近年、新たな販売方法としてライブコマースが注目を集めています。ライブコマースとはライブ配信を通じてユーザーの商品購入を促す販売方法で、すでに資生堂やイオン、ビックカメラといった、多くの人気企業が取り入れています。
本記事では、ライブコマースのメリット・デメリットと、配信を行う際の注意点を4点、ご紹介します。これからライブコマースを始めてみようと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
ライブコマースとは
ライブコマースとは、ライブ配信を通じてユーザーの商品購入を促す販売方法です。自社サイトやSNS、専用のプラットフォーム上で行われ、視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介。自社のECサイトへ誘導します。
ライブコマースと似た販売方法に、テレビショッピングがあります。テレビショッピングでも、ライブコマースと同じように実際の使用感やリアルな感想を伝えることができます。
しかし、テレビショッピングではコミュニケーションが一方通行である他、莫大な広告費や成果報酬がかかることから、ライブコマースを採用するECサイトが増えています。
ライブコマースが注目される背景
ライブコマースは、2017年に登場して以来、じわじわと注目度を上げています。その背景には、コロナ禍による「ECサイトの売上増加」「ライブ配信の需要アップ」があります。
ECサイトの売上増加
まず、EC市場の拡大があげられます。経済産業省の調査によると、2021年のBtoC-EC市場規模は20.7兆円に達し、前年比7.35%の増加が見られました。
BtoC-EC市場拡大の理由は、新型コロナウイルスによるインターネット通販の需要の高まりです。外出自粛により実店舗に足を運びづらくなった結果、その代わりとしてインターネット通販を利用する人が増えました。
こうした消費行動のデジタル移行は、アパレルや化粧品など、接客サービスが重要視されていた業界にとっては打撃となりました。そこで注目されたのがライブコマースです。ライブコマースでは、実店舗での接客と同様、消費者の声を聞きながら商品を紹介できます。
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
ライブ配信の需要アップ
ライブ配信視聴者の増加も、ライブコマースが注目される要因の一つです。
InstagramやFacebook、YouTubeなど様々なプラットホームにライブ配信機能が実装されており、ライブコマースに関わらず、多様なジャンルのライブ配信視聴者が増加しています。
さらにコロナ禍によって、家でできる娯楽の需要が拡大。ライブ配信もその一つで、2021年のライブ配信を含む動画配信市場規模は4,230億円と、前年比14%の増加を記録しました。
こうしたライブ配信市場の成長は今後も続くと考えられており、2026年には5,250億円に達すると推測されています。
出典:デジタルコンテンツ協会「動画配信市場調査レポート2022」
ライブコマースの市場規模
日本国内ではライブコマースになじみがない人も多いようですが、海外ではすでにライブコマース市場は急成長しています。海外のライブコマース市場の状況や、日本の市場が拡大する見込みはあるのか、見ていきましょう。
海外ではすでに急成長している
海外ではすでに、ライブコマース市場は急成長しています。
特に中国市場の拡大は顕著で、インターネット人口の半数以上がライブコマースで商品を購入したことがある、といわれています。
中国のライブコマース市場の具体的な数値を見ると、2021年には前年比90%増の約33兆9,150億円に達している可能性が高く、いかにライブコマースが盛り上がっているかがわかります。
出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国)」
日本は拡大の見込みあり
次に日本のライブコマースの状況を見てみましょう。
世代別のライブコマース利用状況を確認すると、利用者の8割近くが20〜30代であり、人気はまだまだ一部にとどまっているようです。
ですが、国内のEC市場やライブ配信市場が拡大していることから、それに伴ってライブコマース市場も拡大していくと予想されます。また、レイトマジョリティの参入が見込まれる段階でもあるので、日本でも中国のようにライブコマース市場が急成長を見せる可能性もあるでしょう。
ライブコマースの購入層
前述したように、ライブコマースの利用者は20〜30代が中心です。また、株式会社ネオマーケティングが実施した調査によると、ライブコマース利用者のうち60.5%は「もともと商品の内容まで知っていた」と回答しています。つまり、ライブコマースの購入層は、もともと商品に対する興味があり、かつ商品についてよく知りたいと思っている層が多い、ということです。
加えて、ライブコマース利用者と非利用者の間では、消費行動に対する意識に差があることがわかっています。ライブコマース利用者の商品購入前のサンプル利用率は、非利用者と比べて20%以上高い50%を示しています。
他にも、購入前にレビューを検索する割合や、他の人に相談する人の割合も、非利用者より約15ポイント高い結果となっています。
ライブコマースでの購入を考える商品は、普段からネット通販で購入しているジャンル、もしくは店舗では買えない商品が多い傾向があります。これは、ネット通販の商品に対する懐疑心からくるものだと思われます。
また、販売者の熱意や人柄に惹かれて購入した、という層も一定数いることから、今後のライブコマースの拡大には、楽しく丁寧な説明をしてくれる配信者の存在が鍵となってくるでしょう。
出典:
ネオマーケティング株式会社「全国の20歳~69歳の男女1000人に聞いた『ライブコマース成功のカギ その1』」
株式会社ポポホールディングス「POPO調べ、ライブコマースで買ってみたい・買いたくないもの調査 ライブコマースで消費者が期待する商品・アイテム5つも同時発表! ーライブコマース利用経験は5.5%、20代・30代で8割ー」
ライブコマースのメリット
ライブコマースの主なメリットは、以下の3つです。
