最近話題のEC物流。「EC事業を立ち上げたいけれど、何からはじめればいいか分からない」「そもそもEC物流とはどういうものなのか詳しく知りたい」という経営者・担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、基本的なEC物流の特徴や仕組み、課題点まで、EC事業を立ち上げる際に必要なアクションやポイントを詳しく説明します。
EC事業における具体的な業務イメージができることで、今後必要なアクションや準備を明確にできます。
EC事業・通販事業に興味があったり、ぜひ始めたい!と思っている方々必見の内容です。EC事業の立ち上げを検討している方はぜひ参考にしていただければと思います。
EC物流とは?
ECサイトの増加に伴い、商品の検品から配送までを担う「EC物流」が注目されています。
ここでは、ECの基礎的な特徴と、EC物流について説明します。
ECとは
EC(Electronic Commerce)とは、ネットワーク上で商品・サービスを売買できる電子商取引です。スマートフォンやパソコンの普及によって、時間や場所にとらわれず誰でも利用できるようになり、近年ECサイトは大変身近なものになっています。
みなさんも一度は、ECサイトを通じてネットショッピングやサービスを利用した事があるのではないでしょうか?
実店舗を構えずに商品の取引ができるため、維持コストも少ないうえに地方在住者にも購入してもらえるのがECの大きなメリットです。
実店舗をを構えるより、ビジネスを始めやすいのも特徴です。
EC物流とは
ECを運営する際にマーケティング・デザイン・商品企画などの業務がありますが、物流に関する部分がEC物流です。
EC物流は受注管理や在庫管理、梱包、出荷作業など顧客に商品を届ける任務で、ECを運営する中でとても重要な役割を担っています。
実際にEC物流を行う場が「物流倉庫」です。最近では郊外にEC物流の大型倉庫が増えてきており、目にした事がある方も多いかと思います。
EC物流の特徴
EC物流の特徴として、複数のビジネスモデルが存在しているという点があります。
ビジネスモデルごとに商品取引の流れに違いがあり、その違いに沿ったEC物流の運営体制を組むことが必要です。
特徴1.ビジネスモデル
EC物流には「BtoC/BtoB/CtoC」の3つのビジネスモデルがあります。
ここでは、それぞれのビジネスモデルの特徴について説明します。
BtoC(法人→個人)
一般的にECサイトでは「BtoC」を対象にしていることが多いです。
1件当たりの商品数は少ないですが、配送先が多いのが特徴です。そのため、自社でECサイトを運営している企業では出荷担当者の負担も大きくなります。
BtoB(法人→法人)
法人との取引は、発注側の法人が業務上で必要な商品をまとめて注文するため、1件当たりの商品数は多いですが、配送先は少ないのが特徴です。
法人取引をする場合には、1つのアイテムの在庫数を多めに持たなければならないので、アイテムの高積みが可能な天井の高い倉庫やフォークリフトを用意する必要があります。
CtoC(個人→個人)
CtoCは消費者個人同士の取引です。
新品、中古問わず個人が出品したものを個人が購入する仕組みです。売り手も不用品を売る事ができ、買い手も安価に商品を手に入れられるというニーズが合致しているのが特徴です。
ただ、商品の保管環境などが売手側に任されるため、良くない状態で商品が届くトラブルなどが起こる可能性もあります。
特徴2.EC物流の運営体制
EC物流の運営体制は、大きく2種類に分けられます。
・自社でサイトの運営から物流まで担う場合(自社でECサイトを運営する)
・すでに完成された一つの大きなサイトの中に、複数の企業やショップが出店・出品する場合(ECモールに出店する)
ここでは、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
自社でECサイトを運営する | ECモールに出店する | |
特徴 | ・プラットフォームの構築・運営から顧客への商品出荷作業までEC物流も含め全てを自社が担当 | ・自社運営のECサイトではなく、Amazonや楽天市場などのECモールに出店する ・商品の保管から配送までをECモールに委託する場合と、物流は自社で行う場合がある |
