越境EC事業者にとって、海外展開の成功は物流の最適化にかかっているといっても過言ではありません。特に、適切な倉庫の選定はスムーズな配送やコスト削減に大きく関わります。

本記事では、越境ECにおける倉庫の選び方や、物流戦略の最適化について詳しく解説します。

「海外向け発送や倉庫選びについて知りたい」
「複数の国や地域に、迅速かつできるだけ低コストで配送する体制を整えたい」

とお考えのEC事業者の方はぜひ参考にしてください。

越境ECにおける倉庫の役割

まずは越境ECにおける倉庫の機能をおさらいしましょう。

物流倉庫の基本機能

越境ECにおける倉庫は、単なる商品の保管場所ではありません。入庫から出荷までの一連のプロセスを担い、商品の検品、ピッキング、流通加工、梱包など、多岐に渡る作業が行われています。

越境ECの物流の特徴

越境ECの物流には次のような特徴があります。

  • リードタイムが国内発送よりも長く、商品が顧客に届くまでに時間がかかる
  • 輸送中に破損しないようにしっかりと梱包する技術が必要
  • 発送する国や地域のルールに合わせた対応が必要
  • 国によっては送れない商品がある

このように国内配送に比べ多くの手間とコストがかかるため、「越境ECに踏み切れない」「越境ECの物流に課題を感じている」という企業も多いのではないでしょうか。

越境ECの基本について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

越境ECにおける倉庫の重要性

物流にとって重要なのが、倉庫選び。特に海外向け発送においては以下の点を覚えておく必要があります。

越境ECにおける倉庫の重要性
  1. 物流コストが売上を左右する
  2. 配送にかかる時間や送料が購入の決め手となる
  3. 物流の質が顧客満足度に影響する

物流コストが売上を左右する

越境ECの物流コストはどうしても国内向けに比べて高くなり、売上を圧迫しがちです。価格設定する際にも、発送にかかるコストを踏まえなくてはなりません。もし設定を間違えば、原価とコストが売上を上回ることにもなりかねません。

一方で、コストを押さえることだけに注目して倉庫や業者を選ぶと、物流の質が低下して結局は顧客離れにつながってしまうので要注意です。

配送にかかる時間や送料が購入の決め手となる

海外の顧客は、商品の品質だけでなく、配送日数や送料を重視します。同じ商品であれば少しでも早く安く届けてくれるサイトを選ぶでしょう。国際的な物流ハブにアクセスの良い倉庫を選び、できるだけリードタイムを減らすことが顧客の購入意欲を高めるカギとなります。

物流の質が顧客満足度に影響する

海外では荷物の取り扱いが荒いこともあるため、高い梱包技術が求められます。また、倉庫内の作業スペースが十分にあることも、効率的な商品の管理やミス防止に欠かせません。スムーズかつ確実に商品を届けることが、顧客満足度の向上に直結します。

アランくん

物流を安定して運用できるかが越境ECで成功するポイントです

越境ECの発送方法は主に3パターン

越境ECの発送方法には主に以下のような手段があります。メリットとデメリットを理解し、状況に応じて変化させましょう。

  1. 国内の倉庫から発送する
  2. 現地の倉庫から発送する
  3. 物流自体をアウトソースする

越境ECの発送方法1.国内の倉庫から発送する

越境ECを始めたばかり、またはそれほど物量が多くない業者なら、国内の倉庫から直接商品を発送する方法が最も現実的な方法です。

メリットとしては初期投資が少なくて済むこと、在庫リスクが低い点が挙げられます。

一方で配送ごとに高いコストがかかり、毎回の通関手続きが必要になるなど、受注が増えてくると物流周りの負担が増大します。

越境ECの発送方法2.現地の倉庫から発送する

ある程度物量が見込める場合は、現地に倉庫を構える方法もあります。

現地の倉庫から発送すれば配送コストを抑え、より迅速な発送が可能になります。

ただし、現地倉庫の設立には多大な初期投資が必要で、在庫リスクも増加するため、物量が少ない場合には現実的な選択肢ではないでしょう。

越境ECの発送方法3.物流自体をアウトソースする

物流業務自体をアウトソースするのも効果的です。

プロに外注すれば、社内のリソースをより重要な業務に振り分けられ、業務効率が向上し、人的ミスを減らすことができます。委託料金がかかりますが、結果的に物流コストの削減に成功している企業が多くあります。

