法人が従業員に対して、スマートフォン(以下、スマホ)を支給し、業務効率の向上をはかることは珍しくなくなりました。しかし、社員が持ち歩きできるデバイスを持つということは、情報漏えいや業務外サイトへのアクセスなどのリスクを高めます。
これらのリスクを低くするため、支給前にスマホのセキュリティ対策や必要なアプリのインストール、ディスプレイ・言語の設定などを一括で行うことをキッティングと呼びます。キッティングは従業員のスマホ利用に欠かせない業務です。とはいえ、短期間で大量のスマホをミスなく設定することは企業にとって大きな負担にもなります。
今回は、スマホのキッティングについて以下の内容を紹介します。
- 具体的にどんな作業が発生するか
- 自社で行う際の課題
- 外注する際に業者を選ぶ際のポイント
この記事を読めば、自社でキッティングを行う際にどんな課題が発生しうるのか、外注の際はどんな点に気を付ければよいのかを把握できるでしょう。
キッティング全般については以下の記事も参考にしてください。
スマホのキッティング作業とは
まず、スマートフォンのキッティング作業について、具体的な工程や作業を確認します。
キッティング作業の具体的な工程は以下の通りです。
- スマホの開梱と充電
梱包を解いてスマホを取り出し、充電を行います。
- SIMカード設定
SIMカードを挿入し、設定します。
- メールアドレス・パスワード設定
メールアドレスとパスワードの設定を行います。
- 言語の設定
スマホを使用する社員に合わせて言語を設定します。
- ディスプレイの設定
明るさなどの設定を行います。
- ネットワーク関連の設定
Wi-Fi・テザリング・VPNなどのネットワークに関する設定を行います。
- セキュリティ設定
位置情報サービス・ウィルス対策ソフト・MDMなどの設定を行います。
- プリインストールのアプリ削除
業務に不要、またはインストールされたままだと容量を圧迫すると判断したアプリを削除します。
- アプリインストール・アプリ設定
業務に必要なアプリをインストールし、使用するうえでの設定を行います。
- 各種設定の動作確認
それ以外の細かい設定を忘れずに行います。
- 管理番号ラベルの貼り付け
スマートフォンの裏側などに、管理番号を印刷したラベルを貼り付けます。
- 管理台帳への記帳
管理番号を台帳へ記載し、管理します。
スマホのキッティング作業は想像以上に細かい工程があり、大変そうですね!
さらに、最近ではMDM(モバイルデバイス管理)ツールを活用し、遠隔から一括で設定や管理を行うケースも増えています。MDMを利用することで、キッティング作業の自動化やセキュリティポリシーの適用が容易になり、大幅な工数削減が可能です。また、ゼロタッチキッティングと呼ばれる初期設定を自動化するサービスも登場しており、端末を開封して電源を入れるだけで、必要な設定が自動的に適用されます。
スマホのキッティング作業で起こりがちな問題
それでは、自社でスマホのキッティング作業を行う際、どんな問題が発生するのでしょうか。確認しましょう。
キッティング作業は一見シンプルに見えますが、実際には多くのトラブルや課題が発生しがちです。以下に主な問題点を挙げます。
セキュリティ対策の不備
近年は企業が従業員に対してセキュリティ対策の研修を行っていますが、それだけでは不十分といえます。なぜなら、企業がどんなに対策を行っても、残念ながら毎年少なくない数の情報漏えい事件が発生してしまうからです。
そこで、キッティングの工程内で社員がスマホで必要以上の操作ができないように、設定を行わなければなりません。具体的には、業務外のアプリのインストールを制限したり、データの持ち出しを防ぐために外部ストレージへの書き込みを禁止する設定が必要です。また、端末の紛失・盗難時にリモートでデータを消去できる仕組みを導入することも重要です。
とはいえ、自社で行うキッティングではセキュリティ対策が不十分になる懸念もあります。専門的な知識や最新のセキュリティ情報が不足していると、脆弱性を見落とす可能性があります。
