会社でPCやタブレット、スマホなどのデバイスを利用する際、課題となるのがキッティングです。本記事ではキッティングとは何かどんな課題が発生するのかを解説します。

この記事を読めば、キッティングを外注するメリットや、外注する際にはどんなポイントを見て業者を選べばよいのかが分かり、自社にとって最適な外注先を見つけられます

キッティングとは

キッティング

まずはキッティングとは何か、その内容を押さえておきましょう。

キッティングの作業内容

キッティングとはIT業界や製造業で使われる用語です。今回はIT業界で使われるキッティングについて説明します。

キッティングは以下の内容を指します。

パソコンなどの導入時に実施するセットアップ作業のこと。
必要なアプリケーションのインストールや社内ネットワークへの接続など、ユーザがすぐに利用できる状態にすること。(後略)

引用:IT用語集「キッティング」

具体的には、以下のような作業が発生します。

  • 通電検査
  • 動作確認
  • 管理番号ラベル貼り
  • スマホやPCなど液晶画面への保護フィルム貼付
  • 不良品チェック
  • 同梱品チェック
  • Wi-Fi設定
  • ソフトインストール
  • 初期設定

キッティングとセットアップの違い

キッティングの意味を知ると、ある疑問が生まれるかもしれません。それは「キッティングとセットアップはどう違うのか?」というものです。

セットアップはハードウエア(PC)にソフトウエアをインストールし、設定を行ってPCを使える状態にすることです。単にソフトウエアをインストールすることのみを指すこともあります。

それに対して、キッティングは梱包された状態のPCを解き、ソフトウエアのインストール以外の各種設定なども行います。つまり、PCをすぐにでも使える状態にすることを意味します。

セットアップとキッティングを比較すると、キッティングのほうがやることが多く、担当者の負担も大きいといえます。

キッティングの課題

キッティングの課題

次に、キッティングを行う際にはどんな課題が発生するのかを見ていきます。

作業時間がかかる

先述しましたが、キッティングはPCの梱包を開けるところから各種設定、動作確認までを行う必要があります。また、ある程度の規模の会社であれば、管理ラベルを作成してPCに貼り付けるなどの業務も発生します。

そのため、キッティング業務はたとえ1台であっても時間がかかります。新入社員の入社時期やPCの入れ替えを行う際には台数が増えるので、対応する人員や時間を確保しなければなりません。

では、キッティングにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。アイティメディア株式会社が運営する企業向けIT製品情報サイト「キーマンズネット」が2022年に行った調査を見てみましょう。

この調査では、PC1台あたりにかかるキッティングの時間は、従業員規模に関わらず「30〜60分」という回答が最も多く、31.7%を占めました。また、「30分以下」と回答した割合は8.5%と1割以下に留まっています。

この結果から分かることは、キッティングに少なくとも30分はかかり、1時間もしくはそれ以上かかることも珍しくないということです。

つまり、キッティングは従業員規模が大きければ大きいほど時間がかかり、社員にとって大きな負担となります。

参考:アイティメディア株式会社「PCキッティングのツールとアウトソーシングの利用状況(2022年)/前編」

広いスペースが必要

キッティング作業を行う際、重要となるのが作業スペースの確保です。

キッティングはPCを箱から出して中身を机の上に置き、作業した後に箱にしまい、新しいPCが使われる場所に配送されるまで保管しておく、という作業が発生します。

比較的コンパクトなノートPCであっても、机の上に置いて箱から中身を取り出すと、発泡スチロールやビニール袋などに梱包されており、意外とかさばるものです。

1台ならまだしも、会社の従業員規模によっては数十台から数百台分のキッティングが生じます。

大規模なキッティング作業はかなりのスペースが必要となり、普通のオフィスではスペースの確保が難しいかもしれません。

キッティング作業につきものの「作業時間」と「スペース」。この2つの課題を解決するためには、外注をおすすめします。

キッティングのアウトソーシング状況

キッティングのアウトソーシング状況

では、各企業はキッティングをどれくらい外注しているのでしょうか。引き続き、キーマンズネットの調査結果から状況を確かめましょう。

まず、企業が自社でキッティングしているのか、それともアウトソーシングしているのかを確認しましょう。

「自社とアウトソーシングの両方でキッティングしている」(27.2%)と「全てのキッティングをアウトソーシングしている」(12.3%)を合わせると、全体の4割がキッティング業務をアウトソースしているという結果になりました。

