在庫管理が優れている可能性が高いでしょう。確認してみてください。

出荷の手間がかかる

出荷の手間がかかる

アパレルは他の業界よりも出荷の手間がかかります

生地に汚れやほつれ・破損がないか、同じ商品でもサイズやカラーが合っているかなど、誤配を防ぐための検品作業が多くなるからです。

さらに昨今では翌日配送や最短での出荷依頼も多くなり、この検品から出荷までの作業が効率よく行われているかが以前よりも重要になっています。

スムーズな出荷を実現できる物流会社を見極めるには、以下の項目をチェックしてください。

・サイズやカラー違いはバーコードなどの最新設備にて管理ができているか
・生地のほつれや破損は人の目でしっかり確認されているか
・検品方法の柔軟な切り替えが可能か

この三つを行なっている会社は効率が良く、かつ正確な出荷ができるはずです。

返品業務が煩雑

ECサイトを含むアパレル業界では「着てみたらサイズが違った」、「画像と実際の商品のイメージが違った」など、返品業務の発生率が高くなっています

株式会社ノーマリズムが行った「アパレル通販での返品交換に関するアンケート調査」の結果を見てみましょう。

アパレルのインターネット通販で返品交換したことはありますか?

 ある:58%

 ない:42%

返品交換の頻度を教えて下さい。

  5%以下 :50%

 10%程度:34.5%

 20%程度:13.8%

 30%程度:1.7%

返品交換についてどう思いますか?

 なるべく返品交換をしたくない:84%

 積極的に返品交換を活用したい:12%  どちらとも言えない:4%

出典:株式会社ノーマリズム「アパレル通販での返品交換に関するアンケート調査」

返品交換をしたくないと思う人が大半ですが、50%以上の人が過去に返品交換をしたと答えており、アパレル物流における返品業務及び在庫管理の煩雑さが分かります。

物流会社を見極める際は、実際の返品業務についてサイト内に詳しく記載されている、もしくは問い合わせをしたときに詳細な説明をしてくれるか確認してください。

詳しい記載や詳細な説明をしてくれる会社は、返品業務のノウハウを蓄積している可能性が高いです。

アパレル物流会社を選ぶ際の比較ポイント

アパレル物流会社を選ぶ際の比較ポイント

アパレル物流の課題への解決策を示すことができた後は、その会社の実績やサービス内容、さらには物流倉庫のロケーションについて確認しましょう。将来的な要望も選定のタイミングで確認しておくことが大切です。

そうしたアパレル物流会社を選ぶ際の比較ポイントは主に4つあります。

アパレル商材の実績

候補の物流会社にアパレル物流の実績があるかを確認しておきましょう。

アパレル商材は保管の難しさがあり、発送前はアパレル特有の検品作業など細かい工程が多く発生しますアパレル物流の実績がある会社なら、アパレル企業側の状況も分かったうえで柔軟に対応してくれます。

アパレル物流の実績を持つ物流会社を選ぶことで、消費者へのスムーズな配送が可能となり、顧客満足度へも繋がります。

サービス提供範囲

サービス提供範囲

物流会社を選ぶ際は、自社の要望にどれだけ柔軟に対応してくれるかをチェックすることも大切です。

アパレル企業によって取り扱う洋服の素材や型、販売数はそれぞれ違います。基本的な物流作業に加えて、サービス範囲の広さも比較ポイントとなります。

・対応できる流通加工の種類(ラッピング、返品作業、商品撮影など)
・検品、検針の質
・使用しているシステム

などを確認してみましょう。

保管方法

保管方法

最後の比較ポイントは保管方法です。アパレル商材の主な保管方法には、ケース保管、ピース保管、ハンガー保管があります。

ケース保管:ケース保管は、入荷した段ボールをそのままパレットに置く保管方法です。

BtoBでは卸しの場合に利用することがあり、BtoCではベーシック商品が売れ残った際に、再販用としてケース保管にてストックされます。

ピース保管:ピース保管は、BtoCでは小口出荷が基本となるため、段ボールケースで入荷した商品はバラして、棚で保管します。

この際、強化段ボール素材の棚で保管をされることが多いのですが、パレット上で重ねて設置でき、フォークリフトやハンドリフトで移動しやすいのが特徴です。

ハンガー保管:商材にシワがつかないよう、ハンガーに吊るした状態で保管します。

スーツを始め、高価格帯のアパレル商品についてはシワがつくのを防止するためにハンガーに吊るした状態で保管するのが一般的です。

これはアパレル特有の保管方法で、潤沢なハンガーラックと保管面積が必要になります。

これらの保管方法を実施しているかチェックしてください。さらに、

・商材が痛まないよう空調設備が導入されているか
・自社商品に合った保管方法があるか

といった内容も確認することで、保管方法がしっかりしている企業かどうか見分けられます。

くわえて倉庫が近隣にある場合は、倉庫見学が可能か聞いてみるのも良い方法です。倉庫を自分の目で確認できれば、従業員の作業の様子や保管方法について、抱いていたイメージと現実のすり合わせができるでしょう。

