近年、アパレルEC市場が拡大し、新規ECサイトが続々と参入しています。
しかし、アパレル商品は特有の検品や保管方法などがあり、在庫管理が難しい点が特徴です。「どうすれば、より効率的に在庫管理ができるのか」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、アパレル在庫管理の悩みを解決する5つの方法やノウハウを紹介しています。
読後には具体的な解決方法が分かり、お悩みが解消されているはずです。ぜひご一読下さい!
なお、その他のアパレル物流の課題に関しては、以下の記事を参考にしてください。
アパレル在庫管理の課題
まず、アパレル在庫管理の課題を確認していきましょう。
需要予測が難しい
最初の課題は需要予測の難しさです。アパレル業界では、約1年前から次のシーズンの商品企画・制作が始まります。その際に需要予測も行いますが、全ての予測が当たるわけではありません。トレンドの読みが外れた場合、過剰在庫を抱える可能性があります。
近年はSNSの広がりによって、トレンドの移り変わりがよりスピーディーになりました。このため需要予測がさらに難しくなり、見誤るとシーズン中であっても売れ残りが発生。残った商品の価値が低下してしまいます。
売れ残りの商品は在庫スペースを圧迫し、処理コストもかかります。過剰在庫はできる限り避けたいですね!
SKU数が多い
アパレルの特徴は、SKU数(在庫管理上の最小の品目数を数える単位)が非常に多いことです。レディース、メンズ、キッズなどに分かれているうえ、同じ商品でもサイズ違いや色違いが存在します。
さらに、アパレル業界は春夏と秋冬の2シーズンに分かれており、1年通して販売できる商品がありません。よって、多くの在庫が生まれやすく、在庫管理も難しくなるのです。
流通加工・検品・返品に手間がかかる
流通加工・検品・返品対応が手間になる点もアパレルの特徴です。
例えば着用時のサイズ違いや画像と実物のイメージ違いなどで、アパレルECは返品業務が高確率で発生します。
また、アパレルならではの流通加工も労力が必要です。生地の汚れやほつれ・破損確認、サイズやカラー確認はもちろん、タグ付けやラッピング作業などを行う場合もあります。
さらに、対応スタッフの経験年数によって、作業工数やスキルに差が出ることも。作業の質を一定に保ちづらい点も課題といえるでしょう。
流通加工(物流加工)業務の詳細は以下の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。
在庫の一元管理が難しい
最後の課題は、在庫の一元管理が難しいことです。現在のアパレルECは、オムニチャネルが主流になっています。よって、各チャネルの在庫情報が連携されていないと欠品が発生し、販売ロスに繋がりかねません。
アパレルECにおいて在庫管理の一元化は必要であるものの、課題にもなりやすいのです。
アパレルの在庫管理に関する詳細は以下の記事にまとめていますので、併せて参考にしてみてください。
アパレル在庫管理のノウハウ
ここまでアパレル在庫管理の課題を確認してきましたが、改善に繋がるノウハウとはどんなものなのでしょうか?この章では3つのノウハウを紹介していきます。
適正な在庫量を保つ
まず紹介するのは、適正在庫を保つことで保管する在庫を減らし、スペースや保管コストを削減する方法です。
基本的な適正在庫の計算方法は以下の通りです。
適正在庫=安全在庫+サイクル在庫
※安全在庫:欠品防止のため用意しておく、必要最低限の在庫数
※サイクル在庫:商品の次回納品までの需要に対応する在庫数
サイクル在庫は、1日の平均出荷数×調達期間で計算します。例えば1日平均10着出荷され、次回納品まで5日かかる場合は、10着×5日=50着です。
さらに、経営的な視点から適正在庫を出す場合は、在庫の回転率から算出します。在庫回転率は、一定期間に何回在庫が入れ替わったかを示す数値です。
在庫回転率は、年間、または月間の売上原価÷平均在庫金額で算出できます。
このように数値化することで、在庫の動向がつかみやすくなるのです。
属人化の脱却
次のノウハウは属人化の脱却です。業務の属人化とは、ある業務の詳細や進め方を特定のスタッフのみが把握していること。アパレル在庫管理では、特にアナログな管理方法によって業務の属人化が起こりやすくなります。
この状態を脱却するには、在庫管理システムの導入が効果的です。在庫管理システムを導入すると、倉庫内でアイテムの位置を把握でき、顧客対応もスムーズになるでしょう。
さらに、リアルタイムで正確な在庫把握や管理が可能になるので、販売ロスや在庫過多も防げます。属人化の脱却によって、どの従業員も在庫状況を把握し、より簡単に在庫管理を行えるようになるのです。