キッティング 状況
※()内は該当する企業の数
出典:アイティメディア株式会社「PCキッティングのツールとアウトソーシングの利用状況(2022年)/後編」

また、「どの工程を外注しているのか」については各社の状況により異なるようですが、全ての規模帯において「インストール作業」は59.2%と過半数が外注していることが分かります。

キッティング 代行
出典:アイティメディア株式会社「PCキッティングのツールとアウ
トソーシングの利用状況(2022年)/後編」

さらに、キッティングのニーズがあるデバイスはPCだけではありません。スマホタブレットについて課題を抱えている企業も存在します。

また、近年はIoT機器KIOSK端末(ホテルや空港、商業施設などに設置されている小型端末)を取り扱っている企業も多いため、これらのキッティングを依頼する企業も増えています。

キッティングサービスに依頼するメリット

キッティングサービスに依頼するメリット

ここで改めて、キッティングを外部に依頼するメリットを確認しておきましょう。

社員の負担が減り、コア業務に集中できる

先に述べたとおり、キッティングはたとえ1台であっても人員・場所・時間のリソースを必要とします。そのため、社員にとって大きな負担を感じる作業なのです。

また、1年に何度も行う作業ではないので、社員に知見やスキルが蓄積されにくいともいえます。そのため、外注することで社員の負担を減らし、コア業務に集中できる環境をつくることができます。

適切なセキュリティ設定ができる

企業で従業員がPCを使う際、セキュリティには十分配慮する必要があります。社員がPCを使い始める際にセキュリティソフトをインストールさせるなど、セキュリティ対策を行うことを定めている企業は多いと思われます。

しかし、内製でPCのセキュリティ対策を行うと、設定の抜け漏れが発生する可能性があります先ほども述べたとおり、PCのキッティングは年に何度も行うわけではなく、会社の従業員はキッティングのプロでもありませんので、ノウハウが蓄積されにくいからです。

そこで、PCのセキュリティ設定を外部に依頼すると、プロのノウハウで設定や検品を行ってくれますので、設定の抜け漏れの心配がありません。内製でPCのセキュリティ対策を行うよりも、適切なセキュリティ対策がなされます。

導入後、すぐに使える

キッティングをアウトソーシングすれ自社で対応する場合に比べてスムーズに進み、デバイスが届き次第、即稼働させられます

また不具合が起こっても、アフターサービスが充実している業者であれば素早い対応が期待できます

キッティングサービスの選び方

キッティングサービスを提供している会社は数多くあります。そのため、外注しようと考えてもどんな観点から選んだらよいか迷ってしまうかもしれません。

そんなときに備えて、キッティングサービスを選ぶポイントを紹介します。

料金で選ぶ

外部サービスを選ぶ際、やはり気になるのは料金です。自社が無理なく依頼できる料金であるか確認しましょう。

料金体系によっては、依頼するデバイスの台数が多ければ多いほど1台当たりの料金が安くなります。依頼する台数を把握したうえで各社の料金をチェックし、比較しましょう。

対応範囲で選ぶ

キッティングのアウトソーシングでは、PCの梱包を開けるところから各種設定、動作確認まであらゆる作業を依頼できます。とはいえ、サービスによって対応できる範囲が変わるので、まずはどこまで対応してほしいのかを自社で明確にしておくことが求められます。

そのうえで、各サービス提供会社の対応可能範囲をチェックしましょう。対応できるサービスは各ホームページに記載されています。

対応可能台数と納品までの期間で選ぶ

キッティングのアウトソーシングは、サービスによって対応可能台数や納品までの期間が異なります。そのため、料金で選ぶ場合と同様に依頼台数をあらかじめ踏まえておく必要があります。