アパレル物流倉庫のロケーション

アパレル物流倉庫のロケーション

物流に適した立地に倉庫があるかも重要。

倉庫があまりにも都市や主要高速道路から離れていると、配送遅延が起こるかもしれません。一方、高速道路の入口や港付近の倉庫はアクセスしやすく、配送時間も短縮可能。出荷の締め時間に余裕が生まれるでしょう。

物流の2024年問題などで、今後ますます拠点の移転や集約を含めた見直しが必要になってきます。特に地方から都市部に配送する場合では、遠いほどリードタイムに影響を及ぼします。

地方のアパレル通販会社は、首都圏に倉庫を持つと、そこからスムーズな配送が可能です。

倉庫は一度決定して商品を納めてしまうと、その後の変更などは大掛かりな作業になります。早めに検討を始めるべきでしょう。

倉庫の最適な立地条件について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

おすすめのアパレル物流会社8選

アパレル物流会社

この章では独自の物流サービスを提供している、おすすめのアパレル物流会社8社を紹介します!

オーダー!

オーダー!

日々の業務やビジネスをサポートするビジネスコンシェルジュ「オーダー!」では、物流に関する全ての業務に対応可能です。

現状の問題点や課題を洗い出す「物流業務プロセス見直しコンサルティング」や「独自の物流システム導入支援」など、物流業務を包括的にサポートします。なお、個人向けの月1件の出庫から数万件の出庫まで豊富なケースにも対応可能です。

オーダー!の倉庫は、羽田空港から約25分、横浜港から約15分、神奈川県横浜市金沢区のシーサイドエリアに佇む約4000坪の物流倉庫を拠点としているため国内外への輸送にも最適なロケーションです。国内外の工場で生産した商品をオーダー!の倉庫へ直送し、そこで商品管理と加工業務を一括して行うことで、国内での余分な物流コストを削減し効率的な生産工程を構築することができます。

さらに、ECサイト運営から発送代行までの包括的なサポートも可能です。

EC+物流・トータルサポートのメリット
  • 在庫管理、顧客情報を専用システムで管理できる
  • 在庫管理ミスを削減できる
  • ECサイト担当者
  • 倉庫管理者間のコミュニケーションコストを削減できる
  • 本来力をいれるべき業務や、新規の施策などに集中できる
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EC物流の課題を全力解決

オーダー!のアパレルECにおける物流倉庫・センターでの在庫管理事例

オーダー!のアパレルECにおける物流倉庫・センターでの在庫管理事例を紹介します。

【子供服のアパレル会社様】

EC事業を展開しており、商品をインターネットで販売。オーダー!導入前は在庫管理・ピッキング・検品・配送まで自社で賄っていました。

アパレル物流サービス導入前の課題
  • 自社の作業スペースが狭いため、作業しにくく、商品の置き場に困っていた
  • セール時の注文が多く、出荷が間に合わずクレームになったことも
  • 人手不足によって雇用を増やしたが、パート雇用のため稼働時間内で出荷業務にかかった正確な時間が把握できず、出荷に対しての費用が正確に出せない
  • パート雇用者の経験不足でミスも出ていた
アパレル物流サービス導入後の効果
  • ミスが発生しがちな商品ごとの細かいオペレーションも、ミスなく行われるようになった
  • 通常の梱包対応だけでなく、イレギュラーなお祝いごとやプレゼント包装も実施できるようになった
  • 商品郵送時にパンフレットやセールの案内を入れるなど、細かい対応も可能に
  • オーダー!は、1商品あたりの出荷単価が決まっているため、売上に対する原価が明確になり、さらに出荷業務にかかった費用を正確に把握できるようになった