在庫スペースの整理
最後にシンプルな方法ではありますが、在庫スペースの整理も大切です。
例えば、以下の整理を行うと在庫の出し入れがしやすくなります。
・レディース、メンズ、色、サイズごとに分類し、決められた場所に保管する
・シーズンの売れ筋商品に合わせて保管庫のレイアウトを変更する
レイアウトを変更した際は、誤配送を防ぐため必ずスタッフへの共有を行ってください。在庫スペースを整理、見える化することで作業効率が上がります。
アパレル在庫管理の具体的な方法・ツ-ル5選
次にアパレル在庫管理の具体的な方法や、おすすめのツールを紹介します。
1.在庫管理表(エクセル、Googleスプレッドシート)
一つ目はExcel(エクセル)やGoogleスプレッドシートを利用した管理法です。
在庫管理表を無料で作成でき、且つあらたにシステムを導入する必要がないのですぐに導入可能です。ただし、商品の品目が多くなるとともに、入力ミスも増えやすくなるデメリットもあります。
SKU数が増加し、人的ミスが多発したり、リソース不足により在庫入力が後回しになったときはシステム導入を検討しましょう
在庫管理をエクセルで行う方法を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2.RFID
二つ目はRFIDの活用です。RFIDは、「Radio Frequency Identification」の略称です。特殊な微小アンテナを搭載したICチップ(タグ)から出る電波を利用し、非接触で商品情報を読み取ります。
タグ内の情報容量がバーコードより大きく、汚れに強い点が特徴です。
複数のタグを一括で読み込め、距離のあるところ(数mから数十mの距離)からの読み取りも可能。バーコードのような商品を1つずつ仕分けながらの作業は不要です。
しかし、バーコードに比べ、RFIDタグ1枚あたりの導入コストが高い点がデメリットです。
3.需要予測ツール
次に紹介するのは需要予測ツールです。需要予測ツールにはAIが搭載されており、トレンド予測の精度を上げることができます。
【AI技術による分析方法】
・AI時系列分析 時間経過とともに変化する時系列データを分析します。時系列データは、トレンド、季節変動、不規則変動、循環変動から成っており、過去の売上データの分析などから需要予測が可能です。 ・AI画像認識分析 AIに画像を認識させ、その画像の中にどのような情報が入っているか、その内容が事業にどう紐づくかなどを分析させます。画像からトレンドのヒントになるものや、消費者の購買行動に関係する情報を読み取ることができます。 |
これらの分析方法を搭載した、SNS分析ツールも存在します。どのアイテムの着用がいつ増加したかを把握でき、人気のアイテムや適したアイテム販売期間が分かります。
AIの活用でユーザーのニーズをつかみやすくなります。顧客満足度アップも期待できますね
4.在庫管理システム・アプリ
四つ目のツールは在庫管理システムです。システムに慣れるまで時間はかかりますが、商品や在庫、入出荷情報を入力することで過剰在庫や欠品を防止でき、一元管理による業務効率化が見込めます。
在庫管理システムのメリットは、以下の通りです。
・ハンディターミナルとの連携で、入力作業や棚卸作業を効率化できる
・倉庫管理システムとの連動で、倉庫内の商品の場所がすぐにわかる
・在庫情報をリアルタイムで共有できる機能
システム導入の際は、サポートが手厚いサービスを選ぶと安心です。トラブルや不具合が生じたときの対応が早い、成果が出るまで支援を実施している、など各システムのサポート範囲を確認してみましょう。
在庫管理システムの比較ポイントと、おすすめシステムが知りたい方は以下の記事をご覧ください。
在庫管理のアプリについては以下の記事を参照ください。
5.アウトソーシング
ここまで自社で行う在庫管理方法を紹介しましたが、アパレルに強い物流会社に在庫管理を委託する手もあります。
物流会社には在庫管理のノウハウが蓄積されており、専用システムによる在庫・顧客管理が可能。自社で行うよりスムーズな管理が期待できます。
自社オフィス内で在庫を保管している場合は、在庫スペースの問題も解決します。
おすすめのアパレル物流会社については以下の記事を参考にしてみてください。
アパレル在庫管理のアウトソーシング・よくある質問(FAQ)
この章では、アパレル在庫管理の委託を考えている方向けに、利用時のよくある質問(FAQ)に答えていきます。
- Qアウトソーシングに切り替える目安はありますか?