場合によってはイレギュラーな対応がしてもらえないこともあるので、サービス内容はよく確認しておきましょう。自社に合ったサービスを提供してくれる業者選びが肝心です。

越境ECにおける倉庫選びのポイント6つ

越境ECの倉庫選びで気を付けたいポイントをご紹介します。複数社に問い合わせたら相見積もりを取り、費用とサービス内容を比較してみてください。

  1. 越境ECの経験
  2. 物流サービスの範囲や質
  3. ロケーション
  4. 隠れたコストに注意
  5. 臨機応変な対応ができるか
  6. 事業規模の変化への対応

越境ECにおける倉庫選びのポイント1.越境ECの経験

倉庫を選ぶ際は、越境ECの経験が豊富な業者を選びましょう。

具体的には、国際配送のルールや最新の情報を把握しているか、国や地域ごとの配送事情に精通しているかがポイントです。

例えば、中国の「独身の日」といったイベントや販促セールでは出荷が通常の数十倍になることもあり、対応に慣れている業者が安心です。

また先述したように、海外発送では商品の破損を防ぐため頑丈な梱包が必要ですが、資材をただ増やすだけでは資材費や重量がかさんでしまいます。EMSのように100g単位で送料が変動することもあるため、強度は保ったうえで軽量化することも大切です。

このような物流コストの最適解をノウハウとして持っているかどうかが、倉庫選びで大切な視点といえるでしょう。

越境ECにおける倉庫選びのポイント2.物流サービスの範囲や質

倉庫が提供する物流サービスが、自社の商品に適しているかどうかも確認します。自社と似た商材を扱った経験があるか問い合わせてみるとよいでしょう。

商品によっては温度や湿度の管理が必要な場合もあり、適切に対応できる倉庫を選ぶことが、商品の品質を保つために欠かせません。

越境ECにおける倉庫選びのポイント3.ロケーション

越境ECの場合は特に、空港や港へのアクセスが良好な倉庫がおすすめです。

また、モノだけでなく人にとってアクセスが良いことも大切。公共交通機関からのアクセスが良いと働く人が集まりやすく、トラブルや棚卸しの時などにクライアント側の社員が立ち寄る際にも便利です。

輸送距離を短縮し、物流コストを削減するためにも、倉庫の立地は慎重に選定する必要があります。

物流倉庫を選ぶ際のロケーションについてはこちらの記事もご覧ください。

越境ECにおける倉庫選びのポイント4.隠れたコストに注意

倉庫の賃料や運営コストだけでなく、見落としがちな「隠れたコスト」にも注意が必要です。「隠れたコスト」とは、例えばピッキングや梱包の追加料金、出荷量の変動に伴う追加費用、長期契約の解除料など。

物流倉庫の利用料金は、基本料金(保管料・システム利用料など)と従量課金(サービス料・配送料など)の合計で、物量やサービス内容で変わります。

予算オーバーを防ぐために、実際に契約する前に全てのコストについて把握しておきましょう。

越境ECにおける倉庫選びのポイント5.臨機応変な対応ができるか

越境ECの物流では、イレギュラーな状況がどうしても発生します。例えば、トラブルによる緊急発送、あるいは「配送会社の集荷の締め時間に間に合わないが、どうしても当日中に発送しなければならない」といったことが起こります。

このような緊急時に親身に支援してくれる倉庫かどうかも重要な選定基準です。事前に、過去に対応した事例や、自社に起こりえるトラブルについてどのような対応をしてもらえるか、相談しておくと安心です。

越境ECにおける倉庫選びのポイント6.事業規模の変化への対応

自社の事業拡大や展望によって、倉庫スペースの拡大・縮小が起こった際に柔軟な対応が可能かも事前に確認しましょう。ECでは思いがけず急激に売上が伸び、物流周りの作業が追い付かないことも起こりえます。

また、「物流業界の2024年問題」で物流コストの増大や人手不足が懸念されることから、拠点の変更や複数拠点を持つことも視野に入れておきたいところです。

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アランくん

実際に倉庫を見学して、整理整頓できているか、商品の保管状態に問題はないかなどを確認できるとベストです!