これらのメリットは、ライブコマースのどのような特徴に起因し、どのような効果をもたらすのでしょうか。以下で解説します。
臨場感のあるコミュニケーション
ライブコマースではコメント機能を使い、リアルタイムで配信者に質問できます。そのため、オンラインでありながら、実店舗で店員と会話しているような感覚が得られます。
一方、配信側にとってもユーザーのリアルな声を聞けるという点はメリットです。リアルな声からニーズを探り、施策に活かしていけるでしょう。
加えて、広告動画やキャッチコピーなどの一方的な宣伝に比べ、双方向性のあるライブコマースは親近感がわきやすく、信頼感や購買意欲の上昇にもつながります。
商品の魅力が伝わりやすい
商品の質感やサイズ感や使い方など画像や文章だけでは伝わりにくい部分も、ライブコマースならわかりやすく伝えられます。さらに、配信者のリアルな表情や身ぶり手ぶりも、商品の魅力を視聴者にダイレクトに伝える効果があります。
新しい客層の開拓
ライブコマースでは、フォロワー数が多いインフルエンサーやライバー(ライブ配信で収入を得ている人)を起用することが多々あります。インフルエンサーやライバーを起用する最大のメリットは、ファンがライブコマースを見に来てくれる点です。配信者目当ての視聴者は、もともと商品のことを知らなかった層も多いと考えられるため、新しい客層の開拓が期待できます。
ライブコマースのデメリット
ライブコマースは、事前準備の手間・コスト面と、ライブ配信者のスキル面でデメリットが発生しやすい特徴があります。詳しく見ていきましょう。
事前準備に手間・コストがかかる
テレビショッピングよりコストは安上がりであるものの、ライブコマースでも、設備や事前告知などにある程度の手間やコストはかかってしまいます。具体的には、以下のものを準備する必要があります。
- 配信機材(カメラ、マイク、照明など)
- 配信システム
- 通信環境
- 配信トラブルマニュアル
- 商品在庫 など
またライブコマースは広告と違い、視聴者に能動的に見に来てもらう必要があるため、事前にSNSやWebサイトなどでライブコマースの宣伝をしなければなりません。
ライブ配信者のスキルや経験が必要
ライブコマースでは、タイムキープをしながら配信する必要があります。また、視聴者を飽きさせないために途中でコメントを拾ったり、雑談を挟みつつ場を盛り上げたり工夫しなければなりません。これらを滞りなく行うには、ライブ配信のスキルや経験が必要です。
そのため、配信のプロであり、集客力もあるインフルエンサーやライバーに配信を依頼する企業も多いようです。ですが、社員の配信にもコストが安い、熱意が視聴者に伝わる、生産者の顔が見えて信頼性が高まるなどのメリットがあります。
ライブコマースの注意点
ライブコマースをスムーズに、より効果的に行うには、以下の4点に注意しましょう。
それぞれ、具体的な対策や注意点を解説していきます。
1.配信中の不具合
ライブ配信では、集客人数とサーバー、システムの許容量がマッチしていなければサーバーダウンや不具合が起こる可能性があります。さらに、通信回線やマイク、カメラなど機材のアクシデントによって配信が中断するなど、配信にはトラブルが付きものです。
これらのトラブルを防ぐために、有線LANを使う、スペックの高いパソコンを使う、テスト配信を行うなど、周到に事前準備をしましょう。万が一トラブルが起こったときのために、代わりの機材を用意しておくとより安心です。
2.集客
先ほど軽く触れたように、ライブコマースでは事前準備として、事前告知など集客のための施策を行わなければなりません。メルマガやSNS、プレスリリースなどで宣伝するのも効果的ですが、毎週決まった曜日、時間に配信することで、宣伝を見ていなくても配信に来てもらいやすくなります。
反対に、時間帯や曜日を変更しながら、視聴者層を分析するのも一つの方法です。分析結果をもとに、商品のターゲットに合わせて配信時間を変更すれば、ライブコマースの宣伝効果を高められるでしょう。
その他、配信時間に限定セールを行うことで注目度が上がり、実際に購入する視聴者も増えると考えられます。
3.配信者の言動
ライブコマースはカットや編集ができないため、ライブ配信が終わるまでの一部始終が放送されます。そのため、配信者の言動やリアクションに気を配らないと、炎上につながる可能性があります。
また炎上には至らなくても、配信者が商品の魅力を理解できておらず、不満げな態度や批判的な言動を取ってしまうと商品に対する不信感が強まってしまいます。配信者(インフルエンサー)の選定は慎重に行いましょう。
社員が配信する場合は、台本を用意したり、リハーサルを行ったりして経験不足を補うよう意識してください。
4.倉庫管理と配送
ライブコマースは、配信中にもっとも注文数が増えるといわれています。短時間で注文が集中するなか、スムーズに商品を届けるには、倉庫管理と物流体制を整えることが重要です。
とはいえ、物流のプロである我々の視点から見ると、専門外の人がそれらの対応を行うことは非常に困難です。フォロワー数の多いインフルエンサーを起用したときなど、注文が集中すると予想される場合は、倉庫と配送のプロへの外注が必須といえるでしょう。
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このようにオーダー!では、お客様のお悩みや要望に合わせたカスタマイズ対応も可能です。
ライブコマースのまとめ
ライブコマースとは、SNSなどのライブ配信で商品を紹介し、自社ECサイトへと誘導する販売手法のことです。国内ECサイト市場やライブ配信市場の拡大に伴い、日本での注目度も徐々に高まりつつあります。
そんなライブコマースの魅力は、配信者とコミュニケーションを取れる臨場感や、起用したインフルエンサー経由で新規顧客開拓の見込みがある点です。ですが、ライブ配信であるゆえに、機材トラブルや失言には細心の注意を払う必要があります。
また、注文が殺到すると倉庫管理や発送業務が滞ってしまい、顧客満足度の低下につながってしまいます。そんな事態を防ぐためにも物流の外注は必須といえるでしょう。
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物流全般は以下の記事で詳しくまとめていますので、併せて参考にしてください。