設定に時間がかかりすぎる
キッティング作業を自社で行う場合、キッティング自体はもちろんのこと、数年に一度のリプレイス作業の負担も発生します。ということは、数年おきに数十~数百台のスマホをキッティングしなければならず、通常業務を行いながら進めることは難しいものです。
また、数百台ものスマホをキッティングするとなると、社内にある程度のスペースも確保しなければなりません。さらに、担当者のスキルや経験によって作業時間や品質がばらつく可能性があります。大量の端末を手作業で設定することで、人的ミスが増えるリスクも高まります。
コストパフォーマンスが低い
スマホのキッティングは時間以外に人件費もかかります。
また、自社でキッティングを行う場合、ノウハウ不足のまま行うと自社に適したアプリケーションがスマホに入れられていない、もしくは無駄なツールが入っているなど、時間的・人的コストと得られた結果が釣り合わない可能性もあります。
さらに、キッティング作業に従事する社員の教育コストや、最新の技術や情報をキャッチアップするための研修費用も発生します。これらを考慮すると、トータルのコストパフォーマンスが低くなる傾向があります。
これらの課題を解消するために、キッティング作業はノウハウを持つプロへの委託をおすすめします。
スマホのキッティングを自社で行う際に、このような課題が発生するんですね。課題の解消に、ぜひ外部委託を検討してみてください。
スマホのキッティング作業を委託するメリット
次にスマホのキッティングを外部委託することにより、どんなメリットを得られるのかを紹介します。
外部委託することで、専門的なサービスや最新の技術を活用でき、自社のリソースをコア業務に集中させることができます。また、トラブル時のサポート体制が整っているため、安心して業務を任せられます。
負担が減る
スマホのキッティングを外部に委託することで、負担がかかる実作業や、スマホが意図した通りに作動するかの検証をせずに済みます。また、キッティングのスケジュール設定や初期の不具合対策などもしなくてよいので、その面での負担も軽減できます。
さらに、キッティングに必要な専門知識や技術習得のための時間やコストも削減できます。これにより、社内のIT担当者は戦略的な業務や他の重要なプロジェクトにリソースを集中させることができます。
作業品質が安定する
キッティングを専門業者に依頼すると、作業漏れやミスが発生する可能性を大幅に減らせます。自社でキッティングを行うよりも、正確かつ短期間でセットアップができます。
業者は豊富な経験と専門知識を持っており、最新の技術やセキュリティ情報にも精通しています。また、品質管理のプロセスが確立されているため、一定の品質を維持したキッティングが可能です。
専門知識が得られる
専門業者は最新のセキュリティを基にキッティングを行うため、自社で使用するスマホに対して適切な提案をしてもらえます。
例えば、新しいOSの機能やセキュリティアップデートに対応した設定、業界標準のセキュリティポリシーの適用など、自社だけでは得られない専門的なアドバイスを受けることができます。また、業者によっては業界特有の規制や要件に詳しい場合もあり、コンプライアンス対応も安心です。
スマホのキッティング作業・代行サポート範囲
ここでは、スマホのキッティング作業を代行する業者のサポート範囲を見ていきましょう。業者によって提供されるサービスは多岐にわたり、自社のニーズに合わせて選択することが可能です。以下に主なサポート範囲を紹介します。
1.端末のキッティング
すでに「スマホのキッティング作業とは」の章で述べた通り、法人で利用するスマホに対してアプリや端末の設定などを行います。
業者によっては、企業独自のカスタム設定や、特定の業務アプリのインストールにも対応しています。また、OSのバージョン統一やセキュリティパッチの適用など、細かな要望にも応じてくれます。