越境ECの成長に合わせて倉庫戦略を最適化しよう

越境ECの倉庫戦略は、ビジネスの成長にともなって見直しが必要です。変化に合わせてどのような対応が必要になるのか、解説します。

販売地域に合わせた倉庫配置の見直し

事業が成長するにつれて、販売地域ごとに倉庫配置を見直す必要が出てくる可能性もあります。

物流拠点の配置を考える際には、「集約」と「分散」の二つの方法があります。

拠点を集約すれば、管理コストを削減し、配送効率を高めるメリットがありますが、リスクを分散できないというデメリットも存在します。

一方、複数の拠点を分散させることで、配送コストの削減やリードタイムの短縮といった効果が得られますが、その分在庫管理や運営コストが増加する可能性もあります。

これらを踏まえ、海外展開を視野に入れている場合は、早期に倉庫配置を検討しておくとよいでしょう。

物流倉庫の自動化

事業拡大で発送先の国や地域が増えたり、扱う物量が増えたりすると、より効率的な在庫管理が求められるようになります。

そこでカギとなるのが、最新の技術を活用した物流倉庫の自動化です。

自動化を導入することで、作業の効率化や人手不足の解消につながり、長期的な成長を支える基盤となります。

最新技術の導入は社内の人員だけでは知見が足りないことも多いため、技術的な知識や市場動向を把握したプロのサポートを受けられると理想です。

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倉庫業務のアウトソーシングの検討

越境ECにおいて、物流業務のアウトソーシングは、専門知識を持つ業者の力を活用できる大きなメリットがあります。また、自社のリソースをコア業務に集中させ、効率的な運用を実現することが可能です。現地の物流パートナーとの協力も、地域ごとの課題に対処するために欠かせません。

倉庫配置の見直しや自動化、また日々の発送業務についても、自社だけで対応するのが難しい場合はアウトソーシングの検討がおすすめです。

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越境ECの倉庫戦略はオーダー!におまかせ

オーダー!の強みは、物流倉庫サービスはもちろん、サイト構築や運営からその他の事務作業まで一気通貫のサポートができること。社内業務を一括でアウトソースすると、大幅な業務改善が実現します。

オーダー!の拠点は横浜市金沢区のシーサイドエリア、約4,000坪の倉庫で多様なクライアントに向けた物流サービスを提供しています。

羽田空港から約25分、横浜港から約15分というアクセスの良さで、海外への発送もスムーズです。加えて、倉庫作業の坪単価や作業単価が都内に比べて低く抑えられているため、コスト効率も高いのが特長です。

また、高速道路の幸浦インターにも近くアクセスが良好なため、当日出荷の締め時間にも余裕を持つことが可能です。

オーダー!の定額運用メニューでは、契約期間や時間に合わせて必要な業務を選択して依頼することができます。

【まるっとお任せ!定額運用メニュー(一例)】
●基本プラン10万円(税抜)/月
●契約期間:3か月
●実働時間:30時間/月
●業務の例
・ECサイト管理(在庫登録、在数更新、商品登録、更新)
・特集ページやランディングページ作成
・ニュースリリースなどの追加・修正・変更レポート作成など

※ECサイト構築・物流のアウトソーシングについては個別相談にて対応いたします
※物流業務は出荷数に応じて費用が変動するため定額運用とはならず、個別にご相談ください
※ご依頼内容に合わせてプランをカスタマイズできます

越境ECのノウハウや社内のリソースの不足にお悩みの方はぜひご相談ください。

まとめ

越境ECの成功には、適切な倉庫戦略と物流の最適化が欠かせません。物流以外にも、現地の顧客ニーズに合う商品づくり、効果的なマーケティング戦略の実施など、さまざまな課題があります。 今後も発展が見込まれる越境EC市場で海外顧客を獲得できれば、さらなるビジネスの成長につながるでしょう。そのためにはプロによる専門的なサポートを得ることも重要です。越境ECにおける物流や倉庫選びでお悩みの方は、ぜひオーダー!へご相談ください。