このように、通常対応の他にクライアントの要望に合わせたカスタマイズ対応も行い、満足いただけているようです。

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EC物流の課題を全力解決

株式会社三協

株式会社三協

株式会社三協は販売に繋がる攻めのアパレル物流を目指し、CRMを重視しています。

顧客ごとにオーダーメイドで物流システムを構築しており、アパレル物流に特化したシステム開発実績は特に豊富です。

【特徴】
・CRMを重視したアパレル物流
・店舗在庫はECで売り切る
・煩雑な返品、交換があっても入出荷の制限なし

ジーエフホールディングス株式会社

ジーエフホールディングス株式会社

ジーエフホールディングス株式会社は、生産地から消費者までのサプライチェーンの中で、顧客のニーズ・課題を解決することを目指しています。

その特徴は、約150ヵ国に張り巡らされた物流ネットワークを持っていること。そのネットワークを駆使した物流ソリューションを提供しています。

【特徴】
・海外拠点を活用し、調達物流・販売物流のロスやムダをカット
・EC特化サービスにより、実店舗以外の販売チャネルを強化できる
・在庫をキャッシュに替えられる、在庫商品の買取・販売サービスあり

株式会社ゆうりん

株式会社ゆうりん

株式会社ゆうりんはアパレル専門の物流会社です。物流のアウトソーシングは単なる分業化ではなく、アパレル会社本来の目的(コア業務)を遂行するための戦略と捉えています。
アパレル本業の効率化・多様化・総合化を実現するため、さまざまな物流メニューを展開しています。

【特徴】
・正確な発送と納品で、クライアントの営業をサポート
・製品2次加工業務をアウトソーシングできる
・経理業務・納品書発送業務も代行可能

丸二倉庫株式会社

丸二倉庫株式会社

丸二倉庫株式会社は、物流診断・在庫管理・入出荷・物流加工から輸送業務まで全てを一括で提供しています。

一括でサービスを提供することで、クライアントが取引している複数の委託先への連絡を一つに集約することができます。このように効率的な工程で、クライアントのコストメリットを実現しています。

【特徴】
・ニーズに合わせた物流診断を実施
・クライアント独自の倉庫在庫管理システムを構築
・独自ネットワークを活用し、最適な配送を提案

株式会社トミーズコーポレーション

株式会社トミーズコーポレーション

株式会社トミーズコーポレーションは顧客の営業形態を問わず、包括的に支援する物流サービスです。顧客の事業拡大をサポートするため、物流コスト削減と各業務のスピーディーな遂行に重きを置いています。

【特徴】
・BtoB、BtoCの在庫一元管理
・モデルや物撮り撮影、および画像加工も対応
・Web制作や広告運用も依頼できる

佐志田倉庫株式会社

佐志田倉庫株式会社

佐志田倉庫株式会社はアパレル企業のビジネス戦略をサポートするため、物流に関するコストの削減や在庫管理のクオリティアップに取り組んでいます。

また、都心近くに倉庫を構えているため、その好立地を利用した物流改善の要望にも応えることが可能です。

【特徴】
・蓄積されたノウハウを活用した物流ソリューション
・検査・検品の品質にこだわりあり
・首都圏に物流倉庫を配置し、スピーディーな納品を行う

株式会社オーティーエス

株式会社オーティーエス

株式会社オーティーエスは、創業から30年以上ファッション業界をメインに多くの企業の物流をサポートしてきました。

季節によって変動の大きいアパレル業界を熟知しており、迅速でフレキシブルなサポートが特徴です。

【特徴】
・在庫品を代理販売してくれる
・トラブル回避策の提示や修理対応など、クライアントに合わせた品質管理を実施
・オムニチャネルのプラン提案も行なっている

株式会社アイビーカンパニー

株式会社アイビーカンパニー

株式会社 アイビーカンパニーは、アパレル(ファッション)特化のサービスで総合的にサポートしています。

配送や倉庫管理、品質管理といった業務を全て任せることで、業務効率化やコスト削減を実現することが可能です。

【特徴】
・アパレル(ファッション)業界に特化した物流業務
・配送や倉庫管理、品質管理といった業務をワンストップで任せることができる
・熟練スタッフによる加工・補修も引き受け可能

おすすめのアパレル物流会社まとめ

アパレル物流の特徴や課題、物流会社の選び方についてご紹介しました。

通常のEC物流とは異なり、特有の設備や対応が必要となるアパレル物流は柔軟な作業と対応をしてくれるサービスを選ぶのがポイントです。

物流業界の中でも難しい課題を持つアパレル物流は、良いアウトソーシングサービスを利用することでより効率的な経営・業務を行うことができます

今回紹介した比較ポイントを参考にすれば、より自社に適したアパレル物流会社をを見つけられるでしょう。

オーダー!では、顧客の細かい要望にも対応できる物流お任せサービスを提供しています。今、契約されている物流サービスで対応できないことも、オーダー!なら対応できる可能性があります。お気軽にお問い合わせ下さい。

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なお、アパレルECについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。