2.導入のサポート
代行業者の中にはキッティングだけでなく、導入までサポートしてくれる業者も。具体的には端末の選定や調達、環境に合わせた設定や動作の確認、端末の回収や廃棄、手順書作成などを代行してくれます。詳細は各業者に問い合わせましょう。
さらに、MDMやEMM(エンタープライズモビリティ管理)ツールの導入支援や、従業員へのトレーニング、問い合わせ対応など、運用開始後のサポートも提供している業者もあります。
3.端末の管理
スマホの修理対応や機種変更対応、システムの保守などを代行する業者もあります。どれも手間のかかる業務であり、外部委託することで社内の負担を減らせます。
た、定期的なセキュリティアップデートの適用や、紛失・盗難時のリモートロック・ワイプ対応、資産管理台帳の更新など、日常的な運用業務もサポートしてくれる業者も存在します。これにより、端末のライフサイクル全体を一貫して管理できます。
スマホのキッティング業者の見極め方
ここでは、数あるキッティング業者の中から自社にとって最適な業者を見極めるためのポイントをご紹介します。業者選びは、サービスの品質やコストだけでなく、長期的なパートナーシップを築けるかどうかも重要です。以下のポイントを参考に、自社に最適な業者を選定しましょう。
料金体系
業者によっては、依頼するスマホの台数が多いほうが1台あたりの料金が安くなる、という料金体系を採用している業者もあります。そのため、依頼するスマホの台数を踏まえたうえで料金をチェックしましょう。
そして、数社の料金を比較し、安価で済むものを選んでください。ただし、価格だけでなく、提供されるサービス内容や品質も考慮することが重要です。安価な業者でも、必要なサポートが含まれていなかったり、品質が低かったりする場合があります。
また、一般的にスマホは代理店もしくはキャリアから購入しますが、キッティングサービスを展開しているところはあまり多くありません。代理店・キャリアにキッティングを依頼するより、キッティング業者に依頼したほうが比較的安価で済みます。
一部の業者では、端末の調達からキッティング、納品まで一貫して行うパッケージサービスを提供しており、トータルコストでメリットが出る場合もあります。
対応可能台数と納品までの期間
依頼するサービスによって、対応可能な台数や納品までの期間が異なります。その意味でも、依頼するスマホの台数をあらかじめ踏まえておくことは重要です。
また、対応できる業務の範囲も代行業者によって違うため、自社で依頼したい範囲を明確にしたうえで、業者を選びましょう。
急ぎのプロジェクトや大量の端末を扱う場合、業者のリソースやスケジュール調整が可能かどうかも確認が必要です。過去の実績や納品までの平均期間なども参考にすると良いでしょう。
作業拠点
業者の中には全国各地ではなく、エリアを限定して対応している業者もあるので、依頼するまえに確認しましょう。
中にはリモート対応で行っている業者もあります。しかし、一般的には自社とキッティングを行う場所は近いほうが、実際の作業現場を見学できるため安心感を得られます。
また、納品時の輸送コストや時間も考慮する必要があります。近隣の業者であれば、緊急時の対応や追加の要望にも柔軟に対応してもらえる可能性が高まります。
スタッフの知識
業者との打ち合わせの際に、スタッフのキッティングに対する知識を確認してください。その理由は、知識のないスタッフは追加要望やイレギュラーな要望に対応できない可能性があるからです。
また、自社の依頼内容と似たケースを取り扱ったことがあるかも確認できるとより安心して依頼できるでしょう。
さらに、業者の技術者が保有する資格や、セキュリティに関する認証(例えば、情報セキュリティマネジメントシステムのISO27001など)を取得しているかも重要なチェックポイントです。これにより、信頼性と技術力を客観的に判断できます。
料金以外にも、さまざまな点から業者をチェックしてください!