メリット | ・自社で商品を企画・製造し、配送まで行い中間業者を通さないのでロイヤルカスタマーを育て、売上を伸ばすして行くことができる ・出店料や売上に対する手数料が発生せず、余分なコストを抑えられる | ・専門性の高いECモールの運営会社に任せることでミスを減らし、顧客の満足度に繋がる ・大手ECモールでは数千万人単位のユーザーを抱えていて圧倒的な集客力をもつ ・物流まで委託できる場合は、商品の梱包や出荷といった作業を委託することで、自社のリソースを削減することができる |
デメリット | ・集客が難しい 、集客が上手くいかないと自社で在庫を抱えることになり、広いスペースが常に必要 | ・柔軟な物流体制が構築しにくく、自社独自の取り組みが反映されにくい ・ECサイトに対応するために、多品種・少数の在庫を抱えたり、ECサイトならではの短納期や独自ルールに対応する必要があるため、在庫の管理などが煩雑になる |
近年では、自社運営のECサイトとECモールヘの出店のメリット・デメリットを鑑みて自社サイトと並行してECモールへの多店舗展開をし、売上増加を狙う企業も増加しています。
EC物流の仕組み~入荷から出荷までの流れ
「物流」部分だけでも、これだけの工程があり、かつ慎重に行わなければならない作業のため、ECサイト運営の中でも時間やコストのかかる業務です。
入荷・検品から出荷・配送までの実作業を順番に解説します。
1.入荷・検品
①入荷
EC物流での最初の業務です。販売見込みや在庫データ・売上データを基に、商品の入荷を行います。
②検品
届いた商品が実際に顧客に出荷できる状態のものかを確認するため、検品します。
ここで粗悪な状態の商品を見逃してしまうと後々クレームに繋がりかねないため、検品は慎重に行いましょう。
特にBtoCのECサイトでは、比較的多品種かつ小ロットの商品を取り扱うことが多いため、倉庫・在庫管理が複雑化しミスが発生しやすいです。入荷・検品差作業は注意しなければいけないポイントの一つでもあります。
2.保管・管理
①保管
検品が終わり、在庫管理用のラベリングなどが終わった商品を保管します。
②管理
保管場所の湿度や温度が高かったり、環境が悪いと商品の劣化に繋がるので商品の状態をしっかり保てるよう管理をすることが重要です。
また、商品自体の管理も重要ですが、在庫管理も非常に重要です。在庫があれば品切れをすることはありませんが、その分保管コストがかかったり、在庫のまま売上にならない可能性もあります。
3.ピッキング・出荷検品
①ピッキング
実際に商品が発注されたら、該当の商品を保管場所からピッキングします。
②出荷検品
商品の内容や数量に間違いがないか確認します。
近年では、最短での配送を希望する消費者が非常に多くなっているので、ピッキング・出荷検品にはスピーディーかつ正確な作業が求められます。
4.梱包
出荷する商品が揃ったら、梱包に取り掛かります。
配送の最中に商品が破損しないよう、緩衝材を使用したり商品の配置などを考慮して箱に詰めます。
ギフト用の商品を取り扱っている場合は、誕生日用の包装紙や、クリスマスなど季節ごとの包装紙、お歳暮などの熨斗も用意する必要があります。
また、企業・ブランドによってはノベルティを封入する場合も。
届いた商品が破損していたり、緩衝材などがない状態だと顧客への印象が悪くなり今後の取引にも影響します。
また、丁寧なラッピングや、心のこもったノベルティ・メッセージなどは、ブランドへの好意に繋がります。梱包作業は慎重に行いましょう。
5.出荷・配送
①出荷
梱包までの作業が終わったら、出荷作業に入ります。
伝票に入力した顧客の名前・住所・電話番号・日時指定などの個人情報は間違えないよう、複数人でチェックすることをおすすめします。
②配送
確認が終わったら、配送業者に引き渡します。
天候などによって配送のスケジュールは前後することも予想されます。運営しているECサイトには、そのことを記載し配送過程でクレームが起きないようにしましょう。
EC物流の課題と注意点
EC物流の基本情報や仕組みについて紹介しました。
次に、EC物流を行ううえでの課題や注意点についても紹介します。
この課題と注意点を理解しておくと、実際事業を立ち上げる際にスムーズな運営に繋げることができます。
コストが増加傾向にある
EC物流の中で、近年大きな課題となっているのがコストの問題です。
日本ロジスティクスシステム協会の「2021年度物流コスト調査」の結果によると、2021年度の「売上高物流コスト比率は5.70%(全業種平均)」。前年度から0.32ポイント上昇しています。
これは過去20年間の調査においても最も高い「売上高物流コスト比率」です。
