近年、アパレルEC市場が拡大しています。新規ECサイトが続々と参入していますが、実際にアパレルECを立ち上げるには、どのようなアクションが必要なのでしょうか。

そんな疑問に答えるため、本記事ではアパレルECの立ち上げに必要な6つのステップや注意ポイントを紹介しています。読後には、

  • アパレル業界の市場規模や業界動向が気になる
  • アパレルECを始めるうえでの具体的アクションが分からない

といったお悩みが解消されているはずです。ぜひ参考にしてください!

なお、その他のアパレル物流の課題に関しては、以下の記事をご参考ください。

アパレルECの市場規模と動向

アパレル業界の動向

まずは、現在のアパレル業界の動向を把握しましょう。

国内のアパレル市場は減少傾向

実は近年、日本国内のアパレル市場は減少傾向にあります。

経済産業省の調査によると、国内のアパレル供給量はバブル期以降倍増していますが、国内の市場規模は約15兆円から10兆円ほどに縮小しています。

この背景には二つの要因があると考えられます。

一つは、2000年前後から続く経済悪化で国民の消費動向が減少したこと。もう一つは、モノへの執着が少なくなり、高級衣料品が売れにくくなったことです。

この動向を見るとアパレル市場の先行きが暗く感じるかもしれません。しかし、アパレルEC市場に目を向けると、アパレル市場とは異なる動向を確認できます。次項より詳しく説明します。

出典:経済産業省「繊維産業の現状と経済産業省の取組」

アパレルEC市場は右肩上がり

アパレルEC市場はアパレル市場とは異なり、右肩上がりに拡大しています。

アパレルECを含む、物販系分野の市場規模・EC化率の推移グラフを見てみましょう。物販系ECのBtoC市場は年々増加し、同時にEC化率も上昇。2013年と比較すると2倍以上に増えています。

物販系分野(BtoC)のEC市場規模・EC化率の推移
(市場規模の単位:億円)

アパレルEC市場
出典:経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査」

また、衣類・服飾雑貨に限定した場合のEC市場規模とEC化率は以下の通りです。

2020年と2021年を比較するとコロナによる外出自粛も影響し、EC化率・市場規模ともに増加。アパレルECの拡大傾向が分かります。

出典:経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査」

なぜアパレルEC市場は拡大しているのでしょうか。以下で詳しく説明します。

アパレルEC市場が拡大している理由

アパレルEC市場が拡大している理由は、主に2つあります。

1.デジタル化が進んだこと

現代はスマホやPCで、いつでもどこでも手軽に買いものができるようになりました。

例えば仕事が忙しくて店舗に行けない人や、地方在住で都心部まで行かないと目当てのものが買えない人が、アパレルECを利用しています。

2.コロナ禍の影響

もう一つはコロナ禍の影響です。消費者の店舗に行く機会が減少したため、アパレルメーカーがECサイトでの販売に力を入れ始めたのです。

以上のアパレル業界の動向から、今後は以下の施策が有効といえるでしょう。

・海外展開:国内のみならず海外の消費者へと販路を広げる

・IT・デジタルを活用した販売:SNSなどを活用し、より多くの人に自社商品をアプローチ。さらなる集客を目指す

越境ECが気になる人はこちらの記事を参考にしてください。

アパレルECの種類

アパレルECの種類

次に、アパレルECの種類について解説します。

BtoC向けのECサイト

BtoC向けのECサイトは、企業から一般消費者に向けて提供されるショッピングサイトでモール型・ブランド直営型・個人経営型に分かれます。それぞれの特徴を確認しましょう。

モール型

モール型は、多くのアパレルブランドを取り扱う大規模ECサイトです。

自社製品をモール側が販売してくれるため、自社でサイト構築せずともすぐに出店が可能。しかし、その分モールに手数料を支払わなければなりません。

例:楽天市場、ZOZOTOWN など

ブランド直営型

ブランド直営型は、ブランドが直接ECサイトを運営する「D2C」という仕組みです

仲介業者を通さないため、利益率が高く、運営自由度も高い点がメリット。一方、自社でECサイトの構築やブランディングをしなければならず、その分のリソースとコストが必要になります。

