近年、物流業界では人件費や燃料費の上昇、ドライバー不足などを背景に、物流コストの上昇が続いています。

ふるさと納税も例外ではありません。返礼品の配送にかかる費用が増加することで、自治体や返礼品事業者の負担が大きくなっています。

物流費の増加は、返礼品の内容や寄付額にも影響を与える可能性があります。そのため、返礼品そのものだけでなく、物流の仕組みを見直すことも重要なテーマになっています。

この記事では、ふるさと納税における物流費高騰の影響と、物流効率化の考え方について解説します。

ふるさと納税で物流費が課題となっている背景

ふるさと納税では、全国の寄付者へ返礼品を発送する必要があります。

特に食品を中心とした返礼品では、冷蔵便や冷凍便を利用するケースも多く、一般的な宅配便と比較して配送コストが高くなりやすい傾向があります。

また、地方や離島の自治体では、全国への配送距離が長くなりやすく(配送先の約半数は人工分布に比例して関東近郊)、輸送コストが高額になる場合もあります。

アランくん

現在のふるさと納税では、返礼品事業者が個別に発送を行うケースが一般的です。しかし、物流費や出荷業務の負担増加を背景に、物流を効率化する取り組みにも注目が集まっています。

物流費高騰が返礼品や寄付額に与える影響

物流費が上昇すると、自治体の収支に影響が生じます。

例えば、以前は送料が1,000円だった返礼品が、物流費高騰によって2,000円になった場合、その差額は自治体の負担増加につながります。

その結果、返礼品の内容量を見直したり、高額な返礼品の取り扱いを減らしたりするケースも考えられます。

具体的には次のような影響が考えられます。

  • 内容量の減少
  • セット商品の見直し
  • 高額返礼品の取り扱い縮小
  • 返礼品事業者の撤退

返礼品の魅力が低下すると寄付者の満足度にも影響し、結果として寄付額の減少につながる可能性があります。

そのため、自治体には返礼品の内容だけでなく、配送コストを含めた運用全体を見直す視点が求められます。

物流費を抑えるためには物流の見直しも重要

物流費を抑えるためには、配送単価だけを見るのではなく、返礼品をどこで保管し、誰が出荷し、どのように配送するかという流れ全体を見直すことが重要です。

ここで選択肢となるのが、物流会社が運営する物流センターの活用です。物流センターとは、商品を保管し、注文に応じてピッキング・梱包・発送などを行う物流拠点のことです。

物流センターを中継拠点として活用する方法

ふるさと納税では、返礼品事業者がそれぞれ個別に発送するケースが一般的です。しかし、返礼品を一度物流センターに集約することで、発送業務をまとめて管理しやすくなります。

例えば、地方や離島の自治体が、関東近郊の物流センターを中継拠点として活用する方法が考えられます。

返礼品事業者があらかじめ送り状を貼った荷物をコンテナなどにまとめて積み込み、関東近郊の物流拠点まで輸送します。その後、物流センターで荷物を仕分けし、各寄付者へ個別配送する流れです。

この方法では、地方から関東までの長距離輸送をまとめて行えるため、輸送効率の向上が期待できます。

物流センターに集約しやすい返礼品

物流センターを活用する場合は、すべての返礼品が同じように向いているわけではありません。

比較的管理しやすいのは、常温で保管できる加工食品、日用品、雑貨、賞味期限に余裕のある商品などです。一定期間保管しやすく、出荷作業をまとめやすいため、物流センターとの相性が良いといえます。

一方で、冷蔵品や冷凍品も対応できないわけではありません。ただし、温度帯ごとの保管設備や賞味期限管理が必要になるため、物流会社側の対応範囲を事前に確認しておくことが重要です。

ふるさと納税は配送スケジュールを調整しやすい

ふるさと納税の返礼品は、一般的なECサイトのように翌日配送が必須ではありません。

寄付者も一定の配送期間を前提としているため、多少のリードタイムを確保しながら配送をまとめやすい特徴があります。

そのため、注文ごとに即日出荷するのではなく、一定期間分の荷物をまとめて物流センターへ送り、そこから個別配送するような運用も検討しやすいといえます。

複数事業者の荷物を同じ便で運ぶ共同配送の考え方に近い部分もありますが、ふるさと納税では配送先や出荷タイミングがばらつきやすいため、まずは物流センターを中継拠点として活用する方が現実的なケースもあります。

物流センター活用が向いている自治体とは

物流センター活用は、特に次のようなケースでは検討する価値があります。

物流センター活用が向いているケース
  • 離島や地方部にあり配送コストが高い
  • 複数の返礼品事業者が参加している
  • 年末など繁忙期の出荷負担が大きい
  • 返礼品事業者の人手不足が課題になっている

一方で、返礼品数が少ない場合や、すべての返礼品事業者が既に効率的な物流体制を構築している場合は、効果が限定的になる可能性もあります。

そのため、自治体の返礼品や物流コストの状況を把握したうえで検討することが重要です。

自治体が最初に取り組みたい3つのこと

物流体制の見直しを検討する際は、まず現状を把握することが重要です。具体的には以下のステップで進行するとスムーズです。

Step1

返礼品ごとの配送費や出荷件数を整理し、どの返礼品に物流コストがかかっているのかを確認します。

Step2

返礼品事業者へヒアリングを行い、発送作業や保管業務に関する課題を把握します。

Step3

物流会社へ相談し、物流センター活用や発送業務の集約が可能かを検討します。

物流費高騰への対応は、自治体だけで解決できる課題ではありません。

アランくん

返礼品事業者や物流会社と連携しながら、地域に合った物流体制を検討することが重要です。

まとめ

物流費高騰は、ふるさと納税に取り組む自治体や返礼品事業者にとって無視できない課題となっています。

配送コストの増加は、自治体の収支だけでなく、返礼品の内容や寄付者の満足度にも影響を与える可能性があります。

そのため、返礼品そのものを見直すだけでなく、物流体制を見直すことも重要です。

例えば、物流センターを活用して保管や出荷を集約したり、地域内の荷物をまとめて物流拠点へ輸送したりすることで、物流の効率化につながる可能性があります。

物流費高騰への対応は自治体だけで解決できるものではありません。返礼品事業者や物流会社と連携しながら、自地域に合った物流体制を検討することが重要です。

将来的な物流費の上昇も見据え、持続可能なふるさと納税運営のために、物流のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。