また、納品希望日が決まっているのであれば、納品の早い業者に頼むこともソリューションの一つです。しかし、年度末など依頼が殺到する時期もあるので、ある程度スケジュールに余裕を持って依頼することも大切です。

セキュリティ対策で選ぶ

キッティングは会社の機密情報を扱う場合もあるため、作業環境のセキュリティ対策が万全な企業を選ぶことも重要です。

キッティングを取り扱う会社がどんなセキュリティ対策を講じているのかを確認しておきましょう。具体的な例としては、作業場にセキュリティカメラキーロックがついている、警備会社と契約しているなどが挙げられます。

作業場所で選ぶ

キッティングサービスを提供している会社の中には、全国各地ではなくエリア限定で対応しているサービスもあるのでチェックが必要です。

しかし、中には遠方であってもリモートで対応してくれるケースもあるので、作業方法を確認しておきましょう。

キッティングおすすめサービス6社

ここからは当サイトがおすすめする、キッティングサービスを提供している会社を紹介します。

オーダー!

オーダー!

オーダー!は物流関連の代行サービスを手掛けています。特に「物流サービス」はカスタマイズサービスを取り扱っており、お客様が必要としているサービスをヒアリングしたうえで対応します。このサービスを利用することで、キッティングを外注できます。

オーダー!の強みは、手間のかかる作業も個別で対応できる点です。キッティングには、ラベルの貼付や各種チェックなどの細かい作業も含まれますが、オーダー!ではこれらも受注可能です。

さらに、Wi-Fi設定やソフトのインストール、初期設定といったセットアップも依頼できます。PCやスマホの依頼はもちろんのこと、特にIoT機器やKIOSK端末のセットアップ依頼が多く、豊富な実績があります。

特徴
  1. 手間のかかる作業も個別対応できる
  2. loT機器やKIOSK端末の豊富な実績
  3. 丁寧なヒアリングを実施
サービス内容組み立て、動作確認、通電確認など
対象デバイスPC、スマホ、IoT機器、KIOSK端末など
対応エリア要問い合わせ
対象従業員規模要問い合わせ
参考価格要問い合わせ

ここで、実際にオーダー!のキッティングサービス事例を見ていきましょう。

大手SIer関連企業様の事例

業種:IT
依頼内容:ネットワーク機器の設定・構築
納期:依頼から5日

クライアントが県の防災系システムを受注し、そのネットワーク機器の設定・構築をオーダー!が受託しました。クライアントが開発を進める中で、オーダー!にロジスティクスの実績があることを知り、キッティングも依頼いただいたのです。

5日間という大変短い期間での納品という条件で、クライアントは自社で人員を確保し、期限内にキッティングができるのかという課題を抱えていました。そこで、キッティングをアウトソーシングする決断をされたそうです。

(依頼内容)
デバイスと台数:スマホのキッティング300台
作業フロー:メーカーからオーダー!の倉庫に300台のスマホを直接納品。キッティング作業後に指定先へ納品する。

キッティング作業は以下のものを含んでいました。

  • 液晶保護フィルムの貼付
  • SIMカードの通電
  • スマホへテプラを貼付し、個体管理を行う
  • 個体管理するため、端末番号台帳も作成
  • その他、サーバーや固定電話用にテプラ(1万2千枚分)を用意 ※作業期間3日間

短い期間の中で手間がかかる作業を行い、なおかつミスが許されないという状況でしたが、豊富な実績を元に納品まで無事に遂行しました。

今回のクライアントの特徴は、作業量が非常に多いことです。このように量があまりにも多いために手に余る、という状況をスケジューリングして進めることにオーダー!は慣れており、得意としています。

また、大量のデバイスに対して作業を行うためのスペースも確保できます。商品や部材などは、購入先(メーカー)から直接倉庫に入れるほうが輸送コストの削減になりますので、おすすめです。