例:BULK HOMME(化粧品)、COHINA(アパレル)など

個人経営型

個人経営型はネットショップ作成サイトなどを利用し、個人でショップを運営します。初期費用は抑えられますが、自力での集客が必要な点と他ショップとの差別化が難しい点がデメリットです。

例:BASE、STORES など

CtoC向けのECサイト

CtoCとはCustomer to Customerの略称で、個人間取引のことです。

フリマアプリ

近年拡大しているフリマアプリもCtoC取引の1つです。基本的に個人所有品を売るため、在庫を抱えたりECサイトを立ち上げる必要がありません。

例:メルカリ、ラクマ など

ネットオークション

個人所有品をより高額で売りたい人に向いているのが、ネットオークションです。取引が成立すると、運営側に手数料を払う必要があります。

例:ヤフオク!など

その他のECサイト

ECサイトの増加により、前述したタイプ以外のECサイトも増えています。

サブスクリプション型

近年急増しているサブスクリプション型は、定額制が特徴です。決まった商品や顧客の好みにカスタマイズした商品などを毎月提供します。

自社ブランドの魅力を伝えやすく、顧客のサービス継続率アップがLTVの向上に繋がります。

例:U-NEXT、Oisix など

※LTV:Life Time Valueの略称で「顧客生涯価値」のこと。顧客が自社サービスを利用し始めてから解約するまでに、どれだけの利益をもたらしたかを算出する指標。

アパレルECの始め方6ステップ

この章では、アパレルECを始めるための6ステップを紹介します。

1.コンセプトの設定

まずは、アパレルショップのコンセプトをしっかり設定しましょう。コンセプトによって、仕入れるものやデザインが決まります。

例えば、20〜40代女性に人気のアパレルブランド「theory」のコンセプトは「New Basic」。着心地やトレンドを重視しながらも、自分らしくいられるファッションを提供しています。

コンセプト設定では、以下の項目を決めていきます。

ターゲット

年代や性別だけでなく、年収やライフスタイルなど詳細なペルソナを設定します。

ブランドプロミス

自社ブランドが消費者にとってどのような価値をもたらすのかを言語化し、消費者にメッセージとして伝えます。すると、ターゲットがブランドの魅力に気が付きやすくなります。

ストーリー設計

どのような思いで商品を作成したか、ブランドを立ち上げたかを消費者に伝えるために設計します。ストーリーに共感してくれた消費者がファンになってくれます。

2.商品準備

次のステップは、販売商品の準備です。

アパレルショップには、「仕入れた商品を売る場合」「オリジナル商品を製作する場合」があります。

仕入れの場合

仕入れ方法は多岐に渡ります。

  • 国内、海外の卸サイトから購入
  • 展示会などイベントで購入
  • メーカーと直接交渉する
  • 海外から仕入れをする

オリジナル商品を製作する場合

オリジナル商品の製作には、以下の方法があります。

・OEM

自社で工場を持たないブランドが企画からデザインまで行い、製作のみ工場に依頼する方法です。設備や人件費は削れますが、委託先が製作過程を把握しているため、競合相手になる可能性も。