輸送費、保管費、人件費などのコストが増加すると、売上があがっても相殺されてしまう可能性があります。コスト削減は、EC物流でビジネスを大きく左右するポイントの1つです。
コスト削減するには、倉庫管理システムの導入や、作業内容を分解して単純化・マニュアル化することが効果的です。
システム活用をすれば、安定した倉庫管理ができるうえにスタッフ人数も抑えられ人件費が削減できます。また、作業内容の単純化・マニュアル化によって作業のクオリティを保ちつつ、生産性を上げることができます。
人手不足
EC物流業界だけに限りませんが、労働人口の減少に伴い、人手不足が問題になっています。
人手不足により、出荷までの過程でミスが発生しクレームに繋がったり、商品や倉庫の管理にまで手が回らず、せっかくの販売戦略が実現ができないという問題も発生しています。
この状況に対して、倉庫管理システムの導入や正社員ではなくアルバイトを増員して人手を増やすという対策が有効です。
しかし、どうしても自社で全てを担うとシステム導入費用や人件費のコストが増えてしまうのがネックです。
作業の品質が重要
EC市場の拡大によって、発送までの工程が増え、ミスが発生したり、出荷・配送が遅れたりと、作業品質の維持が問題になっています。
出荷ミスが発生すると、返品対応など「業務とコスト」が増加するだけではなく、顧客への信頼問題にも繋がります。
人の手で行う作業は、どうしてもミスが発生しやすく対策もしにくいのが課題です。
倉庫管理システムを導入したり、人の手を介在しないチェック体制の構築によって、作業ミスを減らすようにしましょう。
出荷ミスが減少すれば、作業品質も向上し、顧客のロイヤリティーを高めることができます。
高評価や良いレビューが増えれば、リピーターや新たな顧客獲得にも繋がります。
EC物流代行なら「オーダー!」
ECサイトで多くの業務比重を占める物流業務は、アウトソーシングするという選択肢も有効です。
EC物流におけるアウトソーシングのサービスやメリットを詳しく解説します。
EC物流のアウトソーシング
最近では、ECサイトの「物流」部分をアウトソーシングする企業も増加しています。
EC物流のアウトソーシングを活用すると、前述した3つの課題をクリアすることが可能です。
- コストダウン:自社で保管倉庫を持たず、スタッフも「必要なとき」に「必要な人数」だけで回せるためコストダウンに繋がります。
- 人手不足の解消:物流業務部分をアウトソーシング先のスタッフに任せ、自社のスタッフは本来のコア業務である商品開発やマーケティング業務に集中することができます。
- 作業品質の担保:受注・在庫管理や物流に関するシステム導入など、EC物流のプロであるアウトソーシング先に任せることによって、出荷までのミスが減少し作業品質が向上します。
オーダー!の「物流サービス」
オーダー!の「物流サービス」は、商品の在庫管理、発送(入庫管理、出荷管理、在庫管理に関わる全ての業務)まで担います。出荷は、月1件の出庫から何万件の出庫まで幅広く対応することが可能です。
【オーダー!の物流サービスの特徴】 ■特徴 1:送料が抑えられる 一般的な運送会社では、出荷量に応じて配送料金に仕切りがあります。 オーダー!では、配送料金の仕切りがないため一般運送会社に比べて運賃が安く、配送に関するコストを抑えることができます。 ■特徴 2:梱包の品質担保 商品が綺麗な状態で、安全に届くよう工夫をしています。 通常緩衝材を入れすぎるとコストパフォーマンスが下がりますが、緩衝材の入れ方や商品の詰め方を変えて商品が動かないように調整。 コストを抑えながら、お客様に満足してもらえる配送サービスを提供します。 |
EC物流のまとめ
今回は、EC事業の立ち上げに必須な「EC物流」の基本情報、仕組み、課題と注意点について詳しく紹介しました。
多くの人が利用しているEC。日本中・世界中の消費者がECサイトにアクセスでき、自社商品を多くの人に購入してもらえるチャンスではありますが、実際にEC物流を自社で管理するのはとても大変です。
在庫管理、商品のピッキング、顧客へのスムーズな配送など、EC物流はEC事業の中でもとても重要なポイントです。
EC物流のノウハウがなかったり、リソースに不安がある場合は、物流代行サービスを利用するのもおすすめです。物流アウトソーシングサービスを利用することで、余分なコストや人件費を抑え、売上アップに繋げていきましょう!
ECサイト運営全般について理解したい方は、以下の記事に詳しくまとめていますので参考にしてみてください。