オーダー!は自社にて倉庫を保有しており、そちらでキッティングを行っています。キッティングの際には各メーカーや工場などからPCやパーツ、ソフトなどを倉庫へ直送してもらい、そこで各種作業を行い梱包して発送します。

一方、内製でキッティングを行う場合は一度会社にPCやパーツ、ソフトなどを集め、キッティング作業後にまた物流倉庫へ送って保管。それからエンドユーザーへ配送する、という工程を経ることになります。

オーダー!にキッティングをご依頼いただければ、この物流の工程を省け、キッティングにかかるコストを削減できるのです。

ヤマトシステム開発株式会社

ヤマトシステム開発株式会社

ヤマトシステム開発株式会社は、「クロネコヤマト」でおなじみのヤマトホールディングス株式会社傘下にある企業です。

特徴
・アウトソーシングの実績は30年以上
・顧客の要望だけでなく現状業務をあわせてヒアリングし、課題を整理

サービス内容クローニング、各種ソフトウエアインストール、ネットワーク設定、暗号化設定、各種ラベル貼付など
対象デバイスPC、スマホ、プリンター、ハンディスキャナ、ディスプレイなど
対応エリア要問い合わせ
対象従業員規模要問い合わせ(「大規模なキッティングにも対応可能」との記載あり)
参考価格要問い合わせ

ウチダエスコ株式会社

ウチダエスコ株式会社

ウチダエスコ株式会社は、オフィス用品事業や情報関連事業でおなじみの株式会社内田洋行の傘下にある企業です。

特徴
・大規模なスペースを確保しており、大量のキッティングにも対応可能
・ICカード、顔認証システム、防犯カメラを導入しており、セキュリティ対策も万全

サービス内容入荷・保管、クローニング、個別設定、動作確認、ラベル貼付など
対象デバイスPC、タブレットなど
対応エリア要問い合わせ
対象従業員規模要問い合わせ
参考価格要問い合わせ

株式会社アイエスエフネット

株式会社アイエスエフネット

株式会社アイエスエフネットは、ITインフラ構築やクラウドソリューションなど企業のIT環境全般を支援する企業です。

特徴
・大規模なスペースを確保しており、発送作業までワンストップで対応可能
・地方や海外からの依頼にも対応可能
・従業員には定期的にセキュリティ教育、コンプライアンス教育を行っているため安心して依頼できる

サービス内容ハードウエア設定、OSセットアップ、環境設定、各種インスール、動作確認、ラベル貼付など
対象デバイスPC、タブレット、スマホなど
対応エリア地方や海外も対応可能
対象従業員規模要問い合わせ
参考価格要問い合わせ

SBフレームワークス株式会社

SBフレームワークス株式会社

SBフレームワークス株式会社は、ソフトバンクグループ傘下の企業です。

特徴
・さまざまな要望に対応可能
・希望する場所にPCなどの設置をするオンサイトサービスも実施

サービス内容ネットワーク設定、BIOS設定、クローニング、個別設定など
対象デバイスPC、タブレット、スマホなど
対応エリア要問い合わせ
対象従業員規模要問い合わせ
参考価格要問い合わせ

ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社

ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社

ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社は、IT関連商品のディストリビューターであるDISグループ傘下の企業です。

特徴
・あらゆるデバイスに対応可能
・動作チェックや梱包物チェックを含む、包括的な品質検査にも対応可能

サービス内容構成確認、オプションパーツの組み込み、動作チェック、OSインストールなど
対象デバイスPC、タブレット、スマホなど
対応エリア要問い合わせ
対象従業員規模要問い合わせ
参考価格要問い合わせ

キッティングのまとめ

キッティングをアウトソーシングすることによって、効率的なキッティングが叶い、コア業務に集中できます。ぜひオーダー!の物流サービスをご検討下さい。

スマホのキッティングについては以下の記事により詳しくまとめています。

パソコンのキッティングについては以下の記事により詳しくまとめていますので、参考にしてください。