・ODM

商品企画から製造まで委託する方法です。

アパレル商品の企画やデザインのノウハウがなくてもアパレル製品を作ることができる一方、商品企画の段階から外注するのでコストもかかります。

商品準備時に大切なのは、在庫を抱えるリスクを考えた需要予測です。商品の発注量を増やせば商品単価の原価を抑えられますが、全て売れるとは限りません。

需要を読み間違え、在庫を抱えすぎるとスペースの問題や在庫処理が発生。余計なコストがかかります。

在庫の抱えすぎは在庫管理や発送業務が滞る原因に!原価と発注量のバランスが大事なんですね。

3.出店方法を決定

企業のアパレルEC出店方法は、ECモール(モール型)自社ECサイト(ブランド直営型・個人経営型)に分かれます。

「アパレルECの種類」の章でも解説しましたが、そのメリット・デメリットを再確認しておきましょう。

ECモールのメリット

・自社でサイト構築する必要がなく、出店までのスピードが速い
・大手モールには1,000万人以上のアクティブユーザーが存在。消費者の目にとまる確率が上がる

ECモールのデメリット

・他ブランドとの差別化が必要
・広告や手数料などのコストがかかる

自社ECサイトのメリット

・サイトの自由度が高い
・BASEなどのサイトを利用すれば、低コストで開店できる

自社ECサイトのデメリット

・受注、生産、サイト運営など自社で全てを行うためリソースが必要
・集客だけでなくリピーターやファンを増やすためのプロモーションも必要

▼ECサイトの構築方法や手順を知りたい場合はこちら 

4.ECサイトや商品ページの制作

ECサイトを制作するときは、以下のポイントを押さえましょう。

見やすさ、買いやすさ

見やすいサイトであれば消費者はストレスなく商品を見つけられ、購入までの導線がスムーズになります。

商品画像、説明を充実させる

商品画像や説明を充実させることで、消費者は実物を見なくても商品を想像しやすくなります。

決済手段の充実

ECサイトは年齢や国籍問わず、多くの人が利用します。クレジットカードはもちろん、コンビニ払い、キャリア決済、電子マネーを導入することで、決済時の離脱を防げます。

5.集客

アパレルECには、主に3つの集客方法があります。

SNS

現在、日本のSNS利用者は約8,000万人といわれており、SNSによって多くの人に商品をアピールできます。

例えばInstagramは、アパレルと相性のよいSNSの一つです。ショッピングサイトと連携できるシステムがあり、商品画像に直接ショッピングサイトをリンクして消費者を購買まで導けます。

また、SNSで顧客の声を拾い、商品開発に活かすことも可能です。

SEO対策

GoogleやYahoo!など検索エンジンのSEO対策も重要です。検索結果の上位にサイトが掲載されると、多くのユーザー流入が見込めます。

※SEO:Search Engine Optimizationの略称で、検索エンジン最適化のこと。

広告

検索エンジンの結果画面や、アプリに広告を掲載して集客します。多くの人の目に止まる分、出稿コストもかかります。

6.在庫管理・発送業務

ECサイトで必ず必要になるのが、在庫管理と発送業務です。

アパレル商品はサイズ・カラー展開が多いため、在庫管理・発送業務にミスがないよう特に注意が必要です。

アパレル企業の在庫管理・発送業務を担っている弊社の意見

在庫管理・発送業務は外注がおすすめです。
アパレルでは、発送ミスがそのまま物流コスト+商品コストの無駄に直結します。誤発送により返品された商品は、その特性上再販するのが難しく、そのまま廃棄せざるを得ない可能性が高いのです。

 弊社のアパレル返品事例を挙げると商品が臭ったり、傷んだりしている、かつOPP袋にも入っていない状態で戻ってくることがよくあります。このような商品は再販できず、廃棄処分するしかありません。

在庫管理・発送業務のミスは、コスト増に繋がります。よってプロに委託し、できる限りミスを少なくすることが望ましいのです。

アパレルECを立ち上げる際のポイント

アパレルECを立ち上げる際のポイント

次に、アパレルECを立ち上げる際のポイントを紹介します。

実店舗とECサイトの壁を壊す

アパレルには、ECサイトと実店舗の間に壁ができやすい特徴があります。

サイトの情報・写真だけではサイズ感やデザインが分かりにくく、試着もできません。このサイトと実店舗の間の壁をできるだけ無くすために、以下の方法を実践してみましょう。

  • 動画や画像をより充実させる
  • サイズが合わなかった際の返品方法を詳細に記載し、購入のハードルを下げる
  • OMO型店舗の出店

※OMOは、近年大手アパレル会社の多くが取り入れている施策です。

オムニチャネル戦略を行う

オムニチャネルは、消費者が複数チャネルを経由してスムーズに購買へと至ることができる仕組みです。オム二チャネル戦略を行えば、顧客情報や在庫管理などを一元化できます。

これを元に分析し、顧客に沿った施策を実施することで顧客満足度が向上。販売機会の損失を防げます。

ブランディングを強化する

モールECは集客力が高く、売上が期待できます。しかし、他ブランドとの価格競争に巻き込まれやすく、ブランドの認知拡大も容易ではありません。

よってECモールに出店しても、地道に自社サイトを育成していく必要があります。

ブランディングを強化することが、自社の生き残りに繋がります!

