BtoBマーケティングの一環として、大きな役割を担うホワイトペーパー。
直接的に自社の製品やサービスを売り込む手段ではないものの、ユーザーへ情報を提供することで満足度を向上させ、将来的な顧客獲得につなげるコンテンツです。
今回は、ホワイトペーパーの基礎知識と、作成する際のポイントや注意点などについて詳しくまとめます。
BtoBマーケティング全般については以下の記事を参考にしてください。
ホワイトペーパーとは
ホワイトペーパーとは、主にBtoBマーケティングにおいて、顧客への情報提供や問題解決のために作成される資料です。近年はインターネットを介し、ダウンロードされる形式が多くなっています。
ホワイトペーパーは、自社の製品やサービスをアピールする営業用資料と比べて、より顧客の立場、興味関心に寄り添ったものになります。顧客の問題解決に役立ち、かつ自社のソリューションが活用できるコンテンツという位置付けです。
それぞれの目的によって種類があり、種類によって構成や適したデザインも異なります。より効果的な資料にするためには、作成時にポイントを押さえておくことが必要です。
ホワイトペーパーの目的
まずは、ホワイトペーパーの目的についてご紹介します。
リード情報(見込み顧客)の獲得
ホワイトペーパーの多くは、自社サイトやSNS、プレスリリースなどからダウンロードページに誘導する形式となっています。一般的にダウンロード時には顧客の情報をフォームに入力してもらうため、リード情報(見込み顧客)の獲得につながります。
製品やサービス自体にまだ興味がないユーザーであっても、ダウンロードページに書かれた内容がニーズにマッチすれば、読みたい気持ちが勝り、情報を入力してくれます。
ナーチャリング(見込み顧客育成)へ活用
ダウンロードしたホワイトペーパーの内容が、顧客にとって有益で理解が得られるものであれば、以降も自社との関係を強められます。
ホワイトペーパーのダウンロード時に得られたメールアドレスにメルマガを送信するなど、定期的なアプローチによってナーチャリングに活用できます。
受注確率の向上
ホワイトペーパーに自社の事例やノウハウを掲載することで、専門性を示せます。
その分野に通じた情報や統計資料、それに対する洞察など自社ならではのソリューションを提供し、見込み顧客の信頼度を高め、受注確率を向上することも期待できます。
PRによる認知拡大
PRによる認知拡大もホワイトペーパーの目的です。例えば完成したホワイトペーパーをプレスリリースなどで発表すると、様々な媒体が取り上げてくれる可能性があります。露出が増加することで潜在顧客まで情報が届き、自社製品やサービスに興味を持ってもらいやすくなります。
ホワイトペーパーは、すぐに受注につなげるための営業資料とは異なります。ユーザーの悩み解決や知りたい情報、専門的なデータといったニーズに応え、中長期的な信頼を得ることを目的としているのですね
ホワイトペーパーの種類
ホワイトペーパーは、目的によりさまざまな種類に分けられます。ここでは、基本的な3つの型をご紹介します。
問題解決型
一つ目は、特定の問題を解決するため自社ソリューションを提供する「問題解決型」のホワイトペーパーです。ホワイトペーパーで最も多い型のため、次項で作り方のポイントをご紹介します。
レポート型
二つ目は、調査・分析した情報を提供する「レポート型」のホワイトペーパーです。業界のトレンド、市場の動向、競合分析といった最新の情報によって、顧客信頼度アップに貢献します。
事例紹介型
三つ目は、実際に自社の製品やサービスによって、利用客の問題がどのように解決されたか、具体的な事例を提供する「事例紹介型」のホワイトペーパーです。
見込み客に製品やサービスの価値を示し、自社製品の購入やサービスの利用といったアクションへと促すのに効果的です。
ホワイトペーパーの作り方(問題解決型)
レポート型や事例紹介型のホワイトペーパーは、主にデータや事例をまとめる資料となります。一方、問題解決型は多くの場合ユーザーとの最初の接点となるため、より興味関心を高めるための工夫が必要です。
ここでは、問題解決型ホワイトペーパーの作成手順の一例をご紹介します。
1.問題の特定
まず、自社のソリューションで解決できる「顧客の問題」を特定することが必要です。顧客の現状を「あるべき形」に近づけるために具体的に取り組むべき課題や、問題を解決するために、自社の製品やサービスがどのように役立つのかを明確にしましょう。
2.目標設定
次に、ホワイトペーパー読後の顧客に、どんなアクションを起こしてほしいかを設定します。リード獲得を目的とするなら、具体的な数値を設定したほうが分かりやすいでしょう。
3.ターゲット設定
自社のソリューションが役立ちそうな悩みを持ち、自社が目標とするアクションを起こしてくれる顧客はどのような層でしょうか。ターゲットを明確に設定することは、どのような目的であっても重要です。
どんな顧客に読んでもらいたいかを具体的に設定することで、ホワイトペーパーの訴求力をより高めることができます。
4.コンテンツの企画と作成
問題を特定し、目標(課題)・ターゲットを定めたら、ホワイトペーパーのテーマと内容を決めて作成に取り掛かります。問題解決型のホワイトペーパーの場合、基本の構成として「5パラグラフの法則」がよく用いられます。
「5パラグラフの法則」とは、以下の5つの段落で展開される文章の基本構成です。
・導入・要約
・課題提起
・解決策
・製品・サービス情報の提示
・結論
ホワイトペーパーだけでなく論文やエッセイなどでも一般的とされています。
ターゲットを設定してから問題を特定するより、自社のソリューションで解決できる問題は何かという視点から、目標やターゲットを定めると効率的ですね
ホワイトペーパーの基本構成
ここからは、実際にホワイトペーパーを制作するにあたって、基本となる構成をご紹介します。
表紙
表紙は、ホワイトペーパーの顔となる大切なものです。ユーザーの興味を引くようなデザイン・タイトルになるよう工夫しましょう。
目的