- A
在庫管理の代行を検討する際は、「取り扱い商品100アイテム」を目安にするとよいでしょう。これは物流のプロである弊社(オーダー!)の代行実績から割り出した目安です。
100アイテム以内で販売しているECショップは、楽天、Yahoo!、その他複数の販売チャネルを利用しているケースが大半です。在庫管理に対して課題意識が高いショップは、自社に合った在庫管理システムを導入している一方、ほとんどのショップはExcel(エクセル)で在庫管理しています。
このため多くのショップで入力ミスによる在庫のズレが生じ、注文が入っても在庫がない状況が起こります。そして、その在庫修正に人件費をかけ、毎週末棚卸を実施しているのです。
このことからオーダー!では、「Excelで管理できるアイテムはおよそ100アイテム以内」と考えます。
くわえて、自社で物流を運営している場合でも、コスト(原価)が見えていない事業者が多いとも感じています。アウトソースによって物流コストは明確になります。正確な在庫管理が叶い、販売などに専念できるのです。
また、特に中小企業では従業員が商品をサンプルとして持ちかえるなど、何かと在庫が合わないことが起こります。その点もアウトソースなら管理が明確で安心です。
内製では精度・ミスの原因追及、再発防止や改善に甘さが出てしまいがちですが、代行には責任の所在を明らかにできるメリットもあります。
- Q委託がうまくいくポイントはありますか?
- A
委託がうまくいくポイントは密なコミュニケーションです。業者と以下の情報を共有してみましょう。
在庫情報:売れている商品、残っている商品を綿密に確認することで、販売方針(戦略)を立てられます。例えば、売れると見込んでいたアイテムの売れ残りが分かると、生産数の調整やアイテムの改良ができます。
アイテムごとの保管方法や特徴:新アイテムの販売ごとに適した管理方法を共有し、商品の不適切な保管を防ぎます。
- Q在庫管理以外にやってもらえることはありますか?
- A
商品発送とそれに伴う、梱包、流通加工などを依頼できます。また、業者によっては物流全般のコンサルティングやEC運営を請け負ってくれる場合もあります。
- Q棚の在庫管理をうまく行いたいのですが、おすすめの方法はありますでしょうか?
- A
棚と合わせて倉庫レイアウトを見直すことをおすすめします。棚だけに視点を置くのではなく、倉庫内で商品や資材を効率的に保管し、受注処理や出荷作業をスムーズに行うことができます。
詳しくは以下の記事にまとめていますので、参考にしてみてください。
アパレル在庫管理の代行はオーダー!におまかせ
オーダー!は、EC企業の成功を実現するビジネスコンシェルジュです。
物流サービスでは現在、個別相談メニューを提供中。メニュー内で、ECサイト商品の在庫管理や発送を請け負っています。
【その他の対応可能業務】
・海外向け発送
・検品代行
・物流業務プロセス見直しコンサルティング
・物流システム導入 など
さらに、ECサイト運営から発送代行までの包括的なサポートも可能です。
【EC+物流・トータルサポートのメリット】 ・在庫管理、顧客情報を専用システムで管理できる ・在庫管理ミスを削減できる ・ECサイト担当者 ・倉庫管理者間のコミュニケーションコストを削減できる ・本来力をいれるべき業務や、新規の施策などに集中できる |
オーダー!のアパレル在庫管理事例
過去の導入事例として、子供服を取り扱うアパレルEC会社様の在庫管理代行業務を紹介します。在庫管理以外に、クライアントが自社で行っていたピッキング・検品・配送も一括で代行させていただきました。
オーダー!導入前には以下の課題が存在していました。
・作業スペースが狭くて作業がしにくい、商品置き場がない
・セール時の注文が多く、出荷が間に合わずクレームに
・パート雇用者の経験不足でミスが発生
しかし、導入後は細かいオペレーションもミスなく行われるようになり、通常対応だけでなくプレゼント包装などイレギュラー対応も可能になりました。
アパレル在庫管理のまとめ
今回はアパレル在庫管理の課題、管理方法について紹介しました。
アパレル商品は、アイテム数の多さとアパレル特有の保管方法により、在庫管理が煩雑になりがちです。本記事で紹介した具体的なノウハウやツールを参考に、効率的な在庫管理方法を探してみましょう。
オーダー!では、アパレルEC業務代行の豊富な実績を基に、在庫管理を含むさまざまな作業をサポートしています。アウトソーシングが気になった方は、ぜひお問い合わせ下さい。
なお、アパレルECについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
多機能な物流倉庫を活かし、アパレル物流にかかるコストを削減し、効率的な生産工程を構築します
「在庫スペースが不足している…」
「物流コストがかさむ…」
「在庫管理ミスが多発している…」
オーダー!のアパレル物流サービスが、貴社の物流コストを削減し、効率的な在庫管理を実現します!商品の保管や発送、検針・検品、補修などの加工業務を一括して行うことで、業務の効率化を図ります。
オーダー!が選ばれる理由
- 多品種小ロット、SKU単位での在庫管理
- アパレル専用の保管・梱包で品質を守る
- 返品を減らす流通加工でコスト削減
オーダー!は一緒に課題を解決するパートナーとして伴走し、貴社の業務効率化を実現します。数多くのクライアント様に導入いただいている実績があります。
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