在庫管理の一元化

ECモールと自社サイトの両方を展開する場合、在庫の一元管理が課題となります。

一元管理されていないと、自社サイトで売り切れている商品がモールで販売されている状況が発生。販売機会の損失を生んでしまいます。

一元管理するには、FBA(フルフィルメント by Amazon)のようにモール側に物流を委託する方法もあります。

アパレルECのサイト構築・運用はオーダー!にお任せ

アパレルECのサイト構築・運用はオーダー!

オーダー!は、ビジネス・コンシェルジュとしてお客様のビジネスをサポートしています。

【ご要望別:オーダー!にできること】

1.ECモールは利用せず、自社サイトのみ運用したい!

→オーダーでは、ECサイトの構築・運用だけでなく、物流代行サービスも提供可能。EC+物流を一気通貫で支援できます

2.利益拡大のため、海外展開も視野に入れたい!

→オーダー!では、海外への商品発送も承ります。海外から商品を仕入れ、倉庫で保管、商品タグを付けて包装するなどの加工も可能です。

3.ECサイトに問い合わせ窓口を設置したい!

→オーダー!では、EC上にチャットサービスなどを盛り込み、顧客からの問い合わせ窓口を設置することもできます。

ECサイトの構築・運用:個別相談メニュー
  • ECサイト構築
  • ホームページからの問い合わせ対応代行
  • SNS運用代行
  • CMS導入
  • CMSセキュリティ対策
  • レスポンシブ化
  • SSL化
  • バナー制作 など

【まるっとお任せ!定額運用メニュー】
必要な業務を契約期間、時間に合わせて対象業務から選択して利用いただけます。

スタンダードプラン:12万円/月  (税抜)
契約期間:3ヵ月毎 
実働時間:30時間/月
対象業務例:
・商品管理(マスター管理、在庫管理、仕入管理)
・サイト管理(在庫登録、在数更新、商品登録、更新)
・特集ページやランディングページ作成
・ニュースリリースなどの追加、修正、変更
・レポート作成 など

オーダー!なら、EC制作・運用から物流までトータルサポートが可能です。

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EC物流の課題を全力解決

オーダー!のアパレルECサイト構築・運用事例

オーダー!のECサイト運営代行事例を紹介します。 

元々別事業を手がけていたところから、新たにファッションブランドを立ち上げたアパレル関連企業様の事例です。

 立ち上げにあたって人手とリソースが不足しており、かつ既存事業とは求められる人材も異なるため、ECサイトの構築から運用代行(フルフィルメント)まで委託できる代行業者を探していたそうです。

 そこで、オーダー!が代行を請け負いました。 具体的な代行内容は以下の通りです。

 ・ECサイトの更新
シーズンごとの商品リリース・差し替えなど

 ・梱包と配送
ECサイトで受注後、オーダー!の倉庫に保管している商品を梱包・配送する 

・展示会への製品配送・検品など
オーダー!の倉庫から展示場へ直接アイテムを送付。出展後はアイテムに汚れなどが付いていないか検品し、倉庫へ戻す作業を行う 

結果、クライアントのリソースが限られているなか、ECサイトをスムーズに運営できています。 また、ECサイトの運用代行だけでなく、展示会への配送作業などクライアント事業に関わる個別の要望にも対応。総合的なサポートを評価いただいています。 

クライアントのコメント

 「商品タグの差し替えが発生したときに、その取り付け作業などを自社の人間が倉庫へ駆けつけて行わなければいけないと思っていました。しかし、そういった細かい部分もオーダー!では全てやってくれるので本当に丸投げで助かりました!

アパレルECのまとめ

今回はアパレルECについてご紹介しました。

EC事業の中でも、在庫管理や発送作業が特に複雑なアパレルEC。外注することで円滑にビジネスをスタートできます。

オーダー!ではECサイト構築はもちろん、物流業務などEC事業に関わる業務を幅広く支援しています。「どこまで頼んだらいいか分からない」という場合もご安心を。お話をうかがいますので、お気軽にご相談ください。一緒に円滑なアパレルEC運営を行いましょう!

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EC物流の課題を全力解決

EC全般については以下の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてください。