ECサイト市場が拡大するにつれ、EC事業に乗り出す会社が増えています。ECサイトを立ち上げる際には、運営に必要な基礎知識を学ぶことが重要です。
この記事では、初めてECサイトを立ち上げる経営者や企業の担当者を対象に、ECサイト運営に必要な基礎知識やとるべきアクションを紹介します。
「ECサイトを立ち上げるには、どうしたらいいの?どんなことを知っておくべき?」と考えている人は、この記事を読むと基礎的な知識やすべきことが分かります。
ECサイト運営とは
まず、ECサイトの立ち上げはどんな流れで行われるのかを把握する必要があります。ECサイトの立ち上げは、大まかに以下の5つのステップを経て行うとよいでしょう。
ECサイトの立ち上げに必要なアクション
ECサイトを立ち上げる際に必要なアクションを時系列にしたがって紹介します。
1.サイト企画(コンセプトの明確化)
ECサイトをどのような目的で運営するのか、何を販売するのか、どんなターゲットに対して販売するのかなどを考え、明確にします。
コンセプトを明確にさせるべき理由は、サイトデザインや設計の方向性を明確にするためです。例えば、アロマオイルやオーガニック食品を販売するECサイトが、蛍光色でデザインされていたら違和感を覚えるでしょう。
また、シルバー層をターゲットとしたサイトでは、フォントが大きく操作もシンプルなほうがユーザーにとって使いやすいはずです。
このように、サイトのコンセプトが決まるとおのずとサイトデザインや、設計の方向性が明確になります。
その後、特設ページなどを設ける際にもこのコンセプトに従えば統一感を保てます。つまり、コンセプトがあるからこそ、会社やブランドのイメージを損なうことなくECサイトの運営を継続できるのです。
2.競合調査
競合する会社のECサイトを見て、どのようなサイトなのか、どのような文章で説明されているのか、顧客レビューなどをチェックします。これらを確認する中で、競合他社との差別化を図れます。
3.要件定義
要件定義とは、システム開発の現場などで使われる用語です。具体的に以下のような意味を持ちます。
要件定義とは、システムやソフトウェアの開発において、実装すべき機能や満たすべき性能などを明確にしていく作業のこと。(後略)
要件定義では、利用者がそのシステムで何がしたいのかを元に、それを実現するために実装しなければならない機能や、達成しなければならない性能などを開発者が検討して明確にしていく。
出典:IT用語辞典「要件定義」
つまり、「どんなサイトにしたいのか?」を具体的にする作業です。これをまとめた書類を「要件定義書」と呼びます。
要件定義書に盛り込むべき内容や書き方はある程度決められています。これは、あとで見返す際や、他の人がECサイトがどのように構築されているかを確認する際に理解しやすくするためです。
4.サイト構築・開店
ECサイトを構築し、開店します。
5.運用・改善
実際に運営し、改善すべき点を改善してより使いやすいサイトを目指します。
ECサイトの種類
ひとくちにECサイトといっても、その特徴によっていくつかの種類に分かれます。ここではECサイトにはどんな種類があるのかを解説します。
●自社ECサイト
その名の通り、自社の商品を販売するための独自のサイトです。
●ショッピングモール型のECサイト
ショッピングモール型のECサイトとは、一つのサイトに多くの事業者が出品し、ユーザーがショッピングモールで買い物をするように利用できる形態のECサイトです。例として「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」などが挙げられます。
ユーザーにとっては、たくさんの商品を見つけられる、比較できるメリットがあります。
●単品ECサイト
商品やジャンルを1つにしぼって販売するサイトです。ねらったターゲットに確実に届けるために、このような形態のサイトにすることがあります。
●オムニチャネル型ECサイト
オムニチャネルとは、主に以下のように定義されています。
実店舗やオンライン店舗(ECサイト)、通販カタログ、ダイレクトメール、マスメディア広告、モバイルサイト、SNS、コールセンターなどといったチャネル間の垣根を取り払い、一人の消費者や顧客と多様なチャネルを通じて接触を持ち、販売や顧客満足に繋げていく手法
出典:IT用語辞典「オムニチャネル」
つまり、実店舗で買った、ECサイトで買ったというような違いを消費者に意識させることなく、さまざまな形態で自社や商品に触れ、満足度を高めてもらう戦略のことです。
この戦略の一環として運営されているサイトが、オムニチャネル型ECサイトです。
●越境ECサイト
自社の製品を海外向けに販売するためのECサイトです。新型コロナ流行前のインバウンド客の増加やクールジャパン戦略により、日本製品が海外で注目されるケースが相次いでいます。思わぬ商品が海外で受け入れられることもあり、近年話題の形態です。
ただし、越境ECサイトを運営する際には、翻訳以外にも海外の商習慣や決済システムを理解する必要があります。
ECサイト運営の流れと仕事内容
ECサイトを運営する業務には、フロント業務とバックエンド業務の2つがあります。
この章では、それぞれの業務について解説します。
フロントエンド業務