スマホのキッティング作業ならオーダー!がおすすめ
オーダー!はお客様の事業や組織の成功を実現させるためのビジネスコンシェルジュとして、さまざまな業務を代行します。その中の一つであるIT業務代行サービスにて、スマホのキッティング作業を代行可能です。
キッティングの工程で、動作確認や不良品・同梱品チェックからソフトインストール・初期設定といったセットアップも代行できます。
オーダー!ではいくつかメニューを用意していますが、その中でも「まるっとお任せ!定額運用メニュー」は必要な業務を契約期間、時間に合わせて対象業務から選択しご利用いただけるメニューです。対象業務は契約時に打ち合わせのうえ、決定いただけます。
【まるっとお任せ!定額運用メニュー】
・料金:12万円/月
・期間:3ヵ月毎
・実働時間:30時間/月
オーダー!の強み1:モノの移動が最小限で済む
オーダー!は物流業務も手掛けているため、これまでにつちかってきた物流のノウハウを生かし、モノの移動を最低限にできます。
また、自社倉庫を保有しているため、各メーカーからスマホを倉庫へ直送してもらい、そこで各種作業を行い梱包して発送可能。
キッティングを内製すると、一度会社にスマホを集め、キッティング作業後に再度物流倉庫に送って保管し、エンドユーザーへ配送しなければなりません。しかし、オーダー!なら倉庫に送り返す工程を省けますので、キッティングにかかるコストを削減できます。
オーダー!の強み2:関東所在で利便性がいい
キッティング代行業者は広い作業スペースを確保するため、地方に倉庫や作業スペースを設けているケースが大半です。しかし、オーダー!の倉庫および作業スペースは関東近辺に所在しています。
そのため、首都圏に会社を構えている企業の担当者様にとっては倉庫や作業場所の視察をしていただきやすい環境となっています。また、自社で技術的なキッティングを実施し、技術以外のキッティングを外注したい場合も、モノの移動にかかるコストを削減できるのでおすすめです。
オーダー!の強み3:技術以外の作業も任せられる
オーダー!では以下のような技術以外の手間のかかる作業も個別で対応できます。それぞれの業務に課題を抱えている担当者の方は、ぜひお問い合わせ下さい。
- スマホ本体にSIMを入れ、SIM番号と機種番号と電話番号の紐づけ作業
- バッテリー充電
- OA機器の通電確認
- 通信機器の通信確認
- データ入力
- ラベル(テプラ)貼り
- デバイスメイン画面へのフィルム貼り
- デバイス本体へのケース装着
- 梱包、配送
スマホのキッティング作業事例
【大手SIer関連企業様の事例】
クライアントが県の防災系システムを受注し、そのネットワーク機器の設定・構築をオーダー!が受託しました。クライアントが開発を進める中で、オーダー!にロジスティクスの実績があることを知り、キッティングも依頼していただきました。
5日間という大変短い期間での納品という条件で、クライアントは自社で人員を確保し、期限内にキッティングができるのかという課題を抱えていました。そこで、キッティングをアウトソーシングする決断をされ、ご依頼いただきました。
(依頼内容)
・デバイスと台数:スマホのキッティング300台
・作業フロー:メーカーからオーダー!の倉庫に300台のスマホを直接納品。キッティング作業後に指定先へ納品する。
キッティング作業は以下のものを含んでいました。
・液晶保護フィルムの貼付
・SIMカードの通電
・スマホへテプラを貼付し、個体管理を行う
- 個体管理するため、端末番号台帳も作成
- その他、サーバーや固定電話用にテプラ(1万2千枚分)を用意 ※作業期間3日間
短い期間の中で手間がかかる作業を行い、なおかつミスが許されないという状況でしたが、豊富な実績を元に納品まで無事に遂行しました。
今回のクライアントの特徴は、作業量が非常に多いことです。このように量があまりにも多いために手に余る、という状況をスケジューリングして進めることにオーダー!は慣れており、得意としています。
また、大量のデバイスに対して作業を行うためのスペースも確保可能です。
スマホのキッティング作業・まとめ
キッティングは従業員にスマホを支給する際に欠かせない作業です。しかし、短期間に大量のスマホをキッティングすることは、企業にとって大きな負担ではないでしょうか。
そのため、プロのノウハウで効率よくキッティングできる外部委託をおすすめします。ご検討の際は、ぜひオーダー!にご連絡下さい!
パソコンのキッティングについては以下の記事により詳しくまとめていますので、参考にしてください。