表紙の次に資料の目的を掲載します。ホワイトペーパーを読むことで得られるメリットも記載し、目的意識を持って読んでもらうよう促してください。
目次
見出しを見ただけでざっと内容が分かる記事は理想的ですが、資料もまた然りです。ユーザーのニーズに応える見出しにして、デザイン的にも見やすい目次にしましょう。
内容
先述した「5パラグラフの法則」をベースに内容を記載します。ユーザーの悩みや課題を明確にしたところで説得力のある解決策につなげます。購買意欲の高まっていないうちから営業色が濃くなるのを避けるため、自社製品やサービスのアピールは過度にならないよう注意しましょう。
会社情報・著者紹介
発行元の会社情報や著者を記載します。
CTA
ホワイトペーパーを読んで興味を深めるユーザーも多いと予想されます。さらに詳しく知りたい、相談したいと感じてもらえた際に、スムーズに次のアクションにつなげるためのCTAは必ず記載しておくようにしましょう。
ホワイトペーパーで成果を出すポイント
どの種類のホワイトペーパーであっても、成果につなげるために、以下のポイントは押さえて制作にとりかかりましょう。
関連するコンテンツから誘導する
コラムなど記事コンテンツを作成している場合は、検索による流入が大きいと予測されます。つまり、検索した内容をさらに詳しく知りたいというニーズが高いということです。関連する記事から、もれなくホワイトペーパーへのリンクを掲載すると効果的です。
お問い合わせフォームの入力項目は少なくする
フォーム入力まで誘導できても、入力する項目が多いとユーザーが途中で離脱し、ダウンロードされないことが懸念されます。できるだけ多くのリード情報を得たい場合は、入力項目を最小限にするのがポイントです。
読みたくなるタイトルや要約をつける
タイトルにターゲットや具体的な数値を入れると、ユーザーの関心がより高まるといわれています。ホワイトペーパーの要約や一部分を掲載し、ダウンロードしてみたいと思わせる工夫をするのがポイントです。
見やすいレイアウト
文章だけでは読みにくいため、ビジュアル(図やグラフ)を入れるのも見やすくするポイントです。余白を持たせたり、サイドバーを入れたりするなど、文章を連ねるだけにならないよう、見やすくなる工夫をしてください。
豊富なコンテンツの提供
ユーザーの満足度を高めるため、情報は惜しまず提供しましょう。
ただし、ダラダラと長いだけのものにならないようターゲットに合わせたページ数にしてください。新規向けは6ページ程度と短くするなど、ちょうどいい量を心がけましょう。
また、ホワイトペーパーの内容にがっかりした経験のある人は約7割という調査データもあります。タイトルや要約を見て期待してダウンロードしたものの、内容が薄くがっかりすると企業の印象まで悪くなる恐れがあります。タイトルと内容にギャップが生じないよう、充実した役立つコンテンツ作成が求められます。
興味を引く工夫、見やすく読みやすくする工夫、シンプルでも中身の詰まったホワイトペーパーが成果につながるポイントです
参考:fast marketing 「約7割がホワイトペーパーの内容に『がっかり』した経験あり」
ホワイトペーパー作成時の注意点
読みやすく理解しやすいホワイトペーパーなら、企業への印象アップにもつながります。以下の点にも注意して制作しましょう。
専門用語は避ける
読者になじみのない言葉が多いと、最後まで読まれない可能性があります。専門用語を使用する場合は注釈を付けるなど、誰にでも理解しやすいコンテンツづくりを心がけましょう。
ダウンロード後は訂正できない
一度ダウンロードされたものは訂正できません。虚偽の情報、誤字脱字、著作権への抵触に注意し、アップロード前の事実確認や校正、チェックは怠らないようにしましょう。
ホワイトペーパーの事例
ここからは、参考として実際にある企業のホワイトペーパーの事例をご紹介します。
kintone
出典:https://kintone.cybozu.co.jp/material/
開発の知識がなくても自社業務に合わせたシステムを簡単に作成できる、サイボウズ株式会社のクラウドサービス「kintone(キントーン)」の事例です。こちらのページでは基本から検討中の人向けのもの、用途別や部門別、業種別に分類された事例集など、多種多様のホワイトペーパーが無料で提供されています。
一覧のレイアウトが見やすく、どういった人向けの資料か分かりやすいページとなっており、PDFのダウンロードであればユーザー情報を入力しなくても、そのまま気軽にダウンロードできます。
資料ダウンロードページ:https://kintone.cybozu.co.jp/material/
Adobe
出典:https://www.adobe.com/jp/documentcloud/resources/proposal-simulation.html
プロフェッショナル向け画像編集ソフトウェアなどの世界最大手、米国のAdobe社は、Adobe Document Cloudのホワイトペーパーやレポートを提供しています。ノウハウ系の情報や事例集、調査資料などはもちろん、社内稟議用の資料も用意されているのが特徴的です。
オンライン資料ダウンロードページ:https://www.adobe.com/jp/documentcloud/whitepapers.html
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ホワイトペーパーのまとめ
ホワイトペーパーは、ユーザーに有益な情報を提供することで満足度を向上させ、自社のソリューションをアピールするきっかけとなります。とくに最も多く作成される問題解決型のホワイトペーパーは、工夫次第でユーザーにとってより魅力のあるものになります。
成果につなげるには、シンプルで分かりやすいながらも、中身はしっかりと詰まったものにしなければなりません。
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