まずは、フロントエンド業務について解説します。
1.商品企画
どんな商品を販売するのかを考え、リサーチするのが商品企画です。
2.仕入れ・製造
商品企画や販売計画に基づき、商品の仕入れや製造を行います。
3.ECサイト制作
ECサイトを制作します。制作後に商品の追加などでサイトを更新したり、特設ページを開設するなどしてサイト内のコンテンツを増やし、ユーザーにとって見やすく質の高いECサイトを目指します。
4.マーケティング(集客)
ECサイトを制作しても、集客を行わなければ商品は売れません。ECサイトのマーケティングは主に以下の要素から成ります。
・Web広告
Web上に広告を出稿することで集客をねらいます。バナー広告やリスティング広告、アフィリエイト広告などさまざまなタイプがあります。業種や時期によって効果的な種類の広告は異なりますので、十分に検討したうえで出稿しましょう。
・メールマガジン・LINE公式アカウントなど
実店舗の顧客やECサイトを利用してくれた顧客に対して、メールマガジンやLINE公式アカウントで新製品やセールなどの情報を伝えます。これらに登録する顧客は、自社や商品にある程度興味を持っていますので、効果的なマーケティングが期待できます。
・SNS(Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなど)
近年は商品の種類やターゲットを問わず、SNSで商品の紹介を行うケースが多く見られます。その際、ECサイトから購入できることも合わせて宣伝します。
・実店舗の顧客への案内
すでに実店舗を持っている場合は、ECサイトで商品を販売し始めたことを顧客に伝え、便利にショッピングができることをアピールしましょう。
バックエンド業務
続いては、バックエンド業務の種類とその解説です。
1.受注管理
顧客が商品を注文した後に在庫を確認し、商品のピックアップや出荷を指示する業務が受注管理です。顧客に受注や出荷などの情報を伝える業務も含まれます。
2.出荷・配送
倉庫や流通センターにある商品を注文通りにピックアップし、同梱物とともに梱包し、配送業者に引き渡します。
3.在庫管理
在庫管理とは、商品在庫の数を管理して過不足のない状態に保つことです。在庫が少なすぎると顧客の要望に応えられませんし、多すぎると管理するためのコストが余分にかかってしまいます。
適切な在庫を保てると棚卸しの回数も少なくて済み、コストをかけすぎないECサイト運営ができます。
4.アフターサービス
返品や交換、修理に関する連絡や、クレームや問い合わせへの対応を行います。顧客の不満や要望に応えることで満足度を向上させられます。
ECサイトの構築・運営にかかる費用
ここからは、ECサイトの構築・運営にかかる費用を解説します。
ECサイト構築にかかる費用
ECサイトの構築に関しては、その手法によって費用が変わります。そのため、まずは構築の手法を説明します。
・ASP
ASPとは、ECサイトを構築できるサービスを提供しているプロバイダーを利用してサイトを立ち上げる手法です。代表的なサービス事業者として「STORES」「BASE」などがあります。
予算や人員が限られている状況でも手軽にECサイトを構築できるメリットがあります。
・パッケージ
ECサイトを作成できるソフトウェアを購入し、それに従ってサイトを立ち上げる方法がパッケージです。コストや手間を抑えながら、ある程度自由にサイトを構築できます。
・オープンソース
インターネット上で公開されているアプリケーションやソフトウェアを利用して、ECサイトを立ち上げる方法がオープンソースです。比較的安価に、自由度の高いサイト構築を行えます。
しかし、セキュリティ対策などは自社で行う必要があります。また、システム開発に対して一定の知見があることを前提としています。
・フルスクラッチ
ゼロから自社サイトを構築する手法をフルスクラッチと呼びます。完全に自由な状況でサイトを立ち上げられますので、思い通りのサイトをつくれます。
ただし、サーバーや決済システム、セキュリティなどを全て自前で用意しなければならないためコストがかかること、またシステム構築や保守管理の知見が必要であることがデメリットです。
これら4つの手法とその特徴を一覧表にまとめました。
構築手法 | 費用相場 | |
ASP | ECサイトを構築できるサービスを利用する | 0~数十万円程度 |
パッケージ | ソフトウェアを購入したうえで、サイトを作成 | 数百万円~ |
オープンソース | 公開されているソフトウェアやアプリケーションを利用 | 数百万円~ |
フルスクラッチ | ゼロから自社で構築 | 数千万円~ |
ECサイトの運営にかかる費用
ECサイトの運営にかかる費用は、構築費用だけではありません。その他、運営にかかる費用として以下のものがあります。
【ECサイト維持費】
サーバー利用料や保守・更新業務などにかかる費用です。ASPを利用している場合はランニングコストが発生します。
【ECサイト以外の運営にかかる費用】
ECサイトを運営する以外の業務で、主に以下の費用が発生します。
・配送費
・梱包資材費
・倉庫・流通センターに対する費用
・人件費
ECサイト運営に必要なスキルと資格
ECサイト運営に必要なスキル
ECサイト運営に必要な知識は、大きく以下の4つに分けられます。
・商品の企画力
顧客が求める商品を企画し、実際に商品化するためのスキルです。
・クリエイティブスキル
商品を形にする際、またその商品を顧客にアピールする際には、画像や説明でその魅力を分かってもらう必要があります。
・顧客への対応力
顧客からの要望や質問、クレームなどに対応することで顧客満足度を高めます。
・Webマーケティングの知識
広告の出稿や商品説明の文章を作成する際には、Webマーケティングの知識が重要です。
このように、ECサイトの運営を行うためにはさまざまな能力が必要とされます。業務以外にも自主的に勉強し、知識やノウハウを吸収する姿勢が求められます。
ECサイト運営に必要な資格
ECサイトを運営するために必須の資格はありません。しかし、取ると便利な資格や、資格取得のための勉強を通じて必要な知識が深まる資格があります。
・ネットショップ検定
ネットショップ検定は一般財団法人ネットショップ能力認定機構が実施する検定です。ECサイトのマネジメント、Web制作・運営能力、プロモーション能力を総合的に認定する検定です。
検定は能力レベルによっていくつかのレベルに分かれており、それぞれの能力をどれくらい有しているのかが証明されます。
・通販エキスパート検定
通販エキスパート検定は一般社団法人通販エキスパート協会が実施する検定です。この検定のための勉強を通じて業務知識、関連法規、マネジメント力などを高められます。
試験の難易度により、3級から1級までの三段階に分かれています。
・ウェブ解析士
ウェブ解析士は一般社団法人ウェブ解析士協会が認定する資格です。インターネット上のマーケティングの知識やスキルを習得できます。
難易度によってウェブ解析士、上級ウェブ解析士、ウェブ解析士マスターの三段階に分かれています。
ECサイト運営のFAQ(よくある質問)
ここからは、ECサイトの運営を検討している人の多くが抱く疑問にお答えします。
ECサイトをオープンしたら最初に何をする?
ECサイトは存在を知ってもらわないことには始まりません。そのため、ECサイトをアピールする必要があります。広告やSNSなどを活用して積極的に集客しましょう。
ECサイト運営で売上を上げるには?
新規顧客の獲得はもちろん大切ですが、売上を上げるために必要なのはリピーターを増やすことです。リピーターを増やすには企業やブランドのファンを作ることが求められます。
ある調査によると、「ファンといえる企業やブランドがある」と回答した人の97%がその企業やブランドの商品をリピート購入しています。
また、競合他社よりも価格が高くても、ファンといえる企業やブランドを優先して購入すると答えた人の割合は80%に達しています。
このように、ファンは複数回にわたって商品を購入し、競合他社より価格が高くてもファンになった企業やブランドの商品を購入してくれる可能性が非常に高いのです。
ファンを作るためには、オウンドメディアやSNSを使ったWebマーケティングを行うことが必要となります。
さらに、商品購入後のフォローも大切です。フォローメールやクーポン、メールマガジン、LINE公式アカウントなどでコミュニケーションをとり、再訪問を後押ししましょう。
参考:トランスコスモス株式会社「消費者と企業のコミュニケーション実態調査 2018」
ECサイト運営は「オーダー!」にお任せ!
ここまでECサイトの立ち上げや運営に必要な情報を解説してきましたが、スキルや知識に不安がある場合はプロに任せるのも一つの手段です。
オーダー!の特長
オーダー!はシステム開発やサイト運用など、インターネット関連の専門的な業務の代行を手がけています。大企業から中小企業まで、また幅広い業界に対応している実績があります。
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ECサイトの構築・運用の「まるっとお任せ!定額運用メニュー」は、ECサイトの運営に必要な業務を一気通貫で支援・代行するサービスです。
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・特集ページやランディングページ作成
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これら以外にも、個別に対応できる業務として以下の内容があります。
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ECサイト運営のまとめ
ECサイトを運営するためにはさまざまなスキルが求められます。そのため、初心者のうちは難しく感じるかもしれません。
重要なことは、全ての業務を自社で行おうとしないことです。自社ですべきことを絞り込み、それ以外の業務は外注することで負担を減らせます。
とはいえ、あらゆる業務を外注してしまうと予算が足りませんし、自社にスキルが蓄積されません。予算やリソース、スキルを見極めた上で外注することで、スムーズにECサイトを立ち上げられます。
少ない負担で高品質なECサイトを立ち上げるために、オーダー!の「ECサイトの構築・運用サービス」のご利用をぜひご検討ください。